全社員で取り組む障害を持つ方の職場創造
- 事業所名
- 株式会社メイドー
- 所在地
- 愛知県豊田市
- 事業内容
- 自動車用ボルト・ナット(高張力ボルト、ナット、冷間鍛造部品)の製造
- 従業員数
- 1,018名
- うち障害者数
- 16名
障害 人数 従事業務 視覚障害 聴覚・言語障害 肢体不自由 3 事務、現場事務 内部障害 3 事務、製造業務 知的障害 7 検査業務、清掃・洗浄業務、ゴミ回収業務、座金組込み業務、組立業務等 精神障害 2 補給部品袋詰め等、PC入力、製造品運搬 発達障害 1 休職中(リワークへ) 高次脳機能障害 難病等その他の障害 - 目次
1. 会社概要、障害者雇用への取り組み
(1)会社概要
当社は、大正13(1924)年に名古屋市において、個人企業として、ボルト・ナット・ピン類を主生産品とする明道鉄工を創業。昭和25(1950)年法人組織に改組し、名称を株式会社明道鉄工所とする。そして、平成3(1991)年から社名を株式会社メイドーに変更している。
創業当時よりトヨタ自動車株式会社の協力工場として、自動車用ボルト・ナットの製造に携わっており、社是でもある「良い品を安く早く」の完遂を目指し、技術開発の分野では、ねじのゆるみ・破壊を防止する技術の向上など、時代が求める高度な技術を生み出し、顧客先の信頼を得てきた。
また、生産体制としては、原材料の受け入れから、完成にいたるまで一貫生産を行い、高品質・低コストのものづくりを行っている。
ここ数年は、ねじ業界における確固とした地位を築くため、トップの強いリーダーシップのもと、TQM活動を中心とする管理手法により組織力強化を図っている。平成25(2013)年にデミング賞大賞を受賞したことは、それがひとつの成果として現れたものであると考える。
納入先はトヨタ自動車株式会社をはじめとする自動車関連を中心に、国内のみならず、海外にも販路を築いている。今後は冷間鍛造技術力の強化により、ボルトメーカーから総合冷間鍛造メーカーへのシフトを図り、部品メーカーとしてさらなる飛躍を目指している。また、環境問題が人類共通の重要課題であることを認識し、「環境に優しく」、「地域住民に優しく」をスローガンに環境活動を推進している。
<主要製品とその特徴>
Ⅰ. | 高強度ボルト : | トヨタ自動車株式会社への納入実績No1 |
Ⅱ. | 長太物ボルト : | 長太物冷間鍛造設備所有台数 日本No1 |
Ⅲ. | 特殊機能ボルト: | 軸力管理システムの実用化 世界初 |
Ⅳ. | 精密冷間鍛贓品: | 精密冷間鍛造設備ラインナップ 日本No1 |
主な使用部位 : | エンジンマウント、ステアリングギア、CVT、VVT、 シフトロックソレノイド、プランジャー、ピストンナット |
(2)障害者雇用への取り組み
- 障害者雇用の経緯
障害者の雇用に関しては以前より取り組んではいたが、採用が進まず平成18(2006)年6月時点での雇用状況は身体障害者3名(うち1名は重度)実雇用率では0.66%という状況であったため、「障害者雇入れ計画」を作成しハローワークへ提出することとなった。
そこで、障害者雇用率を確保することは企業の社会的責任の一つであることを再認識し、障害者雇用を積極的に推進することとした。
採用に当たっては、社会福祉法人豊田市福祉事業団「西三河北部障がい者就業・生活支援センター」(以下、「支援センター」という。)の支援を受けながら採用活動を進めることとした。
- 職域の開拓
支援センターと連携しながら、職場改善活動の一環として製造部長をはじめ職場キーマンを中心にしてメンバー全員で障害のある人の職務の切出しに勤めている。
- 採用活動
採用のミスマッチを防ぐため、採用前実習を経験していただくことで、障害のある人と会社、双方のマッチングを図るように努めている。また、この段階から支援センターと連携し、作業の組み立てや受入部署の理解促進にも努めている。
採用形態はフルタイムの正社員を原則としているが、本人の意向等も考慮し、パートタイムでの採用も実施している。また、福利厚生等に関しては、障害の有無に関わらず同一待遇である。
- 職場環境整備
ハード面では、下肢に障害がある人向けに、和式トイレを洋式に改装するとともに手すりを設置。また、事務所階段へも手すりを設置した。さらには、駐車場の確保に当たっては勤務場所(建屋)へ最短でいける駐車場を用意する等の配慮を行っている。
他方、ソフト面では支援センターとの緊密な連携の下、担当部門(総務人事、産業医、常勤看護師)、受入部門が協力し、問題が発生してもそれに速やかに対処できるよう常に連携している。また、平成25(2013)年度より社内に職場適応援助者(ジョブコーチ)を専任で配置し、本人はもとより家族、受入部門も含めた包括的な支援にあたっている。
2. 障害者の従事業務と配慮事例
(1)生産管理部輸送課の場合
重度の知的障害のあるAさんには、入社当初は本体に蓋をかぶせて使うタイプのC箱(製品箱)へのビニール掛け作業とカンバン回収を担当させたが、安全面での確保と不定期な動きにミスマッチがあることが発覚した。
そこでこれを回避するため、職場では以下の業務を担当してもらうこととした。
- 段ボール組立作業
- 現品票バーコード読込み作業
<配慮事項>
- 定期作業と安全を確保した作業場所への配置
- 「見える化」により作業判断をなくす工夫
段ボール箱の必要数がセットされていて、前日に使用した分(欠けている部分)に段ボール箱を組み立てて補充すると、結果的にそれが本日の組み立て必要数(組み立て数量)となるようにした。 → 段ボール箱組立作業の組み立て数量の判断不要化 - 段ボール箱の必要数量は、製品の受注量により変動するため、手隙ができる場合があるので、その場合の作業として、宅急便出荷品の箱詰めと補給部品の袋詰め作業を準備して、手隙時間ができないようにした。
<その他>
箱詰めと袋詰め作業は精神障害のある人のリワーク用として切出した業務で、知的障害のある人も作業を可能とするため、写真付きの簡素化した作業手順書と冶具を用意して、リワーク中の方からのフォローを受けながら一緒に作業を進めている。
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(2)製造部品質物流課の場合
知的障害のあるBさん向けに、清掃作業(製品缶、製品箱の油ざらえ)の作業切出しを行った。
<配慮事項>
- Bさんの障害に対応し、迷わないように(判断不要にする)全てルール決めをした。
- Bさんの障害に対応した簡素化した作業手順の作成と掲示。
→ 全て「見える化」する。⇒掲示板の工夫、5S「あるべき姿」の写真を掲示。 - Bさんの障害に対応した作業冶具の作成。
→ 油をきる加減の判断を不要にした冶具。 - 動き易く作業性を考慮した道具の作成とその配置にも効率性の工夫をしている。
<その他>
- Bさんは平成24(2012)年度に皆勤賞で社長表彰を受賞した。
- 当部署には、他にも箱洗浄作業に知的障害のある人が配属されている。
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(3)品質保証部検査課の場合
肢体が不自由な(重度)Cさんは、現場事務作業(主にPC入力)に従事している。この作業は、社内専任の職場適応援助者が中心となって、全工場の現場から業務の切り出しにより創られた
<配慮事項>
- 最寄りの和式スタイルのトイレを洋式スタイルに改修するとともに手すりを設置。
- 従来、中二階で行っていた作業場所を1階へ移動。
- 障害がゆえに必要な私物も多いため、専用ロッカーを配置。
- 同性の作業指導者を配置。
- 食堂は履物の脱着が必要なため、昼食用の場所を確保。
(必要に応じ食堂も利用出来るように検討中)
<その他>
- 着実に作業を習得し、取り扱う書類の種類を増やしていっている。
- 当部署には、他にも選別検査員として知的障害のある人も配属されている。
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3. 取り組みの効果、今後の展望と課題
(1)取り組みの効果
平成18(2006)年6月時点で、0.66%であった障害者雇用率は、平成23(2011)年6月には1.87%と初めて法定雇用率を上回ることができ、平成24(2012)年6月には2.05%、平成25(2013)年6月には2.36%と平成25(2013)年度から引き上げられた法定雇用率2.0%をもクリアできたことは、障害者雇用への取り組みの効果が着実にあがっているといえる。
また、勤続年数が5年以上の障害者の人数も平成21(2009)年6月時点では1人であったが、平成25(2013)年6月には6人と着実に増えている。これも職場メンバーをはじめとした、全社的なサポート体制の整備による効果のひとつと捉えている。
(2)今後の展望と課題
障害がある人も業務経験を積むことで、緩やかではあっても、確実に成長していく姿が社内のあちらこちらにある。この姿を見るにつけ、これを糧に今後も障害のある人の雇用にも積極的に取り組んで行きたいと思いを強くしている。
また、障害のある人を雇用するに当たっては、さらに作業施設や設備の改善、職場環境の整備、特別な雇用管理等が必要ではあるが、社員全員の知恵と工夫、ならびに利用可能な助成金等を活用しながら乗り切ることができると確信している。
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