障害者を含むすべての社員が人間関係を尊重し自己と企業の成長を目的にダイバーシティーを推進する企業
- 事業所名
- アニコム損害保険株式会社
- 所在地
- 東京都新宿区
- 事業内容
- 損害保険業
- 従業員数
- 232名(2013(平成25)年3月31日現在)
- うち障害者数
- 9名(2013(平成25)年6月1日現在)
障害 人数 従事業務 視覚障害 1 パソコンのオペレーション
※重度障害者、短時間労働聴覚障害・言語障害 1※ 肢体不自由 1 内部障害 知的障害 精神障害 6 パソコンのオペレーション 発達障害 高次脳機能障害 難病等その他の障害 - 目次
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1. 事業所の概要、障害者雇用の経緯
(1)事業所の概要
- 会社設立
平成18(2006)年1月 | アニコム インシュアランス プランニング株式会社設立 |
平成19(2007)年12月 | アニコム損害保険株式会社へ商号変更(金融庁より損害保険業免許取得) |
- 企業理念
アニコムグループは、それぞれの命が持つ個性の違いを互いに尊重しあい、分業協力することで、世界中に「ありがとう」を拡大します。
当社の社名「アニコム」は、「ani(命)」+communication(相互理解)=∞(無限大)を企業活動の根源に据えている。命あるものがお互いに理解し、ともに一つの目的に向かって力を合わせることで、これまでの不可能と思われていたことが可能になると考えているからである。ペット保険事業を柱にこの無限大の価値創造力を活かし、「ありがとう」を拡大する。
- 経営方針
①オープン・マネジメント
オープンで「対話のできる法人」を目指す。
②マーケットアウト・マネジメント
常にお客様の視点に立って、新しい価値の創造に努める。
③ロールプレイング・マネジメント
個々に与えられた役割(ロール)を最高に演じる(プレイング)ことで、個人と組織の飛躍的成長を促進する。
- 事業内容
当社は、アニコム損害保険として平成20(2008)年1月に営業を開始した。人の健康保険制度と同様の仕組みをペット向けに開発・導入し、ペット保険で日本トップクラスのシェアを誇るリーディングカンパニーである。全国約8,000の動物病院のうち、5,000余りが当社のどうぶつ健康保険証による窓口精算に対応、保険保有契約件数は48万件以上にのぼる(平成25(2013)年10月現在)。
当社はペット保険『どうぶつ健保』の普及を進める一方で、「予防型」の保険会社を目指している。不幸が起きたときに保険金を支払う従来の保険会社から、年間200万件にのぼる症例データを活かし病気や事故によるリスクそのものを減らす予防策を飼い主たちに提案していく保険会社への進化を目指している。
ペット保険に加えて、関連事業として、動物愛護の啓蒙活動・動物病院検索サイトの運営も行っている。
(2)障害者雇用の経緯
- 平成21(2009)年、所轄のハローワークに雇入れ計画、障害者雇用状況報告を提出。
- 平成21(2009)年11月、障害者1名を採用、その後の障害者雇用の推移は、下表による。
平成21 (2009)年 |
平成22 (2010)年 |
平成23 (2011)年 |
平成24 (2012)年 |
平成25 (2013)年 |
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障害者数(人) | 1 | 2 | 4(4) | 7(7) | 9(9) |
実雇用率(%) | 0.42 | 0.73 | 1.41 | 2.10 | 2.37 |
※( )内はダブルカウントを含む数
※ダブルカウントの障害者は1名であるが、短時間労働のため1カウント
2. 取り組みの内容
(1)障害者雇用の基本的な方針
- 特例子会社ではなく、障害のない人と普通に仕事をすることを目指しており、結果としても自然と相互のコミュニケ—ションが取れている。
- 障害者をできるだけ多くの部署に配置する。
- 障害者の雇用促進と業務支援は、人事部が主体となって行っている。必要に応じ配属部門に「支援担当者」を配置し、個々の状況に応じた支援体制を構築している。
(2)理解・啓発の取り組み
- 2011(平成23)年末から2012(平成24)年にかけて、幹部を対象に3回、外部講師を招聘し、他社の障害者雇用の取り組みについての研修会を行い、更に社内会議を通じ社員への理解・啓発・周知を行った。その結果全社的に障害者の受入れについて社員に意識付けができた。
- 今後の障害者雇用の取り組みについて全社的理解を深めるために、障害者雇用先進企業の見学会を行い、各部署の管理職が障害者の担当業務、勤務態様、業務指導、定着支援体制(社内・社外)等について学び、更に社員への共有化を図った。
(3)採用
ハローワークの紹介による中途採用が主である。採用に当たっては以下の事項を重視している。
- 当事者から求められる配慮と当社として対応できる配慮がマッチングしていること
- 社員間のコミュニケーションが取れること
- 笑顔のある人であること
- 障害者就業・生活支援センター等就労支援機関の利用が期待できること
- 働く意欲があり、努力できること
(4)職域開拓
経営が拡大しているので、増大する業務に対応するために必要な人材の確保を行っている。従って、障害者も障害のない社員と同じ業務を担当し、新たな職域開拓は行っていない。
(5)障害者の従事業務
障害者の業務ということでは特別な対応はしていないため、当社が現在行っている事業におけるPC入力業務(顧客情報、申込書の各項目、顧客保険金請求等)や書類整理等を行っている。
(6)業務指導
- 業務マニュアルを活用し、OJTを行っている。
- 精神障害者に対しては、業務毎に作業指示を出すように心掛けている。
(7)精神障害者の定着についての取り組み
- 配慮事項
精神障害者については、本人の意向により短時間勤務(4、5日(20~29時間)勤務/週)を行っている。
- 当社支援担当者によるケア
- 配属部門と人事部の支援担当者が連携を取りながら、障害者と普段から恒常的にコミュニケーションを取る機会を作ることによって、不調の早期発見ができるようにしている。業務上困っていることはないか、能率低下やミスはないか、欠勤、遅刻・早退はないか等、相談しやすい環境を構築している。
- 業務上の課題(業務自体、環境、勤務態様等)は、5W1Hによる分析を行い、PDCAによる解決を図っている。
- 定着支援
- 原則として1~3か月に1回程度、当事者・支援機関・当社支援担当者による三者面談を状況に応じて実施している。
- 配属部門の支援担当者を決め、適宜面談を行っている。
- 退職者の動向
- 平成24(2012)年、2名退職したが、その理由は1名が業務とのミスマッチ(3か月)、1名は家庭の事情による地方への引越しであり、障害に起因するものではなかった。
3. 取り組みの効果、今後の課題と展望
(1)取り組みの効果
- 当社は経営方針にもあるとおり、オープンなマネージメントを推進しており、事務所フロア、会議室を全てガラス張りにし、全体が見通せる構造にすることにより、部署間、各従業員間の分け隔てがなく、また障害者、障害のない人、外国人が一様に職場に溶け込める環境を創出している。
- バリアフリー(障害者をできるだけ多くの部署に配置し、障害のない人と分け隔てなく仕事をすることを目指している。また、目標を設定しモチベーションややりがいを持って業務に取り組めるように所属長と面談し、評価を行う)、働き方のダイバーシティー(障害特性を配慮した働き方の受容、定年制の撤廃により企業の成長と社会の発展に寄与することを目的としている)を実感できる社内風土を実現している。
- 精神障害者については、当社支援担当者によるケア、定着支援体制ときめの細かい取り組みが職場に浸透し、以前に比べ突然退職する者が減少している。
- 聴覚障害者については、手話、筆談によりコミュニケーションをとっている。社員の中には聴覚障害者と積極的にコミュニケーションを図るために手話を学ぶ者もおり、業務上だけでなく、日常会話においても活用し、業務遂行や社員間の信頼関係構築によい効果を齎している。
(2)課題と今後の展望
- 現状の課題
精神障害者については、季節的な体調不良によって出勤が困難となる者がいる。現時点では難しいものの、現状打開策の一つとして簡単で単純な業務を切り出し、リハビリ業務とすることを検討している。
- 今後の展望
当社は、今後も法定雇用率にとらわれず、ダイバーシティーの促進に向け当社にマッチした人材を雇用していく予定である。現状業務の分析を行い、単純作業の切り出し、作業手順の簡素化等を行うことにより多様な障害者の受入体制を構築し、精神障害者、身体障害者の雇用と同様に知的障害者の雇用についても積極的に取り組む計画である。
GreenWork21 副理事長 小林 幸夫
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