事業所名

合理的配慮事例・27032

業種

生活関連サービス、娯楽業

従業員数

182名

職種・従事作業

社屋の営繕（設備維持管理：施設内清掃、備品等補充、施設外周清掃、業者立会い、備品等発注）

障害種別

精神障害

障害の内容・特性

統合失調症：対人関係が苦手であり、緊張しやすい。
一般企業での就労は2回目である。

募集・採用時の合理的配慮

面接時に、就労支援機関の職員等の同席を認めること

対象障害者は地元の障害者就労支援センターの利用者であるので、同就労支援センターの職員に同席してもらい採用面接を実施した。面接時には、対象障害者の受け答えの補足や就労上の配慮点の説明を受けた。

採用後の合理的配慮

業務指導や相談に関し、担当者を定めること

1. 指導担当者は対象障害者が属する現場のリーダーとし、別途同じ職場の他の障害者を業務リーダーと定め、二段構えの体制としている。
2. 最初の出社日からジョブコーチを派遣してもらい、アドバイスを受けながら作業指導を実施した。
3. 作業面以外の相談に関しては、休憩時間だけでなく業務中にも声を掛け合いながら、相談しやすい雰囲気を作っている。このため、ジョブコーチの訪問時以外は、特にミーティング日時を設定せず「話をしながら共に仕事をする」方法を採用している。
4. 精神障害者の雇用を始めて6年目になるが、経験から学んだこととして、次のスタンスを維持している。
   • 障害者をすべてにおいて特別扱いしない。
   • 強制されることを嫌がるため、業務の遂行や体調管理は対象障害者が主体的に行う。

業務の優先順位や目標を明確にし、指示を一つずつ出す、作業手順を分かりやすく示したマニュアルを作成する等の対応を行うこと

1. 業務の遂行に当たっては、指導担当者を含めて常時5名体制（うち障害者4名）のチームで行っており、家族的なチームワークを醸成している。
2. ルーティン業務として、午前は施設外周清掃、午後にトイレ清掃からスタートとしているが、それ以外の作業スケジュールを定めていない。役割分担に関しても、当日誰が何を実施するのかを対象障害者を含めてチームの皆で決めている。ルーティン業務以外のトラブル対応等は、状況を見ながら随時実施している。
3. OJTに基づく作業指導が基本でありマニュアル・作業手順書の作成・活用や目標設定はしていない。あくまでも「決めつけないで自発的に話し合って助け合う」ことが業務の進捗に大切であり雇用の維持につながっている。
4. 業務日報は毎日作成しているが、対象障害者自身が作業の進捗状況を振り返ることとしている。2ヶ月に1回のジョブコーチ訪問時には、この業務日報を基に補足的なアドバイスをしてもらっている。

出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること

1. 対象障害者の体調と相談しながら、労働時間や休暇の取得等の変更を実施している。具体的には、当初は週4日の1日7時間労働であったが、体調を崩した際には週3日に変更した。現在では、体調良好のため週4日の1日8時間労働となっている。
2. 体調については対象障害者の自主的な判断に任せている。例えば、当日体調不良であれば途中で帰宅してもらい翌日以降は連絡をもらうことにしており、次の出勤日は対象障害者の判断に任せている。障害者雇用当初からの方法であるが、自主性に任せているのは社会人としての自覚を持ってもらいたいからである。
3. 通院に関しては月1回であり、勤務日以外で対応している。

できるだけ静かな場所で休憩できるようにすること

食堂や休憩室で休憩しており、休憩場所について特段の配慮はしていないが、できるだけ業務のすきま時間を活用して小休憩を取れるようにしている。

本人の状況を見ながら業務量等を調整すること

1. 対象障害者が配属される営繕のチームは、原則的に「全員が同じ仕事ができる」ことを目指しているが、ストレスを発生させないように調整することが大切である。具体的には業者への連絡、立会い、発注まで求めているが、外部とのやりとりから緊張が生まれやすい。このため、時間をかけて少しずつ慣れてもらいながら達成することとしている。
2. 防火防災管理者講習を全員に受講してもらうようにしており、対象障害者も受講し修了している。営繕のチームの先輩には消防設備士の資格を取得している者もいる。対象障害者も取得できるよう時間をかけて推進していく。

作業場面の様子

本人のプライバシーに配慮した上で、他の労働者に対し、障害の内容や必要な配慮等を説明すること

総務部から、障害者雇用の法的義務やCSRの推進を果たすこと、そのためにも「営繕は障害者を雇用している。」と社内周知しており、この認識が社内で定着している。現在では清掃作業中に障害のない社員と挨拶を交わしており、社内で「普通に」接してもらっている。

その他の配慮

ジョブコーチの支援を就労当初から受けている。
また営繕の部署としては家族的な雰囲気で仕事をしており、相談や助言も日常の中で休憩時間を中心に行っている。このため、緊張の緩和を図ることができ、安定した就労に至っている。

障害者への配慮の提供にあたり、障害者と話し合いを行った時期・頻度等の配慮提供の手続きの詳細

配慮を受けている障害者の意見・感想等