知的障害者のパック詰め作業における合理的配慮事例
- 事業所名
- 合理的配慮事例・27034
- 業種
- 小売業
- 従業員数
- 809名
- 職種・従事作業
- 惣菜部門におけるパック詰め
- 障害種別
- 知的障害
- 障害の内容・特性
- 重度知的障害。筋力が弱く、細かい作業が苦手。
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募集・採用時の合理的配慮
面接時に、就労支援機関の職員等の同席を認めること
面接時には、対象障害者が利用する障害者就業・生活支援センターの就業支援ワーカーの同席を得て、障害者本人の基本情報の説明を受けた。特に体力面等の理解を得るのに役立った。
その他の配慮
- 対象障害者の採用に当たっては、ハローワークの合同面接会において一次面接を行った。その際、店舗のある場所がわかる地図を見せ、それぞれの店舗の通勤手段の説明を行い、通える店舗と働ける時間帯を第3希望まで受付カード(写真1)に書いてもらうようにした。
- その後、働いてもらう店舗を決めて、店舗面接を店長と本社人事担当が本人と対応する方法で実施した。
写真1 「障がい者ガイダンス受付カード」
採用後の合理的配慮
業務指導や相談に関し、担当者を定めること
当社では、通常、業務の指導担当者は配置部門のチーフ(以下「部門チーフ」という。)としている。
しかし、異動により部門チーフが変わり障害者本人への指示出しがうまくいかなかったり、本人の状態が不安定になった場合は、当社に配置する2号ジョブコーチ(第2号職場適応援助者)がフォローに入り、本人と面談を行ったり、店長(または部門チーフ)にアドバイスを行っている。本人の習熟度に応じて業務量を徐々に増やしていくこと
対象障害者を含めて、当社で働く障害者が配置される各部署の工程の中で、個々人ができる部分を担当させ任せている。
昇級が伴う検定制度を設けており、部分的な業務から全工程を任される業務へステップアップするための目標としている。図等を活用した業務マニュアルを作成する、業務指示は内容を明確にし、一つずつ行う等作業手順を分かりやすく示すこと
業務についてのマニュアルは、各部署で一本化されている。
写真を多く載せたマニュアルを用いて、指導担当の部門チーフがやってみせながら説明を行うようにしている。対象障害者が働く総菜部門でも写真2のようなマニュアルを作成している。写真2 「惣菜手順書」(一部抜粋)
出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること
対象障害者を含めて、当社では雇用する障害者に対して次のような配慮をしている。
○ 勤務時間について
交通の便が悪い店舗に勤務している者へは、特に勤務時間の変更を柔軟に対応している。また、体力的に当初の契約内容がきつい等の本人からの申し出があった際には、店長と相談し、勤務時間を短くする等の対応を取っている。
(例) 商品加工の精肉部門に勤務していた障害者への配慮事例
<課題・本人の要望>- トレーの種類や鶏肉の切り方等覚えることが多い。
- 長時間の立ち仕事がきつい。
<配慮した内容>
- 細かい判断や作業の少ない惣菜部門(盛りつけなど)へ異動。
- 勤務時間を1日6時間から1日4時間に短縮。
○ 有給休暇の取得について
有給休暇の取得について本人がその存在を理解していないケースが多く、障害者就業・生活支援センターと情報共有しながら、次のように有給休暇の取りやすい環境を整えている。- 店長を通じて休暇の説明を行い、場合によっては障害者就業・生活支援センターから家庭へ連絡してもらう。
- 公休の前の日は帰る際に「明日はお休みですよ」と周りが声をかけるようにする。
その他の配慮
○ ジョブコーチの配置
当社では、社内に2号ジョブコーチ(第2号職場適応援助者、以下「ジョブコーチ」という。)を配置している。業務以外での改善事項については、店長からジョブコーチへの情報により対応している。
本人の些細な変化を感じた際には、部門チーフ→店長→ジョブコーチの順に情報をあげ、その後現場をジョブコーチが巡回しながら、本人との面談や会話により、変化の原因や不安の解消に繋げている。
○ 支援機関との連携
本人に関わることについては、ジョブコーチと障害者就業・生活支援センターとが下記のように役割分担している。- ジョブコーチ:社内業務に関することでの部門チーフや本人へのアドバイス
- 障害者就業・生活支援センター:家族への連絡やアドバイス
役割分担していることで、家族と事業所、本人との関係も安定している。
○ 安全・衛生面
食品を扱う上での基本事項である「衛生面」や接客時に必要となる「あいさつ」等の基本的なマナーについては、各部署で次のように行っている。- 部門チーフがやってみせる。
- 本人にさせてみる。直した方がいい点等がある場合は、その場で伝えできるまで繰り返し確認する。
身だしなみ等のチェックは「しつけ・身だしなみ確認票」(写真3)をもとに、月2回(1日・15日)に本人に自己採点してもらい、できていない項目は次回のチェック時にできているように指導する。
写真3 「 しつけ・身だしなみ確認表」
障害者への配慮の提供にあたり、障害者と話し合いを行った時期・頻度等の配慮提供の手続きの詳細
- 障害者本人への指示出しがうまくいかなかったり、本人の状態が不安定になった場合は、当社に配置するジョブコーチがフォローに入り、本人と面談を行ったり、店長(または部門チーフ)にアドバイスを行っている。
- 本人に関わることについては、ジョブコーチと障害者就業・生活支援センターとが役割分担している。障害者就業・生活支援センターは家族への連絡やアドバイスをし、役割分担していることで、家族と事業所、本人との関係も安定している。
- 業務について指導は写真を多く載せたマニュアルを用いて、指導担当の部門チーフがやってみせながら説明を行うようにしている。
- 身だしなみ等のチェックは「しつけ・身だしなみ確認票」をもとに、月2回(1日・15日)に本人に自己採点してもらい、できていない項目は次回のチェック時にできているように指導している。
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