募集・採用時の合理的配慮

面接時に、就労支援機関の職員等の同席を認めること

対象障害者は障害者就業・生活支援センター（以下「支援センター」という）に登録し一般就労を目指していたことから、面接時に支援センター職員同席の上、仕事内容の説明を行った。また、支援センター職員からは障害に対する配慮等の説明を受けた。

その他の配慮

企業就労に対し主に対人関係への不安があるとのことから、支援センター職員と共に職場見学を実施し、仕事内容や作業従事者の様子を見た後に面接に臨んでもらうこととした。

採用後の合理的配慮

業務指導や相談に関し、担当者を定めること

クール便担当部署に配属し、そこのグループ長を担当者として、業務指導や相談支援等を行うこととしている。
入社して間もない頃、両親を通じて”辞めたい”との申し出があり、グループ長が対象障害者から理由を尋ねたところ、一緒に作業をしている人と合わないからだということであった。そこで、グループ長は相手方を別部署に異動させ、精神障害を持つ社員は配置換えをし、その後3年以上雇用が継続している。

業務の優先順位や目標を明確にし、指示を一つずつ出す、作業手順を分かりやすく示したマニュアルを作成する等の対応を行うこと

当該部署は、全国各地から集められた荷物をベルトコンベヤーに乗せ、宅急便やクール便、配送地域別等に仕分けを行う”ベース”と呼ばれるエリアとクール便BOXの洗浄エリアから成り、対象障害者は主にクール便BOXの洗浄作業を行っている。
入社時に新入社員研修マニュアル及び実地指導により仕事内容を教えたが、BOX洗浄作業は単一工程であるため、作業マニュアルは特に作成していない。
当該作業には対象障害者と先輩社員（精神障害者）の2名が従事しており、午前中の洗浄個数は日によって変動はあるものの概ね60個程度である。2名で入庫された個数を洗浄し、また洗浄後、所定の場所に収めるという作業内容であり、特に目標数は定めていない。
また、年末年始等の繁忙期には、クール便BOX洗浄だけでなく、ベースに入ってもらい仕分け作業に従事するが、本人の無理のないペースで仕分けるよう指示している。

出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること

就業時間は、比較的入荷量の少ない8:00から12:00までの4時間とし、週5日（週20時間）勤務としている。休日は週2日でシフト交代制のため月により異なるが、通院等を考慮し、本人が希望する日を極力尊重し、シフト表を作成している。
また、4時間勤務のため休憩時間は雇用契約上ないが、入荷の空き時間となる10時頃から15分間休憩できるよう配慮している。

できるだけ静かな場所で休憩できるようにすること

休憩室は障害の有無に関わらず同一の場所となっている。入荷の空き時間が休憩となるため、同部署の全作業従事者が一斉に休憩室に入ることとなり、入社当初の対象障害者は”人が怖い”ということで休憩室に入ることができなかったが、今では他の社員との距離感が分かり普通に休憩できるようになっている。

本人の状況を見ながら業務量等を調整すること

クール便BOX洗浄作業については、入荷量の少ない時間帯を割り当て、かつ、対人関係が良好な社員を配置し、3年以上問題なく経過しているため対象障害者が負担を感じる業務量ではないと会社側は考えている。逆に、就業時間や時間帯、あるいは作業内容に対する本人からの変更希望等がある場合は、支援機関のアドバイスも参考にしながら、柔軟に対応したいとしている。

本人のプライバシーに配慮した上で、他の労働者に対し、障害の内容や必要な配慮等を説明すること

クール便BOX洗浄作業にしても、ベースにおける仕分け作業にしても、多くの社員が配置されるチーム作業であるため、障害特性に係る作業能力等を全員がある程度知っておく必要がある。
そのため、対象障害者の意向に配慮した上で、他の社員には障害の種類や程度、配慮すべき点などをあらかじめ説明している。

その他の配慮

本社方針に基づき、長年障害者雇用に取り組んでいることから、社員の意識も徐々にではあるが変わってきて、障害者を特別視することなく、「障害者雇用は当たり前」という雰囲気が醸成されつつある。