知的障害者の清掃業務における合理的配慮事例
- 事業所名
- 合理的配慮事例・27255
- 業種
- 医薬品製造販売業
- 従業員数
- 6,059名
- 職種・従事作業
- 清掃業務全般、軽作業
- 障害種別
- 知的障害
- 障害の内容・特性
- 知的障害
- その他
- 障害者職業生活相談員
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募集・採用時の合理的配慮
面接時に、就労支援機関の職員等の同席を認めること
- 面接時に障害者就業・生活支援センターの担当者に同席してもらい、対象障害者の受け応えの補足や障害特性、就労上の配慮点についてもアドバイスをいただいた。
- 支援者に同席いただいたことにより、応募書類だけでなく、職務適性や雇用後の課題解決、育成を考慮し、総合的に判断し、採用することができた。
その他の配慮
- 初めて知的障害者を雇用するにあたり、ミスマッチをできるだけ防ぎたいので、職務内容を具体的に提示し、詳細な求人票を作成することはもとより、支援機関にも詳しい職務内容と求める人材像を正しく伝えた。
- クリーンサポート室専任管理者(障害者雇用担当者)と支援機関と既存の委託清掃業者と3者で写真入り実習マニュアルを作成した。就労希望者には、作成したマニュアルに基づいて、面接前に職場実習を5日間受けてもらった。
- 職場実習の際、オリジナルの実習評価表を用いて、クリーンサポート室専任管理者、支援機関担当者、本人の3者それぞれが評価を出し合い、お互い共有し採用の参考とした。
採用後の合理的配慮
業務指導や相談に関し、担当者を定めること
- クリーンサポート室には障害者就労支援経験がある障害者職業生活相談員の専任管理者を配置した。
- 立ち上げ時にはジョブコーチの協力を得ながら基礎作業メニューの定着への作業指導を行った。
クリーンサポート室の隣に基礎訓練エリアを設置
本人の習熟度に応じて業務量を徐々に増やしていくこと
- 日々、業務の振返り時間を確保し、まずは自分自身で1日を振返り、問題点があれば専任管理者を中心に解決しながら、業務の着実な習熟をはかった。その結果、業務のスピードアップにつながり、業務量も徐々に拡大している。
- 日々の職務において「もっとこうすれば良い」と思ったことや「やってみたい」を思うことを積極的に考え、楽しんで仕事に取り組んでもらえるよう指導した。他の既存の清掃業者の仕事ぶりも見えるので、違う手法で行っていることに気づいて、その手法を取り入れる提案を対象障害者から受けることもある。
- トイレ掃除中、トイレットペーパーが残り少ないことに気づき、自発的に補充をしたいとの申し出があった。補充作業は工場内の従業員から大変喜んでもらえたので、職務に追加した。単純に補充作業といっても、とにかく事業所の敷地が広く、トイレの場所も点在している上、他の立ち入り禁止区域もあるので、移動経路の安全確保の意味もあり、補充備品のストッカーを作業動線の各所に設置して対処した。
図等を活用した業務マニュアルを作成する、業務指示は内容を明確にし、一つずつ行う等作業手順を分かりやすく示すこと
- その日の職務、配置はホワイトボードで表す。
- 前日に翌日の担当を確認、当日の朝礼で再度確認。注意事項も必ず文字に表して、読上げて確認する。
- 2人一組のチーム制で担当エリアをローテーションし、全員が全ての職務を行えるようになることを目標とした。
- 対象障害者や支援機関担当者から「何事も画像と文字で書き起こして欲しい」という要望があったので、図解化したマニュアルを1人ずつに配布し、理解度に応じて説明を進めていった。
カラー画像と解説がついたオリジナルマニュアル
チェック項目、点検箇所はより具体的に表示
消耗品の状況を色分けしてわかりやすく表示
出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること
クリーンサポート室を設置し、ロッカー以外にも各人のデスクを用意したことで、居場所を確保した。食事の後は、社員食堂内ではなく、クリーンサポート室でゆっくり過ごすことができている。
本人のプライバシーに配慮した上で、他の労働者に対し、障害の内容や必要な配慮等を説明すること
- 初めて知的障害者を雇用するにあたり、事業所のラインマネジャーには、直接会議で説明を実施、事業所に勤務する全社員には、障害者雇用の取組内容と知的障害者の特性と接し方等をメールで発信し、障害への理解と取組への協力を依頼し、知的障害者の特性を踏まえ一般的な理解を深めてもらった。障害の詳細は、本取組の主管である人事部(専任管理者を含む)および事業所人事責任者等、限られた関係者のみ知る。
- 女性専任管理者の増員を検討中。
その他の配慮
- 社会人としてのマナーや言葉遣いをボードに表示した。業務日報では特に「誰かに助けてもらったこと」を書くこと、そして助けてもらったときは「ありがとう」を言うことを指導した。チームで職務を果たしていく上で、助け合うことの大切さを理解することが、次のステップにつながることも指導している。
- 業務日報を通して、日々の振り返りを実施し、情報や課題の共有と課題解決へのアプローチを行った。また、障害特性に起因する要件については各個人の意見を尊重し、事象によっては個人面談を行う。
言葉遣いの基本を明記
障害者への配慮の提供にあたり、障害者と話し合いを行った時期・頻度等の配慮提供の手続きの詳細
①日々の振返りと問題解決 日々発生したことは、業務日報にて報告してもらい当日のミーティングで課題の共有を行った。
②創意工夫と標準化 業務に関する提案や創意工夫に対しては、週に一回程度「ブラッシュアップミーティング」として1~2時間程度の時間をとり、業務の効率化と清掃作業の品位向上に向けて全員で話し合った。
③図等(作業を図解化)を活用した業務マニュアルの作成 職務に従事するサポーターに了解の上、モデルとなってもらい実際に行っている一つ一つの作業工程を確認しながら、効率的に作業が行えるように工夫して作成した。
④業務の指示 新たな職務が増える場合には、まずミーティングでボートを使って解説し、次に実際に作業してみて検証し、無理のない作業にルーチン化してからマニュアル化することに努めた。又、当初はホワイトボードにポイントを表記し、作業内容と意識の定着を図った。
⑤指示の確認と職務分担 前日の夕礼と当日の朝礼で職務内容を確認し日々の職務に臨んだ。実際の作業については2人一組のチーム制とし、詳細な職務分担については各チーム毎に各サポーターが主体性を持って朝のミーティングで振り分けを行った。
⑥チーム制と職務ローテーション チーム制と月一回のローテーション行うことで、各サポーターが全ての職務を習得することができるようになった。又、ポイントとなる点検個所の表示や消耗品の残り状況を表示することで作業の抜けがほとんどなくなった。
⑦居室スペースの設置 部門開設当初より清掃職務に従事するサポーターの“事業所内での居どころ「クリーンサポート室」”を設置。緊張感の緩和と平常心の保持に努め、無理のない継続就業ができる環境づくりを行った。
⑧社会人のマナーや言葉づかい 日々の職務の中で「感謝の気持ちを持ち~相手の立場を理解し~助け合うことを通じて協調性の育成を行う」ことを念頭に置き、実践的に職場生活にプラスとなるように指導した。
配慮を受けている障害者の意見・感想等
- 写真と文章が載っていて仕事の順番も分かりやすく書いてあるマニュアルがとても役立ちます。よくわかるので大事に使っています。
- わからないことがあればすぐに質問しますが、すぐに答えてくれるので嬉しいです。
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