採用面接時には就労支援機関の支援員が同席し、障害についての情報提供や支援に関する相談などを実施している。

採用後も就労支援機関とは密に情報交換を行うこととしており、支援員による毎月1回の定期訪問を受入れ、就労場所の見学と障害者本人を交えた三者面談を行うとともに、必要に応じて随時の協議を行っている。

同社は知的障害のある従業員が多いことなどから、事業所の責任者であるセンター長を業務指導・相談の担当者に定め、きめ細やかな業務指導・助言、相談を行っている。センター長は事業所（特例子会社）設立当初から5年以上にわたり担当しており、障害のある従業員から厚い信頼を得ている。

同社における障害のある従業員への主な配慮事項は以下のとおりである（次項以降の合理的配慮についても同様）。
・不安感を与えるような単独作業をさせない。
・作業中も常に目を配って業務指導を怠らない。
・作業中も適宜声掛けを行って不安感を取り除く。

これらの配慮により、業務習熟度を高めていけるようにしている。
ただし、当事例の対象者はこれらの配慮を講じても、その障害特性から、同社事業所の主たる事業である水耕野菜栽培に関する業務に従事し続けることが難しい状況があった。本人からも水耕栽培以外での就労希望の申出があったため、グループ企業内での新たな職務を探し、近隣のグループ会社で現在の業務（給食部門での保管庫業務）に就労することとなった。なお、就労に当たっては業務請負の形態で就労することとし、雇用管理等の所要の調整を行った。

ひら仮名・大きな文字での表示、作業内容の写真等を添付してわかりやすいように配慮した業務手順書と作業スケジュール表を掲示して常に確認できるようにしているほか、朝礼において一日の作業内容の確認を行い、作業中も常に声掛けや進捗確認を行うことで不安感を取り除くようにしている。

通院のために休暇取得が必要な日はあらかじめ把握するようにし、気兼ねなく休暇取得できるように業務計画を組んでいる。
また、出勤時には各自が始業時点検票によるチェックを受けることとし、体調の把握を行っている。
休憩は事務所のテーブルでセンター長も一緒にとることで、その際にも会話を通じて体調等の把握ができるように気を配っている。

作業のために個人の特性で配慮しなければならない点については、他の従業員に対しても、理解できるよう丁寧に説明している。
業務請負の形態でグループ内の他の事業所で勤務する場合、その事業場の責任者に必要な配慮を説明し、その責任者を通じて事業場内の理解を得ている。

障害のある従業員の家族に対しても、月1回程度、勤務状況の連絡や面談を行い、就労に関する悩みや課題点がないか把握に努めている。