“誠実”な社員による、“誠実”な仕事により、信頼される“誠実”な会社を目指す
- 事業所名
- 株式会社京王シンシアスタッフ(京王電鉄株式会社の特例子会社)
- 所在地
- 東京都多摩市
- 事業内容
- 清掃業務・シーツ交換業務・植栽管理業務・名刺印刷業務・グループ会社の軽作業
- 従業員数
- 63名
- うち障害者数
- 42名
障害 人数 従事業務 視覚障害 聴覚障害 肢体不自由 内部障害 知的障害 42 清掃業務・シーツ交換業務・植栽管理業務・名刺印刷業務・グループ各社からの軽作業などに従事(ローテーション有) 精神障害 - 目次

1. 障害者雇用の経緯と理念
【事業所の概要】
親会社京王電鉄株式会社は、鉄道業としての除外規定適用のもとであったが、法定雇用率1.8%を満たしていた。しかし、親会社の本社で雇用していた障害者が身体障害のみであったため、雇用が伸び悩んでいた。鉄道業に対する除外率が段階的に引き下げられる中で、より多くの障害者雇用を進める必要があり、継続的に必要とされる職域を検討の結果、鉄道現業施設の清掃や植栽の管理業務を行うための知的障害者を中心とする特例子会社を設立することとなった。
所在地 | 東京都多摩市 | |
① | 多摩センター事務所(本社) | |
② | 調布事務所(2007年4月~) | |
事業内容 | ① | 清掃業務 (鉄道現場施設・親会社社員食堂・グループ各社の施設等) |
② | シーツ交換業務(各乗務区及び電力・通信等鉄道現業宿泊施設等) | |
③ | 植栽管理業務(京王フローラルガーデン、平山管理センター等) | |
④ | 名刺印刷業務(京王電鉄、グループ各社等) | |
⑤ | 京王グループ会社の軽作業(書類密封、百貨店用度品加工等) | |
会社設立 | 2004(平成16)年12月15日 | |
事業開始 | 2004(平成16)年12月16日(特例子会社認定) | |
資本金 | 1,000万円 (京王電鉄株式会社 100%出資) |
【当社の企業理念】
① 「ノーマライゼーション」のもと、障害者雇用を通じて、地域に暮らす全ての人々との共生を目指す
② 京王グループにおいて、障害者雇用の理解醸成と貢献に努め、障害者雇用のリーディングカンパニーを目指す
③ 一人の職業人としての「意欲」と「責任感」を育み、社会人としての自立を目指す
④ 社名“シンシア”のとおり、“誠実”な社員による、“誠実”な仕事により、信頼される“誠実”な会社を目指す
2. 募集、採用、雇用管理
当社の募集、採用、雇用管理については、当社を囲む「就労支援体制のトライアングル」を構築し、職域の拡大に応じて着実に社員(スタッフ)の採用と育成を図っている。
① 親会社(京王電鉄株式会社)
職域の提供、人事部のサポート、親会社及びグループ内の理解促進
② ハローワーク(公共職業安定所)
地域障害者の雇用支援、委託訓練支援等
③ 就労支援センター
障害者の紹介・訓練、就業時間外のサポート(生活支援)、退職時の支援
【就労支援センターとの連携】
特に、当社の場合、親会社の事業基盤が広範囲であることから、多摩地域沿線各市及び神奈川県(横浜・川崎市)の多数の就労支援センターと良好な関係の維持に努めている。
【採用に当っての重要なポイント】
① 人の話を素直に聞ける人 ② しっかりと挨拶ができる人 ③ 一人で通勤できる人であり、仕事の経験は問わない。
なお、当社は、人材の発掘、知的障害者の育成・訓練、親会社における理解促進、支援員の研修などの趣旨をも兼ねて、特別支援学校・ハローワーク・就労支援センター・親会社の新入社員・ジョブコーチ研修等々、外部からの職場実習生を積極的に受け入れている。
3. 職域開発、組織編成
当社設立当時は、主要な清掃業務はほとんど外注となっていたが、親会社の現業部門における清掃業者の入っていない分野で、従来は職員自らが行っていた仕事を引き受け、その仕事ぶりが信頼されるようになったことにより、次第に職域を拡大していくことになった。
現在は、多摩センター事務所(本社)と調布事務所(2007年4月運用開始)の2ヶ所を拠点に、21地区51職場に展開するまでに拡大しており、営業内容は清掃業務、シーツ交換業務、植栽管理業務、名刺印刷業務、グループ各社からの軽作業へと多角化が進んでいる。
その要因は、本社人事部のサポート(資料配布・親会社における説明会の開催・社員研修の活用など)のもとに仕事ぶりに対する評価(誠実な作業・一生懸命な姿勢・真面目な取組)を高めていったことにある。
4. 職場の体制と作業の流れ
① 当社の運営体制は、業務部(総務・管理部門)のほか、総括マネージャー・マネージャー(4名)のもとにスタッフリーダー13名、スタッフ各3~4名を配し、13チーム体制となっており、各職場を巡回して作業を行う体制としているが、同じ作業の繰り返しにならないよう、職場環境をローテーションで変えることによりスタッフがチャレンジできる環境を用意し、モチベーションを高めるよう配慮している。
② 当社における1日の仕事の流れは次のとおりである。
9:30 | 始業 | 始業前には出社し作業着に着替えて朝礼、心構えや行動目標を唱和 |
〔行動目標〕 | ||
「誠実」な社員による、「誠実」な仕事により、信頼される会社を目指します | ||
1.安全:ルールを守って安全作業 | ||
2.チームワーク:いつも仲間と助け合い | ||
3.あいさつ:職場も心も気持ちよく | ||
〔あいさつの基本〕 | ||
オ おはようございます(こんにちは) | ||
ア ありがとうございます | ||
シ しつれいします | ||
ス すみません | ||
移動 | 各班ごとにスタッフリーダーとともにその日の職場に移動 | |
10:00~10:30ころ | 職場に到着し挨拶「よろしくお願いします」 | |
作業 | ||
12:00~13:00 | 休憩 | |
移動 | 午後の職場に移動 | |
作業 | ||
16:30 | 帰社 | 終礼、あいさつの基本を唱和、退社「お疲れ様でした」 |

朝礼風景

ホワイトボード

電車で移動中

シーツ交換

食堂の清掃

風呂清掃

百貨店用紙袋の二重化作業

名刺印刷
5. 能力開発、教育訓練
当社においては、スタッフリーダー及びスタッフ双方に「求めるもの」を明示し、企業理念の実現に努めている。
スタッフリーダー(指導員)に求めるもの
① | プラス思考(性善説)で思考する |
・信頼して待つ、期待し続ける。 ・失敗を認め、失敗を活かす。 ・機会を与える。 | |
② | 長所を伸ばす |
・個性、特性を早くつかむ。 ・出来たところを褒める。長所を伸ばす。 ・意欲を評価する。 | |
③ | 相手の立場に立つ |
・まず話を聞く。 ・メリハリをつけた指導。 | |
④ | “質”の重視 |
・時間がかかってもきれいに仕上げる。 ・真面目に一生懸命さで高品質を求める。 | |
・「効率性」より「誠実性」 | |
⑤ | 共に汗を流す |
・やってあげるのではなく、一人で作業が出来るようにサポートをする。 | |
・同じ目線で共に汗を流す。 | |
⑥ | 決めつけない |
⑦ | リーダー(指導員)のスキルアップ |
・外部講習会への積極的な参加 ・関連資格の取得の奨励とサポート |
スタッフに求めること
① | 人に“誠実”であること |
感謝の気持ちをもち、人の話に耳を傾け、人に対し思いやりをもって接しましょう | |
② | 仕事に“誠実”であること |
ひとつひとつの仕事に集中し、手を抜くことがなく、前向きに、一生懸命取り組みましょう | |
③ | 自分に“誠実”であること |
今の自分に出来る最善を尽くしましょう |
6. 取り組みの効果と今後の課題
【取り組みの効果】
当社の特色は本体(親会社)及びグループ会社が基本的に京王線沿線及び周辺地域としてまとまっているものの、いわゆる「現場」が分散しているため障害者雇用を進めにくい環境にはあるが、13チームの編成により、スタッフリーダーと共に各所に訪問する体制になっていることから、スタッフの仕事ぶりを通じて次第に職場の理解が進んできた効果は大きい。
【今後の課題】
① 職域の更なる拡大
京王グループ全体の協力のもとで、スタッフの特性が発揮できる職域を更に拡大していくこと。
② 地域貢献
障害者が自然に社会参加できる環境が作れるよう、更に地域貢献の一翼を担っていくこと。
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