リレーユースを核としてお客様に満足と感動を提供する
- 事業所名
- 株式会社コメ兵
- 所在地
- 愛知県名古屋市
- 事業内容
- 中古品及び新品の宝石、時計、バッグ、衣料、カメラ、楽器などの仕入と販売
- 従業員数
- 330名
- うち障害者数
- 3名
障害 人数 従事業務 視覚障害 1 PC入力作業 聴覚障害 肢体不自由 内部障害 知的障害 精神障害 2 経理業務、ネット通販業務 - 目次

1. 事業所の概要
(1)事業所の概要
当社は、昭和22年名古屋市中区大須に中古品衣料販売「米兵」を出店・創業したのが始まりである。以来、「モノは人から人へ伝承(リレー)され、有効に活用(ユース)されてこそ、その使命を全うする」という当社独自の「リレーユース」という概念の下、不要になった「モノ」を持つお客様から品物を買い取り、「モノ」を必要とするお客様へ販売する業務を行っている。
時代の変化やお客様のニーズに合わせて、取扱商品の拡張や全国への出店を続け、昭和62年に「コメ兵」へ社名変更、平成16年12月には東証二部、名証二部へ上場した。また平成22年には、新業態の郊外型リユースショップ「LINK SMILE」の出店、平成23年には業者向け仕入サイト「コメ兵バイヤーズサイト」をオープンするなど、常に新しい試みに挑戦し、業務の拡張を続けている。
平成24年1月現在、名古屋店本館を始め、新宿店、銀座店、青山店、心斎橋店、神戸三宮店、LINK SMILE5店舗を含む全国に19の実店舗を展開する他、宅配による買取、インターネット通販サイトによる販売など、全国のお客様に満足と感動を提供するために日々事業を進めている。
(2)当社の目指すもの
① | 「高く買えばモノが集まり、安く売れば人が集まる」 できる限り高い価格でお客様から品物を買い取りさせていただくことで、できる限り安い値段で販売させていただく。 こうすることで、コメ兵には商品がたくさん集まり、新しい商品を探しにお客様がたくさん集まるという考え方が当社の商売の始まりである。創業より、「売っていただくお客様にも、買っていただくお客様にも喜んでいただくための価格」を大切にしている。 |
② | 「高すぎず、安すぎず」 ただし、企業として存続していかなければ、社会貢献どころかお客様に喜んでいただくことはできない。つまり、高価買取、エブリディロープライスでありながら、高すぎ、安すぎにならないよう細心の注意を払って価格設定をしなくてはならず、常にお客様に満足していただける買取、販売価格を実現するためのニーズとウォンツの把握に努めている。 |
③ | 「『売る・買う』というライフスタイル」 当社は『売る、そして買う』というリレーユース独自の新しいライフスタイルを提案し続けている。 使わなくなったモノを手に買取センターにお越しいただき、その足で販売店舗にお立ち寄りいただく。販売店舗には、中古品を始めとするお得な商品を豊富に取り揃えており、買取センターでお支払いした金額に少しのお小遣いをプラスすることで、毎日お使いいただく新しい商品を手に入れることができるという、新しいライフスタイルをお客様に提案し続けることが当社の使命だと考えている。 |
(3)当社の3要素
① | 「確かな視点」 当社の中古品仕入の約8割が一般のお客様からの買取りであり、この買取りこそ当社の「リレーユース」を核としたビジネスを支える生命線である。 量だけでなく、質の高い中古品を調達するために必要となるのが、商品の真贋を判定し適切な買取価格を提供できる、つまり「確かな視点」を持つバイヤーの存在です。当社には創業以来積み上げてきたノウハウと実績に裏付けられた独自のプログラムにより、高度な専門知識を持つバイヤーを多く育成、強化している。 |
② | 「選ぶ楽しさ」 確かな品質の商品の提供に加え、豊富な品揃え、商品の魅力を引き出す照明、季節感を演出するディスプレイ、清潔感のあるフロア、接客付加サービスの向上により「選ぶ楽しさ」を提供する魅力溢れるアメニティ空間の実現に努めている。 |
③ | 「豊富な品揃え」 当社は中古品だけではなく、売場の華やかさ、商品の豊富さを演出するため、新品商品を取扱うことで、人気定番アイテムから新作アイテム、アンティーク商品や限定モデルのレアな商品まで「豊富な品揃え」を図っている。 |
(4)障害者雇用の状況
障害者雇用数3名
視覚障害 (1名) 担当業務:パソコン入力、設定作業等
精神障害 (2名) 担当業務:経理事務全般1名、ネット通販・WEB業務全般1名
法定雇用率1.8%を目指して取り組みを行っている状況である。
2. 障害者雇用の経緯、障害者の従事する業務・職場配置
(1)障害者雇用の経緯
当社は、ここ数年全国的な店舗出店を続け、東証二部及び名証二部へ上場するなど拡大の一途を辿る中、正社員やパートタイマー等従業員の数が急速に増加していった。しかしながら、障害者の採用については全く進んでいない状態であったため、管轄のハローワークから度々指導を受け、遂には「3ヵ年計画書」を提出することとなった。
そこで、ようやく障害者の採用に向け、ハローワークのアドバイスもいただきながら、集団面接会への参加、派遣会社への相談、職場環境施設の充実、障害者のスポーツチームと関わりを持つことなどで、3年以内に法定雇用率を達成させるべく取り組みを本格的に進めることとした。
募集については、年2回行われる「障害者就職面接会」への参加、ハローワークへの求人、派遣会社を通じた求人等さまざまな方法で採用を行っている。職務内容については予め決めておらず、障害者本人の今までの職歴、特性、業務や勤務地の希望などから一人ずつ決定している。
採用は、書類選考、複数回の面接を経て本人の能力等見極めながら時間を掛けて決定する。また、最終面接前には、採用が想定される部署の責任者も同席し、当社が障害者本人に担当してほしいと考えている業務と、本人ができる業務や携わりたい作業について面談し、採用後は、一定の期間サポート担当者が業務の指導及びサポートを行う他、定期的に部署責任者との面談を実施している。
雇用形態については、定着率を上げるため、現在のところすべて「正社員」として採用している。本人の能力に合わせて基本給が設定されており、待遇等は当社正社員とほぼ同様である。今後は、さらに雇用の間口が広げられるよう、パートタイマーや準社員、契約社員等、本人の能力や希望する勤務時間に合わせた採用ができるような雇用形態での採用も進めていく予定である。
(2)障害者の従事する業務、職場配置
障害者の従事する業務については、採用時に本人の障害の内容をはじめ、これまでの職歴、学校等で身につけたスキル、本人の特性や希望、勤務地を総合的に判断して決定される。現在従事している3名の障害者については、面接の際に本人と数回の面接を重ねて、最も本人にとって適正と考えられる部署へ配置されている。
① | 職場配置の例 例1:「WEB事業室に所属するA社員」 愛知県の集団面接会の後、書類選考を経て、数回の面接や相談を重ねて採用となる。本人が、大学時代に美術やWEBデザインを選考しており、自分自身の学歴を生かした仕事をしたいという希望から、当社でホームページの作成・管理やインターネット通販の管理全般を行う「WEB事業室」に配属。現在担当する業務は、ホームページの作成補助、パソコン入力、またインターネット通販におけるお客様対応業務や梱包発送業務の補助全般を行っている。 例2:「情報システム課に所属するB社員」 B社員については、もともとの職歴を活かし、社内にあるパソコンを始めとする情報機器の設定管理業務、帳票や書類の出力業務、POSシステムの維持管理業務など専門的な業務を行う「管理部情報システム課」に、障害のない者の中途採用として配属された。しかしながら、不慮の事故により視覚障害を持つこととなった。事故直後は、暫くの間休職し、その後、復帰にあたっては本人も引き続き同じ部署での勤務を望んでいたことから、無理なく業務が出来るよう短時間勤務からスタートし、現在では通常の正社員と遜色なく勤務できるところまで回復している。 例3:「経理課に所属するC社員」 派遣会社からの紹介により、正社員として当社へ入社。本人の職歴によれば、経理・会計業務や庶務業務などの経験があることから、「管理部経理課」へ配属。経理課では、日々の売上日報やクレジットカード伝票を整理する業務をはじめ、簡単な書類の作成、経費の精算など経理業務全般の補助業務を行っている。 |
② | 勤務地について 勤務地については、今のところ全ての障害者は本社のある名古屋市中区大須に勤務している。もともと当社は、障害者対応設備の設置についても遅れていたが、視覚障害者が勤務する建物内には、障害者本人が使用可能な扉や警備システムへ改装、設置するなど、徐々に設備面での受け入れ態勢の充実も図っている。 今後の勤務地については、当社が全国に店舗を展開していることから、東京を始めとする当社の店舗があるさまざまな勤務地での採用も行っていく予定である。そのためには、名古屋本社同様、店舗には障害者用設備を整えるなどの受け入れのための準備を進める必要がある。 |
3. 今後の展望と課題
当社では、障害者雇用に対する考え方が社内にも広まりつつある。まずは計画通り法定雇用率を達成することを第一の目的として取り組むことが、早急の課題と言える。雇用率向上のために、以下の様な取り組みを実行する予定である。
(1)全国各店舗での採用の促進
現在、当社の障害者はすべて名古屋本社に勤務しているが、今後新宿店を始めとする大型店舗を中心に、名古屋本社以外での採用も進めていきたいと考えている。特に新宿店ではバックヤードがあり、その場所で作業場を用意できること、名古屋本社にある総務課機能の一部があることから、採用後の雇用管理や面談等が容易であることもあり、今後積極的に採用に取り組む予定である。ゆくゆくは1つの大型店舗につき、少なくとも1名採用することを目指している。
(2)さまざまな雇用形態での採用
現在、当社の障害者雇用はすべて「正社員」という雇用形態となっており、勤務時間等当社正社員と同様に勤務が出来る人を雇用の対象としている。正社員で採用することで、障害者本人に責任感が生まれ、離職率が低下することや、当社においても、長期間の雇用をある程度想定できることなどメリットもある反面、条件が合わない場合には、不採用とすることもしばしばあった。
今後、本人の障害や本人が希望する勤務日数・時間等を考慮し、正社員以外での雇用形態による採用についても前向きに取り組んでいく方針である。特に、日数や時間が限られている短時間労働者については、「パートタイム」という雇用形態で採用していく他、「準社員」や「契約社員」といった有期雇用での採用も検討していく。
(3)コメ兵商品センターでの採用
平成24年2月に名古屋市守山区に建設される「コメ兵商品センター」は、障害者の雇用を見越して、身体障害者用の設備を充実させた建物となっている。身体障害者用の駐車場、トイレ、休憩スペース、エレベータ等、快適に働くことができる環境が備わっており、当社でなかなか採用が進まなかった身体障害者の雇用を推進していく所存である。また、商品センターではパソコン入力や商品の点検・梱包・発送、その他事務作業など、さまざまな種類の業務があり、本人の能力や希望する勤務時間に合わせて業務を組み立てることが可能となっている。
(4)障害者スポーツ支援と採用
現在当社では、CSR活動のひとつとして、愛知県に拠点を置く男女車いすバスケットボールチームのスポンサーとなり、活動を支援している。チームの試合結果等を当社ホームページでお知らせしたり、タイアップグッズを作成するなど、徐々に支援の幅を広げている。
また、選手と常に情報共有を図っており、障害者である選手の雇用の実情や、障害者の立場での採用のあり方、雇用の方法についての要望や、施設設置についての意見をいただくなど、障害者雇用を進めるにあたって大変参考となっている。今後は、チームの関係者からも、双方の条件が合えば積極的に採用するなど、雇用での支援もしていきたいと考えている。
なお、2012年はロンドンパラリンピックが開催される年であり、当社では日本パラリンピック委員会(JPC)オフィシャルサポーターとして協賛し1年間活動する等、より一層障害者スポーツ支援に向けて積極的に取り組む考えである。
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