知的障害者のための佃煮製造における異物選別工程の抜本的見直し
2002年度作成
事業所名 | 株式会社山下水産 | |||||||||||||||||||||
所在地 | 北海道札幌市中央区 | |||||||||||||||||||||
事業内容 | 食品製造販売業 主に北海道産水産物を原料として加工製造とこれの販売 主たる加工品(生たき佃煮・いずし・昆布巻) | |||||||||||||||||||||
従業員数 | 42名 | |||||||||||||||||||||
うち障害者数 | 3名
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1.概要
寿都事業所岩内食品工場における知的障害者のための佃煮製造における異物選別作業工程の抜本的見直し |

2.改善の背景、問題点、経過及び進め方の概要
(1)改善の背景 |

当事業所の佃煮はこれまで熟練工の手作業により高い品質を維持し、一般顧客から高い評価を得ている。異物の選別工程についても熟練工が勘を働かせ目視により異物を発見し、素早い手作業で選別している。主な異物として小石・釣り針・プラスチック・海の虫等がある。 この度、知的障害者の雇用継続のために異物選別工程を抜本的に見直し、初めて機械化を行った。知的障害者は熟練工のように勘を働かせ、目視で判断処理できないのでX線異物検出装置一式を設置した。 |

(2)異物選別工程に至る作業工程 |

ア 水揚げ 寿都前浜にて小女子を水揚げする。 集漁灯を照らし魚を集め、あみ(無地)ですくいあげる。この時、海に浮かんでいる異物もいっしょに入る。 | ![]() 水揚げ |

イ 釜入れ 寿都漁業協同組合で入札された小女子が工場に入荷。鮮度がおちやすいため、逸早く釜に入れる。 生小女子に水飴と砂糖を入れる。熟練工が魚がかたまらないように、しっかりかきまぜる。この時、異物もいっしょに入り煮ることになる。 | ![]() 釜入れ |

ウ 冷却・長期保存 作業台に広げ約1時間かけよくさます。 出来上がった半製品を1斗カンにつめ、業務用冷凍庫に入れ長期保存する。 エ 出庫・解凍 注文に応じて業務用冷凍庫より半製品を出庫する。 | ![]() かくはん |

3.改善の内容
(1)改善前 |

知的障害者が異物選別工程を行う上での問題点 小女子(こうなご)は体長2センチから3センチ程度の小魚で、しかも佃煮は水飴を使用しているので、ねばりがあるため異物の判断がむずかしい。 選別判断に時間を多く費やし、知的障害者の手から体温が佃煮に伝わり鮮度が落ち品質を悪化させる。 知的障害者が時間を費やしても判断誤りが多く、完全に異物を取りきれず、クレーム発生の原因となり商品化が困難となる。 |

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(2)改善後 |

[1] 知的障害者はX線異物検出機の電源を入れ、半製品の佃煮(2キログラム程度)をトレーに小分けしてベルトコンベアーに乗せ、異物検出機に入れる。 | ![]() 知的障害者の選別作業 |

[3] 異物が検出された場合、パトライトが光り同時にブザーが鳴り、フリッパーが作動し、別方向の受作業台に送られる。 |

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[4] 異物が検出された佃煮は、熟練工の手作業で再度選別作業を行い、異物を除去する。 | ![]() 熟練工の再選別 |

4.改善効果の概要
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執筆者:社団法人北海道障害者雇用促進協会 事務局次長 湯川 旭 |

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