障害者雇用における人材育成と組織
2002年度作成
| 事業所名 | 株式会社ココスジャパン | |||||||||||||||||||||
| 所在地 | 茨城県つくば市 | |||||||||||||||||||||
| 事業内容 | 株式会社ココスジャパンは、ファミリーレストランをはじめ、焼肉レストラン、メキシコ料理レストランの3業態からなる直営店舗を、関東、東海、東北エリアで、約370店舗展開している。また、その他の地域では、地元企業との提携により、出店を拡大している。 また、レストランの店舗運営を行うだけでなく、食材の調達から加工・物流・販売まで、フードビジネスに関わるすべての行程をトータルにコントロールするシステムを確立している。 |
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| 従業員数 | 1,300名 | |||||||||||||||||||||
| うち障害者数 | 22名
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1.取り組みの経緯、背景
 レストランビジネスにおいては、接客場面での対人サービスが重要である。このために、本事業所では、従業員間の関係を良好に保つことに基づいて人材育成を行っている。障害者雇用にあたっても、職場の雰囲気づくりを優先して研修を行っている。また、本事業所の特徴として、各店舗で同じ商品や時間などを提供する必要があり、これを達成するために、サービスの標準化（単純化）を図っている。アルバイトの入れ替わりも多く、接客やメニューの変更に対応することができるマニュアルを作成している。店舗での業務を基本的な動作レベルで説明し、未経験の者に対しても、場面に応じて指示することができるシステムを整備している。 動作と場面との組み合わせによって実際の作業を段階ごとに分けることができ、障害者にとって業務を遂行しやすい環境になっている。また、指導する側にとっても、一定期間の作業目標とスケジュールをたてることができ、業務の効率性に結びついている。 障害者が業務に取り組みやすく、「次になにをすれば良いか」がわかるようなシステムをつくることが、雇用の安定に結びついている。 ■取り組みの経緯
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2.取り組みの内容および効果
（1）採用 |
 ［1］ 採用の経路養護学校在学中に店舗実習を行い、卒業後に就労の希望がある場合に、店舗の状況に応じて採用を行っている。また、職業安定所からの紹介により、採用を行っている事例もある。 ［2］ 店舗実習 職場見学と職場を経験することを目的として、店舗実習（2週間）を行っている。店長または熟練社員のトレーナーが業務の内容を説明し、実際に店舗での業務を体験している。  ［3］ 入社時の確認障害者の入社にあたっては、受け入れる店舗の店長と地区を統括する地区長により協議を行い、障害の状況や入社の経緯などを確認している。 |
（2）障害者雇用の状況 |
| ［1］ 業務の内容 店舗では、フロアでの接客業務とフード内での調理業務があり、障害者は主に調理業務を担当している。調理業務のなかでは、各作業への割り当ては個別の状況に応じて行っているが、基本的には、機械を使用する洗浄作業から始まり、食材の仕込み作業、業務に慣れた後に調理に移行している。 ■障害者雇用の状況
［2］ 雇用の環境 レストラン業務の営業時間は、午前10時から翌日の午前2時までの店舗が多く、24時間営業の店舗もある。一般社員はローテーション制で、週5日40時間の雇用になっている。これに準じて、障害者はランチタイムの時間を中心に、週5日32時間を目標として、雇用している。 業務の内容は、他の社員とともにローテーションを行っており、特別に異なる作業や、障害に応じる作業を提供していない。他の社員は、高校生から主婦層まで分かれており、昼間のローテーションでは、主婦層によるナチュラルサポートを期待できる。 |
3.今後の展望
| 株式会社としては利益を目標としなければならず、労働時間と効率性を追求していく必要がある。 |
（1）障害者のスキルアップ |
 本事業所では、準社員およびアルバイトを対象として、「ファイブスター制度」を実施しており、作業評価の「スター」が増えるごとに、賃金等のレベルが上がっていくというシステムになっている。障害者のなかにも、「ファイブスター」になっていく社員もおり、スキルアップと就労の意欲を持続することに結びついている。 |
（2）障害者の労働時間 |
| 現状では障害者の作業効率は低く、店舗ごとの独立利益に影響を与えている。これに対し、労働時間の半数に値する賃金を事業所本部から賃金を補填し、各店舗における労働時間と効率性のバランスを保つ取り組みを行っている。 |
（3）目標設定 |
| 人事の担当者と店長が密接な連絡をとり、作業の段階などを相互に把握し、今後の目標設定を行うことにより、職場定着に結び付けることを課題としている。作業の遂行状況をフォローし、人材を育成していくための教育的な配慮を行っている。 |
| 執筆者：国立精神・神経センター精神保健研究所 社会復帰相談部 野口 博文 |
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