障害者の雇用拡大に「職場」を新設！
2002年度作成
| 事業所名 | 新日本製鐵株式会社 君津製鐵所 | |||||||||||||||||||||
| 所在地 | 千葉県君津市 | |||||||||||||||||||||
| 事業内容 | 鉄鋼業（粗鋼精製） | |||||||||||||||||||||
| 従業員数 | 3,972名 | |||||||||||||||||||||
| うち障害者数 | 35名
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 （君津製鐵所 全景） |
1.事業所の沿革
| 新日鐵君津製鐵所は、東京からアクアライン経由で約1時間、東関東自動車道終点を下りると一望できる大型の製鐵所である。 すべて埋め立て造成を行った土地に立地しており、東京湾に面した緑深い敷地に効率的に多くの工場を配置している。面積は約1，020万平方メ－トルで、東京ドームの約200倍の広さとなっており、ここで現在、社員と関連協力会社、あわせて約10，000名が働いている。 昭和40年4月の創業以降、多くの工場を順次稼働させ、現在は、国内粗鋼シェアの約8％を占める大製鐵所として、自動車や家電製品向けの薄板、造船や建築用の厚板、土木、建築用の形鋼、水道管や石油パイプラインに使われる鋼管等、多岐にわたる鉄鋼製品を24時間体制で生産している。 |
2.職場新設の背景
この時期、会社では、長引く景気の低迷から従業員の減少と、新卒者の採用手控えを余儀なくしている中、中途障害者の雇用継続者も定年を迎え退職が予定されている事から、雇用率の達成には困難が予測された。 企業として、障害者雇用の社会的責任を果たすと言う観点から、障害者に開いた職場として考えられる職場は、事務部門以外には、工場内の作業現場が有力となるが、安全面での問題が懸念されることから職場としての配置は断念した。 既設の職場での雇用に限界があるため、社内施設の「君津健康増進センタ－」内に障害者雇用の門戸が開けないか検討した。 当施設は、従業員及び家族の福利厚生充実を目的として、温水プ－ル、カウンセリングル－ム、サウナ、マシントレ－ニングル－ム、フイットネススタジオ、軽食・喫茶等を備えた多目的センタ－である。 当センタ－利用者から、マッサ－ジ導入の要望が出ていたことから、気軽に利用できる健康増進、体力維持、疲労回復等を図る「マッサ－ジル－ム」を併設して、視覚障害者の雇用を決定した。 |
3.新設の経緯
（1）「マッサージ」等、視覚障害者の雇用実態の研修 |
| 視覚障害者の雇用に理解を深める為、東京・船橋・千葉方面で、ヘルスキーパー・マッサ－ジ」等、雇用されている3社の事業所を訪問して、研修を実施した。 研修先の事業所選定には、千葉盲学校の卒業生が勤務している事業所を同校の先生に紹介を頂き選定した。 |
（2）研修内容 |
| 障害者の労務管理、マッサージ内容・人員規模・職場のレイアウト等ソフト・ハード面についてヒアリングを実施。 マッサ－ジ師採用内定から開業までの間、治療内容・運営方法・料金設定等、1週間の研修を、他の治療院で行った。 |
（3）「マッサージルーム」の設置場所・面積 |
| 会議室の拡張・軽食喫茶室改造・増築の3案を社内で協議。 結論として、3F空間50平方メートルを利用し増改築と決定。 |
（4）増改築の経費 |
| 経費は、千葉県雇用開発協会の協力を頂き、第1種障害者作業施設設置助成金を受給したため、会社の支出負担は3分の1に抑えることができた。 |
 完成したマッサージルーム |
（5）障害者の募集・採用について |
| 採用については、千葉県立盲学校の全面的な協力を頂き、同校理療科卒の提供と、千葉県立盲学校の就職活動の状況の紹介を受けた。 募集は、管轄公共職業安定所に視覚障害者の求人を申し込み、求職情報の視覚障害者のマッサージ師3名（うち2名重度）を新規採用した。 |
4.職場新設の効果
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 只今マッサージ中 |
5.今後の課題・展望
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6.新設の経緯
（1）「マッサージ」等、視覚障害者の雇用実態の研修 |
| 管轄安定所から受けた、障害者の求職情報・視覚障害者の就職動向等を分析し、事業主の求める作業内容から、千葉県立盲学校を選択して、障害者の生活指導面の助言を受ける等、行政、学校、事業主、求職者の4者一体となって、未経験の採用を実現させた。 |
（2） 職場の新設について |
| 障害者の雇用を促進することは、社会的責任であることは理解していても、長引く景気の低迷する中では、大企業と言えども難しいと思われる。平成10年以降、新規採用数を縮小し従業員も856人減少させる等、人件費の見直しや経費の節減を余儀なくされている時、障害者に開いた「職場」を新設して雇用拡大を図った。 |
（3）職場新設の経費について |
| 「職場」設置経費の軽減を図るため、「障害者作業施設設置等助成金」を活用したことは他の事業主の大きな励みとなり、助成金活用の模範となった。 |
（4） 雇用拡大の効果について |
| 事業主は、雇用拡大について関係各機関を有効に活用し、各機関はそれぞれの立場で協力して、これを結実した。 |
| 執筆者：元 木更津公共職業安定所長 長谷 信夫 |
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