障害者の完全参加に挑む特例子会社
2002年度作成
| 事業所名 | 株式会社スタッフサービス・ビジネスサポート | |||||||||||||||||||||
| 所在地 | 神奈川県相模原市 | |||||||||||||||||||||
| 事業内容 | 発送業務（簡易印刷、在庫管理、印刷物の発注、発送用データ入力等含む） 保管業務（契約書・タイムカード・人事関係書類等の保管） 管理業務（給与明細作成、データ入力・修正、健康管理案内の発送・管理） その他 （返信用封筒への切手貼付け） | |||||||||||||||||||||
| 従業員数 | 82名 | |||||||||||||||||||||
| うち障害者数 | 58名
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1.事業所の概要
| 株式会社スタッフサービス・ビジネスサポートは、「ノーマライゼーション、完全参加と平等」を基本理念とし、株式会社スタッフサービス・ホールディングスの子会社として相模原市淵野辺駅（JR横浜線）から徒歩3分ほどプロミティふちのべの2フロアを占有して事業を実施している。 |
2.取組みの経緯、背景
| 当社の親会社である株式会社スタッフサービス・ホールディングスは、「障害を持つ人達の社会参画に支援を行うことは、企業の責務」であり、人材派遣を業とするものとして、個々の障害者の諸事情を考慮した職場・職務開発は当然、という強い信念の基で、株式会社スタッフサービス・ビジネスサポートを特例子会社として設立した。 特に障害者雇用に際しては、障害部位別に見て、比較的就労の場が少ないといわれる「内部障害者」の雇用を柱として事業が展開され、業績は順調に伸びている。 |
3.取組みの内容及び効果
（1） 障害者の募集・採用 |
| 当社の親会社は人材派遣業である。時節柄、企業の人材雇用形態は多様化し、人材派遣は年々増加の傾向にある。従って、親会社からの委託業務を業態としている当社の仕事量も増加していることから、今後も募集・採用を定期的に行っていくことにしている。 募集・採用に当たっては、次の点に着目して採用決定をしている。なお、採用後は職務能力を身につけるため、社内集合研修により職場適応の能力開発が実施されている。
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（2）配置・定着・職場適応 |
職場適応については、1人ひとりの保有能力を発揮してもらえるように、次のことが配慮されている。
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（3）能力開発・職務開発 |
入社後の社内集合研修や職務適応の能力開発をベースに、職務に応じた個々の能力開発は、生産能力開発の考え方で次の面に留意して実施されている。
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（4）組織再編・労働時間 |
組織編制・運営は、次のしくみの基に、従業員が自主的に進める体制が作られている。
第2シフト 11：00～18：30 当社は内部障害者（特に腎障害のため人工透析が必要な者）の通院時間の確保とメンタル面のケアを理解・配慮して、二交代制を編み出し導入している。この制度は、特にメンタル面・体力面の負担を軽減し、一人ひとりの能力を職務で発揮してもらうことに効果をあげているように思われる。 組織編制・運営は、ゼネラルマネージャー補佐を頂点に、その下のマネージャー並びに数人のリーダーを配した、障害者だけによる管理体制がしかれている。 この組織体制においては、自主的に職務達成意欲を喚起し合い、作業効率を高めていく意識と職場のコミュニケーション、そして特に職務の引継ぎが円滑に行われている点などに、その効果の一端を見ることが出来る。 |
（5）賃金制度 |
| 賃金については、現在のところ同一職務・同一賃金を基本としているが、その能力には差があり、成果にもその差が現れてくるそうだ。この成果の差については、賞与によってドラスチックに差をつけて、それぞれの貢献度に報いるようにしている。将来的には、評価制度の改善を合わせて、能力による賃金への格差を考慮した賃金制度への移行を考えているとのことである。 |
（6）安全衛生・健康管理 |
| この事業の運営においては、個人の能力・特性に合わせた適材適所への配慮と同水準の重要性をもって、従業員の安全衛生・健康管理が配慮されるべきとしている。 健康管理の取組みについては、人工透析者の体調管理は本人の自主管理が重要であることから、月に一度は必ず従業員各個が産業医の問診（健康相談）を受けられるように、産業医が月に3回来社している。また専任の看護師が常駐し、日常の心身両面での健康相談・健康指導に対応して自主管理を支援している。併せて職場以外の場面での自己による体調管理の指導も行われている。 |
（7）就業環境の整備 |
| 職場環境は明るく、十分な作業スペースがとられ、作業テープルや什器の配置等も働き易い環境が整えられている。 このフロアには個人対応の診察領域、全面禁煙（休憩室の一角に喫煙コーナー）、車いす専用のトイレが備えられており、従業員の健康管理に配慮した環境整備がなされている。 |
（8）その他障害者の雇用に係る改善や配慮事項 |
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4.考察
| 障害者雇用の必要性や企業の社会的責任は叫ばれているが、実際にそれを実践するのは“言うは易し、行うは難し”である。その意味で当企業は、ほんものの障害者雇用の優等生企業といえるだろう。言い換えると理想に近い障害者雇用体制の整えられた企業といっても過言ではない感じがする。 それは単にハードの施設を備えるのみならず、それを運営するトップマネジメントを筆頭とする経営層が、障害者雇用に対する強い社会的責任とその仕事への価値観を強く持っていることに起因しているように思われる。 今回の訪問で面談に応じて頂いた社長座間章氏もゼネラルマネージャー鷲見氏も、何気なくさらりと障害者雇用の話をされたが、此処へ至るまで（約3年間）のご苦労は如何ほどのものか、部外者の想像を越えるものがあったと推測する。また両人とも障害者雇用に対する造詣の深さと取組みへの熱意は、この文頭に記述した理念・思いでも理解されるように、並大抵のものではないことを感じさせられた次第である。 |
| 執筆者：もと・おふぃす 代表 加藤 元久 |
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