モノづくりのプロを目指す障害者のための能力開発
2002年度作成
| 事業所名 | 社会福祉法人 琴の浦リハビリテーションセンター付属身体障害者福祉工場 | |||||||||||||||||||||
| 所在地 | 和歌山県和歌山市 | |||||||||||||||||||||
| 事業内容 | 電池部品の組立 | |||||||||||||||||||||
| 従業員数 | 56名 | |||||||||||||||||||||
| うち障害者数 | 46名
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1.取り組みの背景（モノづくりのプロ集団）
| 福祉工場といえども経営的に成り立たなくてはいけないことは当然だが、障害者の経済的自立と仕事を通じて生きがいを見いだせる工場が当工場の目的である。 モノづくりを通じて生きがいを見いだすには、各自がモノづくりに対するプロとなるように自分のスキルアップを計り、現状に満足することなく改善を積み重ね自分の仕事に誇りをもてる職場にしなければならない。 |
2.取り組みの経緯（自分の設備は自分で育てる）
| 当工場では毎日約1500万個の部品を使用しそれを組み立てるという高速ラインがメインになっている。このラインの操作、品質管理、メンテナンス、改善等は全てオペレーターが責任を持っている。 |
| このために障害によるハンディがあっても、設備を自分が使いこなせるように、自分で考え改善していく、例えば手が届かないからとか、立てないからとか言い訳はせずにそれを克服できるような設備に改善していく、これが自分の設備は自分で育てるという当福祉工場のモノづくりの原点の一つになっている。 |  電池部品組立ライン |
3.取り組みの内容（スキルアップのためのプログラム）
| モノづくりに必要な技能の取得のための環境を整え、障害に関わりなく挑戦する機会を与えている。 |
（1）OJTによるオペレーターの訓練 |
| 新しい職場に配置された従業員はその職場のリーダーや先輩からマンツーマンのOJTにより徹底した訓練が行われノウハウやメンテナンスの方法が伝承される。 |
（2）技能講習会 |
| 講習会を開きモノづくりに必要な技能を習得する。 電気制御、機械製図、各種工作、パソコン、品質管理、計測器の取り扱い等 |
（3）誰でも何にでも挑戦 |
| 講習会以外に希望があればどのような障害を持っていても技能の習得に挑戦する機会を与える。 以下のようなハードを揃えモノづくりの技能習得のための環境を整備している。
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（4）改善実施 |
| 改善することが仕事であり現状で満足すれば後退である。 自分で考え自分で実施するのが基本である。 不良を出さないこと、安全性が確保することを守れば失敗を畏れずに自由に改善を実施できるようにしている。 |
（5）技能競技大会 |
| 大会に参加することにより技能を習得し、客観的な評価を知る。 毎年15名ほど参加している。 種目は |
|  技能競技大会 |
（6）技能検定の取得 |
| 国家検定や社内検定を取得し自分の技能に自信を得る。 電子複合2級 2名 機械複合2級 5名 |
4.成果
| 各自の技能の習得の結果、緻密なメンテナンスやノウハウ蓄積及び改善が可能になり、その積み重ねにより高信頼性で低コストのモノづくりを追求し継続している。 ［1］ 高信頼性のモノづくり 2001年度クレーム件数0．006PPM ［2］ 安定した設備稼働 2001年度全設備の平均稼働率96％ ［3］ スピードアップによる合理化 例 1800個／分のラインを3600個／分の増速に成功した。1999年 ［4］ 設備開発による省人化 独自で開発した設備により省人化に成功。 |
 車いすには苦手なマテハン作業を解消するために、2年がかりでパレタイザーを独自に開発した。これにより1名の省人化に成功した。 2000年 |
 構想、設計、製図。プログラム作成、組立（配電盤の作成、配線、配管）まで自分たちで開発し完成させた検査装置。1名の省人化に成功した。 2001年 |
5.今後の課題と展望
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| 執筆者：琴の浦リハビリテーションセンター付属身体障害者福祉工場 部長 宮本 知和 |
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