中途障害者の職場復帰の取り組み
2002年度作成
事業所名 | 株式会社明治製作所 | |||||||||||||||||||||
所在地 | 鳥取県倉吉市 | |||||||||||||||||||||
事業内容 | 鋼材を加熱し、自動車、産業機械、農業機械部品の型打鍛造・熱処理・機械加工及び金型製作等の受注生産を行う鍛工品製造業。 | |||||||||||||||||||||
従業員数 | 163名 | |||||||||||||||||||||
うち障害者数 | 5名
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1.取り組みの経緯、背景
大型プレス機械、高温熱処理炉を使用し、訓練を要するところから、障害者の新規雇用は困難であり、それに伴う労働災害事故での中途障害者が多く、その防止対策については、全従業員で周知徹底を図っているところである。 プレス機を扱っていた者が、右上肢を全廃しその後、自ら選んだ作業種として、各種材料、製品等の運搬をする、フォ-クリフトの運転手として、職場復帰することになった。 | ![]() プレス機 |

2.取り組みの内容及び効果
新たな災害防止対策として、 [1] 基本の動作を忘れることなく、安全確認を行う。 [2] ダブルチェックを怠らないこと。(グループで作業を行っているので、複数人での確認。) |
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(1)配置・定着・職場適応 |

職場配置については、個々の能力開発を重視し、個性と発想を活かし常に前進を心がけた配置に取り組んできている。 障害者の意志と残存能力を活かすため、フォークリフトのギアチェンジレバーを、オートマティックに改善し、中途障害者の職場復帰を図るため職場定着に努めた。 ■中途障害者の災害前とその後の経緯(製造部に所属・男性)
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上肢機能障害3級(右上肢全廃) 改造リフト車 右手義手 |

(2)能力開発 |

完全な職能給制度を取り入れ、障害者、年齢に関係なく貢献度による評価を行っている。 全社員、技能士の国家資格を取得するべく日々研鑚を重ね、1996年には全社員が国家資格を取得し、各種資格を複数取得する者も数多くいる。また、資格取得をめざす若年者のために、社内に伝達道場を設置し、1級取得者が、道場主となって、自ら社員の教育研修を行い、資格試験に臨んでいる。 ハイレベルの技能習得には、積極的にポリテクセンターと連携を密にし講師の要請・従業員の派遣を行い、研究開発のスペシャリストとして、進んで研修を重ねている。 資格取得にかかる研修経費及び、資格試験費用等は、すべて会社が負担し、技能士取得者には、報奨金も支給される。 |

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(3)職務の改善等提案活動 |

各作業工程での、ムダ・ムラ・ムリをなくする改善提案活動を展開中で、小集団のミーティングにより年間25,000件を越える提案が出され、その意見が、作業に数多く反映されている。また、優秀な提案者には、ハワイ旅行のプレゼントも毎年6名用意されている。 | ![]() 優秀改善
提案の掲示(社員会館内) |

(4)賃金・労働時間等の労働条件 |

の3交代による、1週間サイクルでの勤務体制を行っている。 また、一般職は、8:15から、16:45の勤務である。 実働時間・・・7時間45分 休憩時間・・・45分 年間休日・・・114日 年間総労働時間・・1945時間 ・ 障害者の平均基本給・・・270,000円 ・ 駐車場については、敷地内3ヶ所に駐車場を設置し、全員の職員用無料駐車場を確保している。 |

(5)継続雇用・退職・定年 |

中途障害となった社員は、職場配置転換を奨励し、自らの希望残存能力を見極めて、継続雇用を積極的に行い、定年退職まで雇用している。 定年は、満60歳。ただし、定年後の継続雇用は、会社が認めた者とし、1年更新で行っている。 |

(6)安全衛生・健康管理 |

●安全衛生委員会の設置 安全衛生委員会を設置し、毎月、委員による安全パトロールを実施。指摘に対する改善を怠らないよう指導している。 ●従業員の健康管理 年に2回、春・秋の定期検診を行っている。 さらに、毎月、産業医に来社してもらい、定期検診による異常のある者のみ検診を行う。 管理職以上は、生活習慣病の検査を義務付け、他の従業員は、希望者のみ行っている。(会社負担) 5Sの規則を遵守するよう指導している。 [1]整理 [2] 整頓 [3] 清潔 [4] 清掃 [5] 躾 |

(7)就業環境の整備 |

●社員会館の設置 会社に隣接した社員会館を設置し、階下にロッカールームを一人当たり2個備え、作業着用・通勤用に分けている。 浴室・売店・労働組合事務所を整備、また、研修室・会議室等で、社員のコミュニケーションに勤めている。 会館は床暖房を完備しており、勤務後、ジェット式浴槽で入浴し、体をリフレッシュして、退社するよう24時間利用できる会館とし、福利厚生にも行き届いている。 |

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3.今後の課題・展望等
・ ヒヤリ・ハットの提言活動と危険予知訓練教育の展開を図ること。 ・ 安全面で、安全標準を設け、書面にて徹底するよう指導すること。 ・ 工場内に、安全指示の看板を設置していく。 ・ 災害ゼロを目指すのではなく、危険個所ゼロを目標とする職場にしていく。 など、事故防止の安全確認を重点にして今後の指導を強化していく。 |

執筆者:社団法人 鳥取県障害者雇用促進協会 雇用アドバイザー 田中 留理子 |

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