下肢障害者，聴覚障害者，知的障害者の雇用管理に関する取組み
2002年度作成
| 事業所名 | 株式会社日本計器鹿児島製作所 | |||||||||||||||||||||
| 所在地 | 鹿児島県川辺郡 | |||||||||||||||||||||
| 事業内容 | （株）日本計器製作所を親会社に、鹿児島県知覧町の誘致企業として昭和51年8月に現在地に立地し、超小型電器指示計器の製造を開始する。 昭和55年には鹿児島松下電子（株）の協力工場として発光ダイオードの生産を開始するなど事業拡大を図る。現在、発光ダイオード，赤外受発光素子，各種自動機器，自動製造設備および治工具類の設計製作，カスタムディスプレイ，各種電子機器の設計製作販売，OA機器用ファンモータ，ヒートシンクファンモータ，その他を製造している。 平成12年11月には第二工場として知覧町新町に、労働意欲のある方は障害者・健常者を問わず働ける工場にしたいとの信条でバリアフリー工場を建設している。 | |||||||||||||||||||||
| 従業員数 | 177名 | |||||||||||||||||||||
| うち障害者数 | 7名
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1.障害者雇用の経緯と背景
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2.障害者を雇用して直面した問題・課題
（1）聴覚障害者 |
| 会話がスムーズに出来なかったことから同僚・上司間の意思の疎通を欠いての作業手順の不徹底や非効率的作業，また、甘えが強く、我儘な性格で、欠勤や無断での職場離脱等が多く、仕事に対する取組みに積極性が見られなかった。結果的にはプロゴルファーになりたいとの事由で自己退職した。 |
（2）知的障害者 |
| 指導員によって作業能力の向上に差が生じる。 時折り原因不明のストレスにより、奇声・大声を出す。 知的障害者のみのグループでは、成長しない。 |
（3）障害の進行性のある障害者 |
| 事業所内の施設・設備が不備の場合に、入社した時点よりその障害の程度が進行した時は、事業主の責任を追求される恐れがある。 |
（4）社宅・寮等の施設 |
| 町の誘致企業として立地したため、当初から地元採用の方針で、社宅・寮等の施設は建設しなかったが、障害者の採用に当たっては、ある程度、広範囲からの応募があり、又町内でも遠距離通勤のため入寮等を希望する者もあって、社宅，寮がある方が、障害者の雇用拡大に繋がる。 |
（5）職歴のない障害者の採用 |
| 職歴のない障害者の場合は、作業上及び職場での適性や適応等について自覚・認識がない、そのため、面接時において職業能力や適性について把握が難しいため、採用後の対応に不備が生じ、トラブル発生の原因となりやすい。 |
3.問題・課題等への対応
| 障害者職業生活相談員の選任や障害者職場定着推進チームを設置し、ケースバイケース及び月1回の委員会を開催して、問題点・反省点を分析、対応策等を検討して実施してきた。 |
（1） 聴覚障害者への対応 |
| 初めての聴覚障害者採用のため事業所において、聴覚障害者やそれの雇用についての知識・認識が無く、また、適切な指導者の不在等で、相互の意思疎通を欠いたことから作業能力の向上に結びつかず、職場環境にも馴じまず自己退職に至った。 これらを踏まえて、聾学校の先生から聴覚障害者についての特性等や、さらに職場においては、一人の聴覚障害者に一人の指導員なおかつ、ある時は厳しく、またある時は、柔和な接し方・指導が出来るスポーツ少年団等の指導経験者が好ましいとの助言、それと併せて地域障害者職業センター・安定所から障害者の雇用管理等について情報を得て取組んだ結果、作業能力の向上やコミュニケーションも良好となって定着性が向上した。 |
（2）知的障害者への対応 |
| 短気的性格の指導員は不適任、また、知的障害者のみのグループ構成ではなく、健常者の中で作業を行い、指導した方が当該人のやる気を喚起し、成長することが判明したので、現在は、そのような対応を行っている。 また、奇声・大声の発生は、ストレス解消法の一つであり、その都度、注意するのでなく、放任していると自然と納まることが判明したので、同僚・上司等に注意しない，宥めない，見て見ぬ振りをする，一定の距離を置くよう指導している。 |
（3）障害者の進行性のある障害者への対応 |
| トイレ，エレベーター，スロープ，出入口等の施設，機械器具等の改善が無いまま就業した結果、障害の程度が進行した時、事業主の責任を追求されることがある。しかしながら、障害は同じでも障害者個人個人によって、施設設備の改善内容が異なることが多い。これに対しては、採用・面接時において障害の程度，職業能力，運動能力，生活様式等を充分に把握し、助成金を活用して施設・設備等の改善を図ることが望ましい。また、障害者の採用に当って、面接の重要性を認識した事例として、30分間隔でトイレに行く障害者を採用したが、面接時点でそのことが判明したため、それなりの職場対応ができ、無断での職場離脱扱いとならず、トラブル発生が防止できた。 |
（4）社宅・寮等施設への対応 |
 現在も社宅・寮等の施設はないが、知覧町が企業誘致を町の方針としていることから、町営の住宅を建設している。しかし、バリアフリーの住宅でないため、車いす等の障害者の入居が困難であったため、町の承諾を得て玄関等の出入口のスロープや拡幅、トイレ，電灯等のスイッチの位置の改善，手すりの取付け等の工事を会社負担で行った。また、家賃の一部負担も行っている。 |
（5）職場適応 |
| 職歴のない障害者の雇用に当っては、経験者優遇の方針はとりながらも、「障害者に仕事」という考え方で、採用面接の段階ででき得る限りの情報を得るとともに、障害者職業センター等との連携を図りながら、同じ障害の部位・程度でも職業能力の度合いが異なることを考慮に入れている。 |
（6）職場配置 |
| 職場責任者及び指導員には、家族からの本人の性格等日常生活上の留意等、障害者に係る情報を提供する一方で、その任にあることの自覚を促すとともに、必要以上に係ることなく、自立心を涵養するよう指導している。 |
（7）余暇活動への積極的参加 |
| 従業員で運営する親睦会を創設し、野球・ソフトボール・バレークラブ等のスポーツクラブの育成や、ボウリング大会・ミニバレーボール大会・野外焼肉パーティ・花見等の各種レクレーションを四季折々に開催して、従業員同士、幹部社員との友和を図る一方で、夏祭り・スポーツ大会・文化祭等の地域社会で開催される行事にも積極的に参加して、地域住民との接触を図っている。 |
4.対応した結果
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平成12年11月に新町に新工場を建設したが、労働意欲のある方は、障害者，健常者を問わず、誰でも雇用できる工場にしたいとの方針から、就業中の障害者の方からの意見も取り入れて、出入口の拡幅やスロープ，トイレ，通路，電灯等のスイッチの位置，机，イス，屋根付駐車場等今までの反省点を踏まえて出来る限りの改善を行った。 5.今後の課題
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6.今後の展望
| 企業は、良い製品をより安く、より早く市場へ送り出す使命を持っている。人間の持つ能力は、無限、それ故に夢と希望の実現のためには、これからも創造力と行動力を発揮できる人材が、障害者，健常者を問わずに集まる企業としたい。 |
| 執筆者：鹿児島県障害者雇用促進協会 事務局長 鮫島 郁俊 |
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