障害者雇用における人材育成とナチュラルサポート
2003年度作成
| 事業所名 | 関彰商事株式会社 | |||||||||||||||||||||
| 所在地 | 茨城県下館市 | |||||||||||||||||||||
| 事業内容 | 石油製品の販売、給油所の運営等 | |||||||||||||||||||||
| 従業員数 | 1,188名 | |||||||||||||||||||||
| うち障害者数 | 16名
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 事業所（外観） |
1.事業所の概要
| 関彰商事株式会社は、1908年（明治41年）に「関彰商店」として創業し、主に石油製品の販売、給油所の運営を通じて事業分野の拡大と多角化を繰り返し、住宅・生活環境設備・自動車・情報機器などを手がける総合商社へと成長している。 また、「地域に育てられ、地域に奉仕する」という企業理念のもと、社員の企業活動を通じて地域社会に貢献するとともに、数々のスポーツイベントや文化活動を積極的に運営し、地域の生活文化の向上に努めている。 高齢社会をむかえてのボランティアの支援や、エレベータによるバリアフリーな設備の普及にも努めている。 |  事務所（バリアフリー） |
（1）社会貢献事業 |
| 【車いすトイレ】 高齢社会を迎え、ハートビル法の趣旨に則り、国道など街道沿いの新設サービステーション約20ヵ所に車いすトイレを設置している。 【関彰育英会】 経済的理由で修学が困難な方に対し、学資の援助を行い、社会に貢献し得る人材を育成している。設立以来、約80名の奨学を行っている。 【スポーツの振興】 スポーツの育成・発展と地域振興のため、国際テニス大会の運営、プロサッカーチームのスポンサードを行っている。 【文化活動の支援】 オフィス内に設けたスタジオでは、地域の講演会やサークルの活動の場として利用することができる多目的スペースとなっている。また、美術館等で開催される展覧会に協賛している。 表1：事業所の概要
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（2）社員教育・ボランティア活動 |
| 【ボランティア】 社内にボランティアサークルをつくり、定期的に高齢者施設等への訪問活動を行っている。また、地域での公園の管理・清掃や、マラソン大会へのボランティア参加などに積極的に取り組んでいる。 【セキショウふれあい基金】 企業と社員でつくる基金では、地域社会に根ざす企業を目指して、身近な社会福祉活動への寄付を行っている。 |
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2.取り組みの経緯と現在の状況
（1）雇用にあたっての対応 |
| 1980年代以降、ハローワークとの協議をすすめる一方で、組織内での啓蒙活動を通し、障害者雇用にかんするコンセンサスを得る取り組みを行ってきた。 現在では、ハローワークによる「就職面接会」等に積極的に参加し、企業の社会的責任を遂行するための努力を行っている。 表2：取り組みの経緯
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（2）雇用の環境 |
| 採用後の対応として、障害者本人および家族へのオリエンテーションを徹底し、障害への対処や就業面での工夫について協議している。 また、人事の担当スタッフと配置部署とのミーティングを行い、障害の理解と就業にかんする配慮等について共通認識を持っている。問題等が発生した場合には、関係部署間でのカンファレンスを円滑に行い、職場定着を促進していくための環境をつくっている。 表3：障害者雇用の状況
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3.障害者雇用の状況
（1）業務の内容 |
| 雇用に際しては、障害の種別や程度に応じて業務を決定し、残存能力の活用に焦点をあてた形態となっている。これによって専門業務の遂行に支障はみられておらず、管理職として人材育成を行っているスタッフもいる。 障害者の能力を発揮するための協力体制としては、配置部署内に自然に生じる配慮と工夫によるナチュラルサポートによるところが大きい。障害の特性と業務の内容とを勘案し、周囲のスタッフとの信頼関係をつくることによって、相互の業務能率が向上していっている様子である。中途で障害をもった者に対する支援においても、このような体制は効果的であり、障害を受けた後の職場適応に寄与している面は大きい。 |
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（2）職場復帰の事例 |
| 営業職として勤務のスタッフは、勤務中に交通事故に遭い、左上肢機能の障害を受けている。機能回復のためのリハビリを受けた後、従前のサービスステーション配置から異動し、職場復帰を果たしている。 新規業務にあたっては、人事の担当スタッフや配置部署の管理職との話し合いを重ね、遂行可能な業務内容について本人を交えて検討してきた。現在では、コンピュータを使用して顧客管理等を行っているが、「障害を意識させられる場面はほとんどない」という。 このような職場復帰を支えてきたものとして、周囲のスタッフによる障害へのミスマッチな対応がなかったこと、本人の目標設定を行うことによって職場復帰のモチベーションが高まったことなどを挙げている。そのために、業務について自発的に相談できる環境や、周囲のスタッフによるナチュラルサポートは不可欠なものであろうと思われる。 |
| 執筆者：国立精神・神経センター精神保健研究所 社会復帰相談部 野口 博文 |
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