お~きなハーム(モ)ニー
2003年度作成
事業所名 | 沖縄ハム総合食品株式会社 | |||||||||||||||||||||
所在地 | 沖縄県読谷村 | |||||||||||||||||||||
事業内容 | a.食肉加工販売(ハム・ベーコン・ソーセージ等) b.惣菜製造販売(ラフティ・紅芋加工品・琉球惣菜・サーターアンダギー・タコライス・その他冷凍・冷蔵商品) c.レトルト食品製造販売(琉球料理・タコライス・ラフティ・コンビーフ・コンビーフハッシュなど) d.精肉商品(沖縄県産及び輸入豚肉・鶏肉・牛肉) | |||||||||||||||||||||
従業員数 | 334名 | |||||||||||||||||||||
うち障害者数 | 14名
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![]() 黒豚1匹・白豚2匹がお出迎え |
1.会社概要
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2.障害者の採用について
養護学校在籍中に実習を行い、それを終え卒業後に採用となった者もいれば、日本障害者雇用促進協会沖縄障害者職業センターと連携して、訓練後に雇用となった者もいる。 今後の障害者の採用については、本工場の利益等から鑑み、健常者・障害者を問わず現在厳しい状況にある。しかし、何よりもやる気、働く意欲をもっとも重視しているため、職業安定所等の機関から紹介で採用を希望して訪れるのではなく、個人的に熱意を持って、「御社で働きたい」と訪れる者に対してはできる限り可能性を探り受け入れたいと考えている。 |

3.障害者の仕事内容
入社の際にしっかり話し合いを持ち、障害の状態と仕事の過程など個々にあった内容を思案し適切な仕事内容を決めている。そのため、ある程度特定の仕事に固定されている。しかし、基本的に上記した営業種目が雇用されている社員全員の仕事内容である。中には、総務的な業務を担当している障害者もいる。 |

4.障害者の給与
準社員・委託等の社員に対しては時給制となっている。正社員に対しては月給制となっている。現在働く正社員(4名)の障害者の給与は、おおむね12万円~15万円程度である。 |

5.障害者の勤続年数
それぞれの障害者の現在(平成15年7月)の勤続年数は下記のようになっている。
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6.離職者について
平成4年6月に本社を沖縄県名護市から沖縄県読谷村に移転した。その時、本社名護工場で勤務していた24名の社員から現在の15名となった。離職した主な理由は、通勤の難しさなどがあげられる。障害者だけでなく、健常者も同じ理由で離職した者もいる。近年では、1名(聴覚障害2級)の離職者がある。6年間勤務後の離職であり、主な理由は、本人が体調不良のため療養したいという要望があったためである。 |

7.企業の障害者観
健常者、障害者の区別なく一人の社員として対応しており、給与の面でも隔たり無く対処している。社員も同じ仲間として、また障害に対して理解を示している。実際に仕事がしっかりできる障害者のことは、「障害者として扱っては失礼である」という意識が、人事、作業現場とも共通認識として根付いている。 |

8.主な配慮事項と職業生活相談員
沖縄ハム総合食品を名護市からここ読谷村に移転する際に、障害者雇用を確定し助成金などを利用した。その恩恵を忘れずに、きちんと社会に恩を返すためにも継続して障害者を雇用し続けていきたいと考えている。 障害のある従業員への配慮事項としては、彼らが通勤する際、社員が出勤途中に待ち合わせをして出勤することもあった。ある時期には障害者達の通勤のためにバスをも用意した。車いす利用者のためにはスロープや段差なしといった障害者に対する配慮とバリアフリーを徹底した。作業現場である食肉加工解体ラインへの入場の際には衛生管理が徹底されているため、以前には車いすごと消毒して立ち入れるようにもしていた。 沖縄ハム総合食品には、現場でのキーパーソンとして職業生活相談員を配置している。職業生活相談員であるH氏は、障害者からの意見や相談、及び健常者からの意見や相談等を受けアドバイスをするなどといったケアを継続的に行っている。職業生活相談員は、現場で起こる様々な問題を人事現場間をうまく調整し、解決するためのキーパーソンとして大いに活躍している。 健常者の社員に対して障害に対する講習会等は行っていないが、障害者と共に働きながら自然とそれぞれの特徴を掴んでいくものであると考えている。また、障害者に対しても仕事内容や職場についての特別な研修、講習会等は持たず、問題・疑問が生じたらその都度現場で対処して理解してもらっている。 |

9.働いている障害者の様子
養護学校や高等学校、専門学校等を問わず、実習を行いたいと依頼された時の対応として、沖縄ハム総合食品がどのような仕事をしているのか、ぜひ見てもらいたいため、“来るもの拒まず”の姿勢でいる。 本社名護工場設立当時から働くAさんは軽度の知的障害がある。Aさんは、21年間ここ沖縄ハム総合食品株式会社に勤めている。Aさんの主な仕事内容は、惣菜一般の箱詰作業の補助作業である。 また、正社員として13年間勤めているBさんは心臓機能障害(1級)がある。Bさんの主な仕事内容は、営業部の注文配達である。配達先は主にスーパー、ホテル、コンビニ等で、1日に2往復する事もある。 Cさんは知的に軽度の障害があり、採用されてから11年である。仕事も休まず、真面目である。反復の単純作業はかなり評価ができるほどである。Cさんの主な仕事内容は、凍結原料精肉を解凍機に投入する作業、及び解凍肉の運搬等である。主任クラスくらいの仕事をこなしている。 同じく11年間勤めているDさんは、軽度の知的障害でてんかんの持病がある。Dさんの主な仕事内容は、製品梱包室での梱包作業である(製品ラベル貼り及びダンボール詰め等)。Dさんは、養護学校在籍中に沖縄ハム総合食品株式会社に実習生として研修を受けた際に周囲の従業員と仲良くなり、現在も「周囲を明るくする人気者」と言われ社員から可愛がられている。 正社員として11年間総務事務員として勤めているEさんは、脳性麻痺による両下肢機能障害(2級)があるが、歩行も走るのも無理なくこなせる。パソコンの知識は社内一番でその操作能力も高く評価できるほどである。周りの従業員はもはやEさんを障害者として見なすことは一切ないという。 |

10.お~きなハームニー(ハーモニー)
ここ沖縄ハム総合食品株式会社で働く障害者一人一人の性格などを、共に働く従業員はよく理解している。そして、各々の仕事に責任を持って休まず一生懸命働く障害者の姿を見て、周りの社員は働く意欲を与えられている。 障害者と健常者が共に働くことの大切さを感じることのできる職場である。 |

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執筆者:琉球大学教育学部障害児教育教室助教授 田中 敦士 |

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