顧客と気持ちの通じる義肢装具製作所
2003年度作成
| 事業所名 | 株式会社 青森日東義肢製作所 | |||||||||||||||||||||
| 所在地 | 青森県青森市 | |||||||||||||||||||||
| 事業内容 | 義肢装具製造 | |||||||||||||||||||||
| 従業員数 | 38名 | |||||||||||||||||||||
| うち障害者数 | 6名
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1.障害者雇用の経緯、背景
| ・代表者名 時吉 英吉 ・設立年月日 昭和2年1月4日 障害者用の装具製造を主とする企業であり、障害者雇用の歴史は古く、昭和45年12月15日の採用が最初の採用で、その時の雇用者は現在も勤務中である。 その後、数年間隔で採用が行われ、現在は6名の障害者を雇用しているが、離職者がほとんどなく、定着の良い職場であり、また、製造製品の特性から、顧客（障害者）の気持ちの通じる製造者（障害者）として活躍ができる職場のようである。 定着の良い中での、時折の社員募集には健常者の応募が圧倒的に多いとのお話から、最近の就職状況の厳しさがうかがわれた。 過去の障害者雇用関係表彰は次の通り。
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2.障害者の状況
| 内臓疾患の1名のみが障害程度が1級で、他の障害者は2～4級である。 顧客に障害者が多いということもあり、普段はとりたてて職場も障害者本人も障害者という意識はなく、障害部位以外は健常という考え方で対応しているとの、時吉常務さんの力強い説明があった。 聴覚障害者に対しては、パトライトの設備を設置していたが、筆談、口話によるコミュニケーションも大切にしているようで、担当の職場をお訪ねしたときの聴覚障害者の明るい笑顔が忘れられない。 |
3.育成と職域開発
（1）育成 |
| 採用後は先ず、作業工程の補助的業務から馴染んでもらい、先輩に就いて徐々に仕事を覚えていくことになっている。 仕事そのものはそれほどハードなものではなく、先輩が、後輩一人一人の習熟度合いを見ながら、次のステップへ進むという育成の仕方である。 マニュアル作業ではなく製品の一品一品がオーダーメイドであることが、この仕事の特徴であり、ベテランによる育成が大切な業務であるとのことであった。 それだけに長い勤務が仕事のレベルを上げることにもなり、定着率の良い職場になっているということもできる。 |
（2）仕事のレベル向上 |
 また、ハンドメイドだからこそのオリジナル性（加工）を期待される製品でもあり、個人としての熱心な努力が必要だとの常務さんの説明には、仕事や製品への誇りを感じさせるものがあった。営業分野への障害者の活用をお訊ねしたところ、製品の販売よりも、メンテナンスとしての製品の微妙さの対応が特徴であり、整形系やリハビリ系の大手病院や開業医院から寄せられた注文により、製品作りがスタートすることから、社員には「義肢装具士資格」を取らせているとのこと。 職域開発の面からは、一人一人が製品作りを担当し、それぞれが顧客の意向にいかに応えるかが大切な仕事であり、仕事のレベルを上げる事そのものがまさに職域開発といえるのかもしれない。 なかには、年少の頃から当社の製品を使用し、その後入社して、自分の使用感覚を大切にして顧客とのやりとりを大切にしている障害者もいるとのこと。 |
4.訪問を終えて
| 応対下さった常務は、当方の「障害者雇用の特徴は？」的な質問に多少困惑されていたようでもある。 障害者の多い職場で何かお困りな点は・・・との問いにも、堂々と「障害者と意識していませんので・・・」とお答えいただいた。 30年以上前からの障害者雇用実績企業としては、当然の意識なのかもしれない。 聞けば、仕事の性質上、社員は自分が担当している顧客が決まっており、その顧客の状況が良く分かるだけに担当者の交替が利かず、本人たちはつい無理をしがちで、責任感が強い社員たちばかりでそれが辛いです、という常務さんの気持ちがあればこその定着率の良い職場なのではないだろうか。 職場の設備的環境を整備するだけではなく、障害者への深い思いやりのある職場づくりの必要性を痛感した訪問であった。 |
| 執筆者：(株)ナカ企画（人材開発センター） 中崎 良次 |
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