適材適所の配置とバリアフリーで能力を発揮
2003年度作成
| 事業所名 | トヨタカローラ秋田株式会社 | |||||||||||||||||||||
| 所在地 | 秋田県秋田市 | |||||||||||||||||||||
| 事業内容 | 自動車（新車、中古車、輸入車）の販売、点検、整備、修理、自動車のリース、保険代理業務、介護福祉用品の販売、レンタル、その他関連事業 事業所数：26事業所 | |||||||||||||||||||||
| 従業員数 | 371名 | |||||||||||||||||||||
| うち障害者数 | 5名
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1.事業所の概要
| 昭和37年12月に自動車の販売・点検整備及び関連用品の販売などを主として創業を開始。 開業以来順調に業績を伸ばし、県内のカーディーラーの中でNo1の販売実績を誇り、県内有数の安定成長企業である。 |
| 平成11年2月には、厚生労働省認定のシルバーマークを取得し、新規成長分野への進出を図るなど独創的な経営を展開し、平成13年度に、障害者雇用優良事業所として「厚生労働大臣表彰」を受賞。 平成14年度には塗装、板金部門を分離し新会社を設立した。 障害者の雇用は、平成4年に初めて雇用したのを契機にそれ以来堅実な雇用を進めている。 幅広いお客様へのニーズに対応するため、全県を網羅する販売網ときめのこまかなアフターサービスシステムにより、業界においては確固たる地位を築いている。 |  本社営業所 |
2.障害者雇用の経緯と背景
| 障害者雇用に取り組む基本的な考えは、「本人の就労意欲が旺盛であれば、障害があるからといって門戸を狭めるものではない」「企業経営を通じて地域社会に貢献する」との理念に基づき雇用を進め、平成4年に初めて障害者を雇用した。 障害者雇用に取り組む基本姿勢が会社として明確となったことと、平成6年に、ハローワークが自動車販売業を対象にしたセミナーを開催し、障害者雇用に対する理解を深めたことが、それ以後劇的ともいえる障害者雇用が進んだきっかけでもあった。 また、経営面においても平成11年2月に厚生労働省認定のシルバーマークを取得し、新規成長分野である介護用品の販売・レンタル業への進出を図るなど独創的な経営戦略を展開したこともあって、障害者の職域が拡大された。 |
3.障害別の担当業務と配慮事項
| 障害者の雇用を継続していくことを大きな問題としてとらえて、採用後の職場配置や設備の改善面については、障害者個々の特性に見合った対応に加え、幹部社員や障害者職業生活相談員、職場定着推進チームを中心とした職場定着指導にもきめ細かな配慮を実施していくこととした。 障害者の雇用は、全県に営業所があることから、各ハローワークと連携を図りながらそれぞれの営業所の職域を検討してもらいながら進めてきたものである。 |
（1）下肢障害者 |
| 下肢障害1級、車いす使用。福祉関係業務を担当。介護用品の販売・チラシの作成。 平成11年2月に介護用品の販売、レンタルを行うためセスタつちざきに福祉関係部門を設置した。社長の方針として、この福祉部門にはぜひ障害者を配置するという強い考えから、ハローワークを通じて平成12年10月に車いすの障害者を雇用。車いすの障害者を配置することは初めての試みで、当初は、不安もあったが、本人の働く意欲もあり、雇用にこぎつけた。しかしながら、採用してから問題がいくつか提起された。 障害者用のトイレがなかったため、緊急を要することもあり車いすでも使用可能なトイレの改造を行った。また、職場内と玄関を自由に行き来できるように通路の確保と段差の解消を図った。 当営業所は、障害者や高齢者等の来店も多く、職場をバリアフリー化することで、そうした来客者へのサービスの向上にもつながった。 また、当該障害者には店頭販売のほかに、パソコンを使用しての販売宣伝用チラシの作成をも担当させることにしたことから、印刷機器が管理部門の2階に設置しており、印刷機器の使用と管理部門との連絡のため、車いす使用者のために専用の昇降機を設置することにした。 今までは、他の従業員に協力をお願いしながら行っていた印刷等の作業も、昇降機設置後は自らが出来るようになり、作業能率と効率が著しく向上した。 昇降機の設置については、障害者作業施設設置等助成金を活用することで経費の節減が図られた。 |
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（2）内部障害者 |
| 腎臓機能障害1級。来客の応対、伝票の作成・整理、電話応対等の業務を担当。 営業等の業務に従事させるなど、体調を考えてあまり過重となるような作業に従事させないようにしている。週3回人工透析治療を実施していることから、健康管理のため社内での業務量を調整し、治療が出来るように配慮している。また、休日出勤、時間外勤務は一切させないように配慮するなどして雇用の継続を図っている。 |
（3）知的障害者 |
| 重度知的障害。洗車及び車内の清掃業務を担当。 知的障害者の雇用は初めてであったが、雇用前に養護学校の職場実習を実施したことである程度判断がついていたこともあり、不安なく雇用を進めることができた。1日およそ5～6台の車検整備完了車の洗車と車内の清掃作業を行っている。体力があり、根気強く、作業指示には素直に従い作業上では特に問題はない。ただ、朝夕のあいさつや、指導を行った時に返事が出来ないことがあり、基本的な労働習慣について現場の責任者が話しかけをしたり、休憩や昼食時には一緒に行動するなど、出来るだけ話し合いの機会を多くもち、繰り返し指導を行った結果、少しずつあいさつ、返事が出来るようになり、改善されていった。 |
（4）聴覚障害者 |
| 聴覚障害1級。ゆっくり対話することで理解は可能。必要に応じて筆談で対応。各種イベントのチラシ作成、販売車両の価格表作成、各営業所へカタログ・プレミアムの配付等の営業企画業務を担当。 入社前に聾学校の職場実習を何回か実施したことにより、採用後においてはスムーズに業務を行うことが出来た。 職場内でのコミュニケーションを図る時は、ゆっくりと口をハッキリ動かすことで会話ができ、細かな指示をする場合は筆談をすることで職場生活においては支障はない。また、所内のレクレーション等には積極的に参加させ社員と交流を図っていることが定着につながっている一つの要因でもある。 |
（5）体幹機能障害者 |
| 体幹機能障害5級。洗車及び車内の清掃業務を担当。 1日およそ7～8台の車検整備完了車の洗車と車内の清掃作業を行っているが、歩行が若干不自由なところもあるため、洗車後の車の移動については、他の社員に協力をしてもらいながら作業を行っている。洗車については、スムーズに作業が出来るよう十分なスペースを確保するなどの配慮を行いながら、雇用の継続を図っている。 |
4.これからの課題と展望
| 障害者の定着は非常によく、個々の障害者を適材適所への配置、幹部社員や障害者職業生活相談員のきめ細かな配慮とともに職場環境を改善したことによって能力を十分に発揮している。 障害者に対しては、健常者と全く同じように接し、コミュニケーションを円滑に図りながら共に考え共に喜びを分かち合いながら地域社会で共生しており、現在は問題はないが、特に知的障害者の場合は、健康管理の面と他の従業員とのコミュニケーションなどについて、関係機関の定期的なフォローアップが必要であろう。 |
| 執筆者：雇用管理サポート事業協力専門家 渡辺 淳悦 |
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