知的障害者の戦力化を目指して
2003年度作成
| 事業所名 | 有限会社 八勝化成 | |||||||||||||||||||||
| 所在地 | 愛知県名古屋市 | |||||||||||||||||||||
| 事業内容 | プラスチック成型業（家電、オートバイ部品） | |||||||||||||||||||||
| 従業員数 | 48名 | |||||||||||||||||||||
| うち障害者数 | 29名
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1.知的障害者多数雇用事業所としての方針
| 企業の安定は、偏にここで働く者の生活の安定につながるものである。 これにはまず、取引先企業との信頼、信用の基盤を築くための企業努力と良質、格安な製品を提供できる生産体制の確立が重要である。 単純な機械操作の繰り返しや多品目の部品加工に対応するには、これらに即応できる従業者の安定的な確保が必要であるが、平成元年頃の求人難時での人材確保は大変厳しく、その選択肢の中で「知的障害者」を求め、雇用拡大が生じていることを踏まえれば、企業における基幹従業員とすべく指導・育成は、課せられた必然的な責務である。 人には、それぞれ個性や特性もあり、一般的教養の低さやもの覚えの遅さも特性の一つと考えれば、この指導・育成は、それぞれに見合った指導と作業手法を用いることによって、相応の力を引き出す事は可能である。との信念と、個々人の能力で「区分をしても差別せず」の社訓をして、人格尊重の一体感ができあがり、いつしか知的障害者を「核」とする企業基盤を築いたものである。 |
2.知的障害者雇用の取り組みにみる課題
| 知的レベルや運動筋の低さは、工場内における安全対策に係わるものであり、この対策は最も重要な事柄である。 工場内は、常に多くの機械設備や薬品、熱等との危険と隣あわせである。視角の陰や見えない熱との接触を避けるには、自身が用いる機械・器具以外は絶対に触れさせない工夫や指導を徹底することと併せ、自身にも常なる緊張感を植えつけることが必要である。 事故防止の徹底にみる取り組みは、作業手法の指導と両輪であるとの考えから、常なる指導が重要であるが、これには、手本を示すべき指導者及び一般従業員の行動に課せられた責務もあり、この総合的な徹底が課題となる。 障害者に限らず、作業技術の習得に最も重要なことは、能力を含む身体的な適応性を見極めることと併せ、潜在能力の引き出しや就業者自身の労働意欲を喚起するものでなければならない。 人それぞれの持つ「誇り」や「自負」これらを満たす延長線に適職配置があることを踏まえれば、指導者に課せられた課題は奥深いものがある。 |
3.指導方針
（1）入社前 |
| 職場実習を通じ、判断力・体力・運動能力の状況を徹底的に分析することに加え、働く（物を造る）喜び（意義）をまずは徹底する。 採用時には父母を交え、評価能力と賃金を提示したうえ、就業することの意味合いや私生活の指導についての協力を要請し、合意に達した時点で採用を決定している。 |
（2）入社時 |
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（3）職場配置 |
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（4）問題発生時の対応 |
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4.出身校、父兄との連携
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5.福利厚生等
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6.企業成果
| 知的障害者が従業員比で60％を超えている中で、品質を保ち、採算性を保っていることに、この企業の人材育成の素晴らしさが窺える。 もの造りの中でも、特に単純、繰り返し作業への就業者が減少し、「定着も定まらないことを憂慮したところで障害者雇用に行き着いた」と事業主は答えるも、そこには計り知れない努力をかいま見ることができる。 定着問題も障害者の育成も、零細企業に課せられた宿命的なことと捉えれば、明るく喜びに満ちた人々を迎えた先で、障害者の多数雇用に辿りついたと思えば、「指導や効率性への課題など問題ではない」と、いとも簡単に口にするところに、この企業の人間味を知ることができる。 知的障害者は、知的能力が低いと思う前に「覚えることが遅いだけ」と捉え、持続の問題も、徹底した専門・同一作業に就けることにより、自覚と誇りを植え付けることで享受されてしまう。 ここに、社是の感謝・尊敬・誠意の成り立ちを覚える。 ■作業風景（成型・組立・仕上） |
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| 執筆者：社団法人名古屋シルバー人材センター 高齢者職業相談室長 荒川勝之 |
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