障害者の能力を見極め特性を活かす
2003年度作成
事業所名 | 鳥取オンキョー株式会社 | |||||||||||||||||||||
所在地 | 鳥取県倉吉市 | |||||||||||||||||||||
事業内容 | ホームビデオ・ホームシアター・ホームネットワーク等機器の生産 | |||||||||||||||||||||
従業員数 | 220名 | |||||||||||||||||||||
うち障害者数 | 4名
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![]() 全景 |
1.事業所の概要
(1)設立 |

1986年5月、鳥取県の誘致企業として鳥取県の中心部倉吉市の南西部に位置する工業団地の一角に設立された。 |

(2)経営方針 |

GET DOWN TO BUSINESS! ・ 利益とフリーキャッシュの最大化 ・ 確固たる競争優位性を構築 |

(3)障害者雇用 |

労働条件等は障害の有無に関係なく、すべての従業員と同じ扱いで接している。また、「障害者教育の取り組み、及び安全性の充実」を課題として、社内教育を通じて今後の障害者雇用をどう生かすか取り組んでいる。 |

2.職場配置
職場配置については、個々の能力開発を重視し、個性と発想を活かし常に前進を心がけた配置に取り組んでいる。 社内の業務を分析してみたところ、彼らに適した作業種として、可能と考えられる、下記のような作業があった。 一人一人の能力・性格・障害の特性を見極め、安全性への配慮、間違いのない仕組み作り、コミュニケーションから総合的に判断し、次のような配置を考えた。 ![]() |

(1)Nさん(知的障害 軽度 男 49歳) |

性格 温厚である。 勤務歴 9年。 【肉体的作業】
| ![]() 運搬作業 |

(2)Kさん(知的障害 軽度 男 33歳) |

性格 体力が優れている。 勤務歴 14年 【肉体的作業】
| ![]() 分別作業 |

(3)Tさん(知的障害 軽度 男 31歳) |

性格 整理整頓が上手。 勤務歴 11年 【補助的作業】
| ![]() 予備加工作業 |

(4)Aさん(下肢障害 2級 男 30歳) |

性格 協調性がある。 勤務歴 4年 【デスクワーク作業】
| ![]() デスクワーク作業 |

3.賃金・労働時間等の労働条件
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4.安全衛生・健康管理
(1)実施事項 |

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(2)ポイント |

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5.職場定着
(1)Kさん(知的障害)への取り組み |

1989年10月入社の最古参組の立場にある。 体力的に優れており、運搬作業を主な仕事としているが、手の空くときがあると途中勝手に仕事場を離れて放浪する癖がある。現場のリーダーが、加工作業や紙の分別作業など単純な仕事を与えるよう工夫をしている。 性格的に気分屋なところがあり、現場リーダーの指示を無視したり周囲の人の注意に全く耳を貸さないときがたまにある。その場合には、保護者との連携プレーで解決を図っているが、改めて職場定着に重要なことと感じている。 |

(2)Aさん(下肢障害)への取り組み |

下肢障害2級で、移動を行う作業には困難を伴うが、その他作業遂行に問題はない。 特に、考え方もしっかりしているので、自らの提案事項を実践させる、仕事に対して責任を持たせるなど本人の前向きな姿勢を活かし、幅広い業務を担当し消化させるなど、モチベーションをあげるように仕向けている。 以前は障害があること、口下手であることなどから、職場環境になじめず県外の職場を転々としていた。当該職安からの紹介で入社に至ったが、彼の性格特性・能力を活かした職場配置を行った。 |

6.障害者の雇用に関する、障害者自身の思い
鳥取オンキョー(株)綾森 千尋さん(下肢障害)から思いを語ってもらった。 まず、最初にこの文章について、全ての障害者及び企業の方がこのように思っているとは限らないことをお伝えしておきます。 障害者側の思いから言いますと、障害者の誰もが働く場所があれば働きたいと思っているはずです。ただその一方でいろんな不安も事実だと思います。どこかしらの企業に入って健常者の人たちに混じってやっていけるのだろうか?迷惑をかけるのではないだろうか? また、今現在、健常者の雇用さえない中で最初からあきらめるなどいろんな障害者がいます。自分も障害者の一人です。自分の場合は脳性麻痺により2級第1種と定められています。自分が言うのも変ですが障害者という気持ちはほとんど持っていません。しかしながら、一人では出来ないことがやはりあります。その時は、職場の上司や同僚が助けてくれます。それに、健常者の方でもそれは同じ事だと思います。自分の考えですが普通の方々と一緒なのです。人にはそれぞれ個性があります。自分は障害もその一つだと思っていますし、職場の人も特別な目では見ていません。普通の人と同じように見てもらえることを障害者は望んでいます。 企業側は障害者を受け入れるということで大変リスクがあると思われているところがまだまだ多いのが現状ではないでしょうか?障害者よりも健常者の方を、何か問題が起きたときに責任が取れないとか、会社の設備の問題が出てきますがそんなに難しいことはないと思います。障害の程度にもよりますが、何らかの形で仕事は出来ると思います。次に、何か起きたときの責任の取れないという問題ですが、それは健常者の方でも何かあった場合一緒だと思います。設備にしても、これもまた障害の程度にもよりますが車いすの障害者の場合はバリアフリーの設備にしたりと大変な事もありますが、これ一つとってみても設備費を援助してくれる制度があるそうです。様々なケースに対して相談すれば対応してもらえると思います。だから、そんなに難しいことではないと思いますので、企業も大変だと思いますが障害者の雇用に力を貸していただける事をお願いいたします。自分の場合ですが、同僚と会社どちらともうまくやっていますし、仕事の方も充実した毎日をすごしております。ただ、全ての人に当てはまるとは限らないと自分でも思いますが少しのきっかけを障害者に与えてください。 障害者の方へ。 障害者の自分たちも企業で働く上で心しておかなければならないことがあります!!! 企業側は当然の事ながら会社にとって戦力になる人材を求めています。戦力というのは仕事が出来るとかだけでなく、その人の人物のいろいろなところを総合して判断されます。しかも、面接のわずかな時間の中ですから企業にとってもなかなか健常者に比べては判断が難しいところがありますが、あきらめずにやる気と根性をしっかり持ち続けて頑張ってください。いつか必ず何処かの会社で働ける日が来ると思います。 最後になりますが、企業の方と障害者の方どちらからしても大変だと思いますが、どうか両者がそれぞれを十分に理解し一人でも多くの障害者が働けるようにご協力をお願いします。 自分自身の事ですが、私は今の会社で自分の仕事に自信と誇りを持って頑張っています。私のように思える障害者が一人でも増えられることを願っています。 |

7.まとめ
今後の課題・展望としては、すべての生産性向上に対してIT化は不可欠であることから、下肢障害者に対してレベルアップを図るためのパソコン教育を行い、会社の経営方針に合わせた向上に努めている。 おわりに、基本的な理念での障害者の取り組みが「他の従業員と同等扱い」であることから、障害者が語った「他のメンバーと同等扱いしてくれる職場で大変うれしい」の一言が心に響いている。 |

執筆者:社団法人 鳥取県障害者雇用促進協会 雇用アドバイザー 田中留理子 |

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