他機関との連携で障害者雇用を推進
2003年度作成
事業所名 | デリカジョイ株式会社 | |||||||||||||||||||||
所在地 | 岡山県赤磐郡瀬戸町 | |||||||||||||||||||||
事業内容 | [1] 加工調理食品の製造及び販売 [2] 惣菜類の製造販売 [3] 調理パンの製造販売 [4] 前号に附帯、関連する一切の業務 | |||||||||||||||||||||
従業員数 | 259名 | |||||||||||||||||||||
うち障害者数 | 5名
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1.事業所の概要
![]() 事業内容は惣菜、調理パン等の製造、コンビニエンスストア「セブンイレブン」を中心に出荷している。 工場は、最新の機械設備と、高度化された衛生管理を導入し、さらに、働く人の環境も考慮した21世紀にふさわしい工場を目指している。 基本構想は、24時間365日、1日3便出荷のフルタイム稼動、イニシャルコスト、ランニングコストの低い工場、環境エコロジーを踏まえた人に優しい工場。 チルド温度帯工場として完成度の高いものを目指し、将来の基本工場としての位置付けを構築する。 | ||||||||||||||
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2.障害者の雇用状況等
障害者雇用については、「地域と協調し、広く社会に貢献する」という企業目標を掲げ、また瀬戸町長の積極的な要請もあり、会社設立前より受け入れを検討、開業時に瀬戸町内の障害者5名を雇用した。 採用についてはハローワークからの紹介を受け、瀬戸町内の障害者を各機関の推薦を受けて人選している。また、障害者職業センター、障害者諸機関と連携し就業支援を行っている。 配置については、比較的単純作業が多いコンテナ洗浄工程を障害者専用とした。 労働条件としては、原則として勤務時間8時~16時30分とし、休憩は昼休み1時間。賃金は日給制。全員、最低賃金適用除外は受けていない。就労状況を見ての昇給制度があり、昇給を受けた人もいる。定年は65歳。 人間関係については、毎朝朝礼を実施、従業員同士の意思疎通を図っている。 衛生管理については、特に徹底している。ユニフォームの着方から、入室チェック、正しい手洗い等複雑な管理をしており、就職前に外部の支援者が数日間一緒に支援することで確実に実施できるようにしている。 障害者の雇用研修等については人事責任者が講習会等に参加し意識を高めている。 |

3.衛生管理の徹底
工場は、衛生管理が行き届いていて衛生チェックが厳しく、持ち場に入るまで以下の工程がある。障害者の場合、この工程を安全にクリアするのはむつかしく、実習時、就職時から本人が完全に覚えるまで支援者の付き添いで実施した。 |

(1)出勤時 |

鏡による、頭髪、服装のチェック |

(2)着替え、ユニフォーム、帽子のチェック |

チェックエリアで頭から足元まで掃除機・ローラーをかける マスクのチェック、手洗い |

(3)入室チェック(衛生班職員によるチェック) |

[1] 健康チェック [2] 手指の傷、爪の検査 [3] ローラーをかけて、毛髪が付着していないかをチェック [4] 禁止物持ち込みのチェック |

(4)正しい手洗い(洗浄60秒、消毒10秒) |

[1] 水でぬらす [2] 石けんをつける [3] よく洗う(指先、指の間、手首まで) [4] ブラシで洗う [5] 十分に水ですすぐ [6] 殺菌液にひたす [7] 専用タオルでふく |

(5)トイレ使用時、休憩時後の入室 |

[2]からの工程を繰り返す。 |

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4.障害者の作業工程と支援内容
(1)外コンテナ(出荷用)洗浄工程 |

![]() [2] 作動状況の確認 [3] 製品出荷用コンテナの運搬(洗浄機の近くに運ぶ) [4] コンテナの出荷伝票を外す [5] 1名が洗浄機の入口のベルトコンベア—にコンテナをのせる [6] 1名が洗浄機の出口でコンテナを回収する [7] コンテナを種類別に分類する(2種類) |

(2)内コンテナ(工場内使用)洗浄工程 |

[1] 洗浄機のチェック後、スイッチを入れ機械を動かす [2] 作業状況の確認 [3] 1名が洗浄機の入口のベルトコンベア—にコンテナをのせる [4] 1名が洗浄機の出口でコンテナを回収する [5] コンテナを種類別に分類する(6種類)コンテナの形状により挿入向きが変わる |

(3)清掃作業 |

コンテナの洗浄後、洗浄機、フロアの清掃をする |

(4)支援内容 |

[1] 洗浄機の操作、非常時の対応 [2] コンテナの挿入方法(内洗浄の場合、入れ方を間違うとなかに引っかかってしまう) [3] コンテナの種類分け(特に内コンテナ洗浄の場合種類が多いので注意が必要) [4] コンテナの取り扱い方(扱いが乱暴になりやすい) [5] 清掃方法(洗浄機、フロア—等) [6] 安全管理(特にフロア—が滑りやすいので注意が必要) [7] 休憩の取り方 |

5.社内での支援のポイントと改善点
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6.他機関との連携
(1)工場設立時の障害者採用について |

障害者の採用については、瀬戸町在住の障害者のなかから、瀬戸町、ハローワーク、障害者職業センター、知的障害者通所授産施設、知的障害者入所更生施設、地域生活支援センター等で協議し人選、いろいろな制度を活用し正式雇用に向けて直接支援した。 |

(2)支援者について |

直接の就労支援については、障害者職業センターのジョブコーチ、知的障害者通所授産施設の就労支援職員、知的障害者入所更生施設の地域生活アドバイザー、地域生活支援センターのコーディネーター等がチームを組んで予定表に基づき知的障害者3人の支援にあたった。 |

(3)サービス調整会議について |

小さな問題については、本人、母親、担当者、直接の支援者等で解決していったが、問題が大きくなった場合は、前記の支援者に加え、瀬戸町役場の障害者担当職員、ハローワークの担当職員等も参加し協議を行った。 |

(4)障害者一人ひとりへの支援内容 |

[1] 知的障害者Aさん(男、雇用前は在宅生活) 障害者職業センターの実施する職務試行法を利用し、支援者と一緒に作業を行った。仕事が雑になりがちなこと、説明に対して一応納得するが完全には理解していない等課題はあったが、本人の一日でも早く就職して給料が貰いたいという希望もあり、2週間の訓練期間を経て就職した。 [2] 知的障害者Bさん(女、雇用前は知的障害者通所授産施設に在籍) 知的障害者通所授産施設に在籍しながら外勤実習ということで、支援者と一緒に作業を行った。背が低く、コンテナを積み上げるのに苦労していたが、他企業での就労訓練の経験もあり、3ヵ月後に就職した。 [3] 知的障害者Cさん(女、雇用前は知的障害者入所更生施設に在籍) 施設に入所中であったが、入所施設が実施主体の知的障害者自活訓練事業を利用し、自宅(瀬戸町)から、通勤就労訓練を行った。Bさんと同じく背が低いため、コンテナを積み上げるのに苦労していたが、支援者のアドバイス等により作業面でほぼ自立。昼食時食堂でのトラブル、更衣室でのトラブル等があったが、その都度関係者が集まり協議することで解決していった。かなり不安な点もあったが、引き続き支援を継続することで6ヵ月後に就職。 [4] 2人の身体障害者(2人とも男、下肢障害4級、5級) ハローワークの紹介により就職。障害が軽度ということもあり、直接的な支援プログラムは必要ないと判断した。 |

7.作業訓練生の受け入れ
現在、知的障害者通所授産施設より、1名作業訓練生として受け入れ、週2日の訓練を行っている(通勤は自転車)。作業内容は、工場で使用するタオルたたみ。施設職員、同じ持ち場の同僚から指導を受け、訓練を継続している。 また、職業訓練校の依頼による職場実習も受け入れている。 |

8.職場外での支援について
職場外でのいろいろな支援については、地域生活支援センターのコーディネーター、地域生活アドバイザー、施設職員等の協力を得て行っている。内容としては、小遣いの使い方、買い物への同行、生活相談(職場での人間関係、友人との関係、異性との関係等)、家族との調整等である。 また、ある障害者の母親が急に入院しその間本人の生活をどう支えるかが問題となったが、関係者で相談し、ホームヘルプ事業、ショートステイ事業を使いながら、就労生活を継続できた。 |

9.評 価
![]() 従業員を地域から受け入れることだけでなく、地域と密着しようといういくつかの試みの一つとして、山を切り開いてつくられた広い敷地の中の山との接触斜面には、たくさんの芝桜が植えられている。それが4月から5月にかけて色とりどりの見事な花を咲かせ巨大な花壇を形づくる。今では瀬戸町の名物にもなっており、地域の方の目を慰めたり、車で見学に来る人もいる。この芝桜を植える試みは、繁殖のノウハウを社長自らが伝授し、近くの福祉施設や瀬戸町内に広がっている。いつの日にか瀬戸町といえば芝桜といわれる日も来るだろう。 また、障害者雇用では、それを支える機関と連携を図っている点は他の追随を許さないだろう。全国的にみれば、残念ながらまだ障害者雇用が進んでいるとはいえない。しかし、反面就労支援の諸制度、機関は年毎に確実に増えている。 これからの焦点は、企業と就労支援の諸機関がいかに制度を使って取り組むかにかかっているともいえる。その意味でも、デリカジョイ株式会社の障害者就労支援のシステムは特に障害者を雇用する企業にとっては参考になることと思う。 |

執筆者:東備地域生活支援センター所長 片山健 |

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