対人業務に知的障害者を配置し職域拡大を図った取り組み
2004年度作成
| 事業所名 | レストラン美月 | |||||||||||||||||||||
| 所在地 | 北海道伊達市 | |||||||||||||||||||||
| 事業内容 | レストラン業務 | |||||||||||||||||||||
| 従業員数 | 1名（夏季3名）（平成16年11月1日現在） | |||||||||||||||||||||
| うち障害者数 | 1名
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1.事業所の概要と地域的な背景
（1）沿革 |
| 昭和46年、ドライブイン有珠を開店。 平成2年、和風レストラン美月として新装開店。 |
（2）障害者雇用の経緯 |
| 昭和49年、知的障害者総合援護施設北海道立太陽の園から知的障害者を職場実習生として受け入れる。 昭和50年、知的障害者の雇用開始。 以降、実習職場として、十数年にわたり、10名余りを受け入れ、育成に協力している。 |
（3）地域的な背景 |
| レストラン美月のある伊達市は、昭和43年に知的障害者総合援護施設「北海道立太陽の園」が開設され、同園の一貫した社会自立への取り組みから、市内には知的障害のある人たちを雇用で、または職場実習生として受け入れている事業所が比較的多くあり、障害者に対する理解が進んでいる町である。 当事業所もまた、太陽の園が開設された5年後から職場実習生の受け入れや、雇用に積極的に取り組んできた。特に親族が近所でユースホステル「有珠青少年の家」と旅館「観光館」を経営しており、そこにも太陽の園出身の知的障害者を職場実習生として受け入れていた。 現在、人口3万6千人の小さなこの町で、知的障害者を雇用している事業所が約60ヶ所あり、160人余りの知的障害者が一般事業所で就労している。こうした事業所の組織「西胆振心身障がい者職親会」は会員80事業所を擁して活動している。 |
2.入所施設から職場実習を経て就職まで
（1）経緯 |
| 今回取り上げたのは、平成2年に北海道立太陽の園に入所した女性である。33歳まで家族とともに暮らしていたが、両親の高齢化により在宅での生活が困難になり、太陽の園に入所した。 入所の数ヶ月後に、有珠青少年の家での職場体験実習に初めて取り組んだ。青少年の家で夏場の仕事が終わり、その後通年の雇用が可能なレストラン美月にて新たに職場訓練実習を開始した。しばらく訓練実習を続けた後、障害者雇用制度を適用して就職となった。 雇用されてから現在までの十数年の中で、本人を取り巻く状況の変化、変化の中で求められたこと、その中での本人の成長と職域の広がりを大きく三つに分けることができる。 |
（2）本人の課題 |
 末っ子で両親に甘やかされて育ったせいか、気だては良いが我が儘なところがある。感情の起伏が激しく、時々ヒステリックな言動がある。未経験のことにはなかなか手が出ず、困ったことがあると辞めると言ったり面白くない時には、食器などの物に当たることがあった。 |
3.本人を取り巻く状況と作業内容の変化
（1）第I期 |
| ア 状況 先輩の障害者が住み込みで働いており、新米として一から仕事を覚えていった。先輩についての補助的な仕事が多かった。 イ 作業内容 ・主に厨房内での仕事、食器洗い・掃除 ・お客様のいない間のホールの仕事、宴会の片付け ・レストラン周辺の草取りゴミ拾い等 |
（2）第II期 |
| ア 状況 先輩障害者が退職して、若主人の奥さんとウエイトレスの若い女性と一緒に働いた期間。 イ 作業内容 第I期の内容に加えて ・メニューに応じた食器のセットアップ ・割り箸の袋詰め |
（3）第III期 |
| ア 状況 奥さんが産休に入りウエイトレスの女性が辞め、本人がウエイトレスの仕事を覚えていった時期。仕事の幅を大きく広げ、重要な戦力として育っていった。 イ 作業内容 I期・II期の内容に加えて ・ホールでの接客業務 ・水出し・食券購入の案内・注文聞き（半券を残し回収） ・厨房へ取り次ぎ・料理のお運び・水のつぎ足し・テーブルの片づけ ・お盆ごとに注文品の食器のセッテング（30種類） ・ナフキン折りとセッテング |
4.条件整備と指導方法
（1）券売機の設置 |
 自動券売機を設置し、お客様が自分で食券を購入。 |
（2）半券入れミニチュアボックス作成 |
| どのテーブルで何を注文されたかが分かる、テーブル番号付きの半券を入れる小箱を設置。 |
（3）接客のトレーニング |
| ・社長夫妻が客になって繰り返し指導 入店から着席・注文取り等一連の流れ ・お客様へ4つの声掛けの練習 「いらっしゃいませ」 「こちらで食券をお買い求め下さい」 「どうぞ」 「ありがとうございました」 |
（4）全体を通して |
| 社長夫妻の温厚な人柄と適切な指導で、徐々に大人になっていった。 |
5.取り組みの効果
（執筆者：伊達市地域生活支援センター地域援助主査 佐々木 典子） |
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