企業内作業所の設立とその効果
2004年度作成
事業所名 | 株式会社日本標準統合物流センター | |||||||||||||||||||||
所在地 | 埼玉県日高市 | |||||||||||||||||||||
事業内容 | 教育図書・児童図書・一般図書の発送、学校教材の受注処理 | |||||||||||||||||||||
従業員数 | 200名 | |||||||||||||||||||||
うち障害者数 | 3名(他企業内作業所にいる知的障害者は18名)
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1.事業所の概要
当物流センター内に作業所を設置するきっかけとなったのは、経営理念の具現化のために、企業の枠を超え地域の方々と社会貢献を行うために取り組んだ「NPO全国子育て・福祉支援ふれあいネットワーク」(平成14年3月設立、資料)を推進する中で、地域の福祉作業所・養護学校・親の会など、障害者福祉の関係者から就労に関する提供要請が強かったことである。経営判断をした結果、物流センター内に知的障害者が就労を目指して訓練する場所と仕事の提供を行うこととして、企業内にNPOが運営する「日高はつらつ作業所」を設置することとした。 |

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2.企業内作業所「日高はつらつ作業所」
(1)作業所の概要 |

心身障害者の社会経済活動への参加のための前段として訓練を行うことにより、自立した生活が営めるよう指導・援助すること イ 設置・運営 特定非営利活動法人「全国子育て・福祉支援ふれあいネットワーク」 ウ 設置・構造 ・開所 平成15年4月1日 ・場所 日高市下大沢宮ノ前91(株)日本標準統合物流センター内 ・面積 135平方メートル エ 人員体制(平成17年1月現在) ・知的障害者 18名 ・健常者 4名(常勤 3名) 福祉関係者から紹介を受けて採用している。 |

(2)仕事内容 |

ア 日本標準から受託する仕事
年間委託額は、約700~800万円。 イ その他外部からの仕事
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(3)1日の仕事の流れ |

9:00 登所・朝礼・作業 12:00 休憩・昼食 13:00 作業・余暇・学習活動 15:00 休憩 15:10 作業・生活訓練 16:45 清掃 17:00 退所 |

(4)入所者の決定 |

入所対象者は、近隣の作業所・養護学校卒業生・福祉団体からの紹介により、以下の点に考慮して決定している。 ・本人の性格能力(身辺処理が自分でできるか・躾はできているか) ・親の姿勢(本人を真剣に自立させたいと思っているか) ・物流センター内に勤務するメンバーに迷惑がかからないこと (センター内にはフォークリフトなどの機械があるため、多動性のある障害者は向かない) |

(5)日本標準と作業所との委託契約 |

日本標準の一部門機能を担っている地域教育センターに仕事を委託し、地域教育センターから企業内作業所「日高はつらつ作業所」に仕事を委託する。作業所が請けきれない仕事は、地域教育センターの采配で近隣の授産施設・作業所に委託している。 日本標準と日高はつらつ作業所との契約は、個々の仕事ごとに見積書を取った契約委託となっている。 また、物流センター内の家賃・電話料金は、NPOが経費負担している。 |

(6)施設 |

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(7)通勤、行事 |

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3.企業内作業所の効果と今後の展望
(1)効果 |

ア 事業所外の企業や作業所に持ち込んで仕事をしてもらうよりは、仕事上での連携が取りやすいうえに、物流費用がかからないなどコスト負担も少なくてすむ。 イ 日本標準の社員は、知的障害者と同一事業所内で日常的に接し、仕事を一緒に行うことにより、日頃から知的障害者との関わりがなかった健常者の意識も変わり、自然な対応がとれるようになった。 ウ 同じフロアには日本標準の職場もあり、作業所にいる障害者も企業就労の場を常時見ていることにより、目標を持って仕事に励めるという副次的効果がある。また、逆に企業側にとっても優秀な障害者を雇用の対象として見極められることができる。
エ 行政関係者・養護学校・各種福祉団体などを始め、地域からの信頼関係が更に築くことができた。 実際に、作業所主催の餅つき大会に200名の地域住民が参加したり、市行政から寄付金が出たりしている。 |

(2)今後の課題・展望など |

ア 社会福祉法人または障害者多数雇用企業を設立し、現作業所を含む一人でも多くの障害者のための就労の場づくりを行う。 職域拡大の方法としては、(1)物流センター内業務の一翼を担う自社製本部署を設置する、(2)給食設備を設置し、センター勤務者用の給食営業を行う等。 イ 企業内作業所で働く入所者の個々人の弱点を把握したうえで、個人別学習カリキュラムを組んで、当人の能力アップを図りたい。 カリキュラムの例としては、お金の使い方・電話のかけ方・字の書き方・文章力など。 ウ 企業内作業所入所者の生活面でのサポートとして、地域のグループホームの運営にも関わっていく。 エ 物流センター内では、知的障害者という特定の障害者の雇用でなく、身体障害者の雇用にも取り組んでいく。 実際に、物流センターには、受注センターのある4階に障害者用トイレ・通路幅・スライディングドア・段差を解消したフラットな床などの配慮があり、車いす使用者用の駐車場も完備されている。 ![]() 4階の受注センター入り口のスロープとスライディングドア (執筆者:株式会社西友サービス 取締役管理担当 小野博也) |

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