ヘルスキーパー採用によるマッサージルーム運営の取り組み
2004年度作成
事業所名 | 三谷産業株式会社 | |||||||||||||||||||||
所在地 | 石川県金沢市 | |||||||||||||||||||||
事業内容 | 情報システム、樹脂・エレクトロニクス製品・化学品・住宅機器の販売、空調設備工事、オリジナル造作家具の設計施工 | |||||||||||||||||||||
従業員数 | 562名 | |||||||||||||||||||||
うち障害者数 | 7名
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1.事業所の概要
昭和3年、石川県金沢市にて化学品関連商社として創業。以来、事業分野を化学品関連、建設関連、IT関連と多岐に渡って展開するエンジニアリング企業に成長した。お客様のニーズが発生する事情を深く知り、お客様の立場に立って提案していくことが、ビジネスの基本的な方向である。IT分野では、「お客様にとっての使いやすさ」を基本コンセプトとして企業向けパッケージソフトウエア「POWER EGG」を開発し、現在では、10万人以上の方に利用されている。 |

2.マッサージルームの開設と障害者雇用の経緯
(1)背景 |

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(2)マッサージルームの開設 |

ア 設備 更衣室を改修してマッサージルームを作った。施術室と事務所を設置している。 (マッサージルーム開設までに要した準備)
※障害者作業施設設置等助成金(第1種)利用
OA操作支援ソフトを利用することで、情報の受信はもちろん、発信も出来ることが大きな効果である。現在、マッサージは金沢本社のみならず、富山、福井でも出張サービスを行っている。これは、メールを利用し、各支店の責任者にマッサージ出張サービスの提案をした成果である。ヘルスキーパーの活躍の場が広がることと、ケアをしてもらえる社員が増えたことと、両方の成果が得られた。 |

(OA操作支援機器類)
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(3)障害者の採用 |

全面的に石川県立盲学校と、東京都立文京盲学校に協力頂き、平成15年1月、金沢本社、東京本社それぞれ1名ずつ採用し、マッサージルームの営業を開始。同年4月にさらに1名ずつ増員した。人事部付ヘルスキーパーとして入社した。 |

(4)雇用形態 |

正社員として雇用したことで、各人の責任感とやる気がよく現れている。マッサージルームの環境に関することや稼働率向上に関することなど、様々な分野において積極的に取り組んでいる。マッサージをすることだけが仕事ではないと感じてもらえている。 その他、勤務形態を特別に設けた。 (勤務時間)
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(5)助成金の活用 |

ヘルスキーパー採用時、障害者作業施設設置等助成金(第1種)を活用し、必要となる備品のうち、消耗品を除く金額総額の3分の2が支給された。この助成金の手続きは、各都道府県障害者雇用促進協会へ、備品購入前の認定申請、備品購入後の請求申請を行うことにより完了する。 当社では、その分でさらに設備拡充の為、ホットパックの導入やアロマオイルの購入など、大変有効に活用させてもらった。 |

3.マッサージルームの運営と改善点
(1) 営業時間 |

11:00~19:00(13:00~14:00休憩)。 |

(2) マッサージメニュー |

20分および40分(20分単位で延長可能)。 |

(3) 利用料 |

支払は給与天引き、または口座引落し。 |

(4)稼働率 |

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(5)予約管理システム |

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(6)利用料天引きシステム導入 |

現金を扱うのはリスクが伴うため、利用料を給与天引きにした。しかし、給与データを管理する手間も大変なものになる。このシステムがあることによって、データを管理する時間が削減される。 |

(7)マイレージシステム導入 |

お客様の情報や仕事に関する報告を、当社開発のパッケージシステム「POWER EGG」のナレッジマネジメントシステムに登録すると、それが点数化されマイレージが貯まる仕組みになっている。このマイレージポイントを使ってマッサージを受けることが可能である。 つまり、通常の業務で貯めたポイントを使えば、無料で施術を受けることができる。 |

(8)有給消化制 |

就業時間中の利用は20分0.05日の有給消化とし、年度末に総利用時間を集計する。 |

(9)掲示版 |

施術室内およびWEB上で掲示しており、社員全員が見ることができる。 |

4.従業員としての人材育成、人事考課
(1)能力評価 |

当社では成果主義、期初に立てた目標および計画の達成率をもって評価する完全実力主義を採用している。 ヘルスキーパーは社員として採用しているので、同様の制度を適用している。この人事考課が賞与、昇給に関係する。 |

(2)教育訓練 |

1ヶ月30時間を目安に、勉強する時間を取得するよう社員に義務付けている。各自この時間を利用しキャリアアップを目指す。 キャリアアッププランは各自で目標を立てることになるが、具体的には、技術の向上、サービス向上、OAスキルの向上を目標としている。OAスキルの向上面では、Excel、Wordを学び、お客様のカルテや受付簿を作成する。今後はPower Pointの習得に時間を割く予定である。また、サービス向上面では、アロマテラピーの勉強をしている。鎮静効果のある香りを使うことが多く、社員からはリラックス出来ると評判である。 その他、マッサージルームという社内では特別な場所にいるだけに、組織の一員である意識が薄れないよう、全社員向けの研修会にはマッサージルームを休診して参加するようにしている。社内における公の場に出ることによって、研修内容の理解はもちろん社員へ認知してもらうよい機会になっている。 |

(3)指導体制・方法 |

パソコンの操作に関する細かいことから、稼働率アップのための戦略など、様々な質問をするための担当者を人事課内に置いた。まずは会社に慣れることから始まったが、現在は次のステップとして、自分で考え戦略を立て、実行できるように指導している。 課題と感じた点は、初めてヘルスキーパーとして職につく方ばかりだったので、「企業」や「組織」といったものを体感し、理解してもらうまでに時間がかかった。ジョブコーチ等の導入がなかったことも理由の一つにある。 しかし、担当者にとっては、ヘルスキーパーを理解するいい機会になった。 また、横のつながりとして、ヘルスキーパー同士の情報交換は積極的に行っている。ヘルスキーパー協会に入会することで技術交流、職場環境改善の話など、役に立つことが多い。石川県にはヘルスキーパーが少ないので、情報交換のため、東京に出張することもある。 その他、社内では、仕事時間以外の交流活動として、社員旅行への参加がある。これは、ヘルスキーパー自身のリフレッシュを図れること、また、社員とのコミュニケーションを図る良い機会であると感じる。 |

5.今後の課題・展望等
視覚障害者が働く場所を提供するためには、職場環境を整えるだけでなく、運営に関しても常に改善や工夫が必要であることを実感している。また、その責任をヘルスキーパーに持たせたことにより、様々なことにチャレンジをし、開設から現在まで右肩上がりの稼働率を実現できていると自負している。 一方ではまだ、自立した組織として考えるには課題が残されているとも感じる。与えられた環境下で最大限の努力をするだけでなく、例えば、社員の健康管理を行う上でのリスク分析や健康目標を発信するなど、自発的なアピールがあるともっと価値のある存在になっていくのだと考える。 まだまだ発展途上なので、これからも様々なアイディアを出し、社員へ最適なサービスを提供し、かつ自立した組織になるようマッサージルームの進化を目指したい。 (執筆者:三谷産業株式会社人事部人事課 国政 恭子) |

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