障害者が無理なく働くための職務の整理～人工透析を受けながらの短時間勤務～
2004年度作成
| 事業所名 | 西国自動車株式会社 | |||||||||||||||||||||
| 所在地 | 大阪府箕面市 | |||||||||||||||||||||
| 事業内容 | 自動車販売、修理 | |||||||||||||||||||||
| 従業員数 | 22名 | |||||||||||||||||||||
| うち障害者数 | 1名
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 国道沿いにある西国自動車の社屋 |
1.人と人とのつながりから～Aさんの採用
| 大阪の北部を東西に貫く国道171号線（大阪外環状線）。郊外型の飲食店や量販店が並ぶ4車線の幹線道路沿いに、西国自動車がある。自動車の車検、修理と販売を行う会社である。 その2階建ての社屋の清掃を担当しているのが、Aさん（女性）である。Aさんは、腎臓透析のために週3回は通院が必要となる。そのため、仕事は透析のない日に限られ、週3回の午前中に出勤することになっている。 「自分のできる範囲で、仕事をしたい」との思いを持ったAさんが、障害者雇用支援センターに入所したのは今年の6月。約半年後には、その思いが実現し、西国自動車で働けることになった。 何事にも前向きなAさん。週3回の透析も「テレビを見てゆっくりと過ごせるんですよ」と笑って言い放つ。仕事中も終始笑顔を絶やさない。 社長と障害者雇用支援センターの所長が知り合いだったということが、きっかけとなったAさんの就職。障害者雇用支援センターから障害者雇用についての検討を持ちかけられた際、「探せば、障害のある人にも、十分に任せられる仕事はあるはず。うちの会社では何ができるか・・・」と仕事内容を検討していった。その一つの答えが、Aさんの掃除の仕事での雇用だったのである。 社長は、「よその会社でも受け入れられにくい障害者の就職。うちの会社も断っても、理由を問われることはないだろう。」とは考えずに、ひとまず受け入れが可能な職域を検討したために、Aさんの就職の可能性が生まれたのである。 そうは言うものの、「誰でもうちで働いてもらえるということではないで。実際にAさんに面接で会って、色々と話をしてみて、前向きなAさんの性格を知ったからこそ、うちで働いてもらうことにしたんや。」と、社長。その自然体での受け入れの姿勢からは、障害者雇用を通した社会貢献、地域貢献といった力みは全く感じられない。 |
2.Aさんの業務と職務整理
ここで、Aさんの業務内容を紹介したい。何よりもAさんの体力面に不安があることを配慮し、3時間という短時間に留めているとともに、ゆったりと仕事ができるように職務が整理されている点が印象的である。
もともとは、社長の奥さん（常務）が片手間でやっていた仕事。それを、週3回出勤するAさんの仕事として、再整理していったのである。 また、握力がもともと弱いAさんは、雑巾を絞ることが苦手な作業となっていた。そんなAさんに対して、「慌てて仕事をしようとしなくてもよい。」とアドバイスし、洗濯機の脱水機能を使って適切な濡れ具合の雑巾で掃除ができるように配慮もしている。 当初、Aさんに、事務補助の仕事を覚えようとした時期もあった。しかし、障害者手帳は取得していないものの、障害者職業センターの職業評価では、軽度の知的障害がみられたAさん。障害者雇用支援センターのスタッフもサポートをしていったが、事務の仕事の習得は、やはり困難な状況であった。 それでも、そのようなAさんの仕事をする上での能力の制限された部分を、会社の方々はすぐに理解し、今の掃除の仕事をすぐに提案し、その後も見守り続けているのである。 これら一連のAさんに対する配慮によって、仕事をする上で「背伸び」をする必要もなくなっている。 |
3.これからのAさん
| 「仕事をしている今が、とても充実しています」とAさん。業務の空いた時間は、ハンコ押し等の手伝いもしている。 就職して間がないものの、Aさんも会社もお互いに肩の力が抜けて、ゆとりを持っているのが印象的である。Aさんにとっては、受傷して初めて就職する会社ではあるが、今の様子であれば、いつまでも無理なく働くことができそうである。 （執筆者：財団法人箕面市障害者事業団 下司良一） |
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