障害者と共に生きる事業所～福祉作業所とNPO法人を設立して就労支援・生活支援まで～
2004年度作成
| 事業所名 | 有限会社シロクリーニング | |||||||||||||||||||||
| 所在地 | 岡山県岡山市 | |||||||||||||||||||||
| 事業内容 | クリーニング業 | |||||||||||||||||||||
| 従業員数 | 28名 | |||||||||||||||||||||
| うち障害者数 | 16名
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1.事業所の概要と障害者雇用の経緯
（1）事業所の概要 |
| シロクリーニングは、昭和42年に創業し、昭和62年、有限会社シロクリーニングを設立。平成3年、現所在地の岡山市青江に移転し、現在に至っている。 取扱商品は、ほとんどがリース商品（タオル、シーツ、白衣等）で、営業地区は、岡山県、兵庫県と広域にわたっている。 |
（2）障害者雇用の経緯 |
| 障害者雇用は、昭和40年代に、先代の社長（永田恵子社長の父親）が、近くの病院から精神障害者を院外作業として受け入れた時から始まっている。 その後、昭和54年に会社を大元駅前に移転後、障害者（精神障害者1名、知的障害者6名）を雇用した。 現在は、従業員と職場実習生を含め35名が働いているが、うち障害者が22名を占め、まさに障害者が主力の工場となっている。 |
2.障害者雇用のための工夫・対策
（1）取扱商品をリース商品に変更 |
それをリース商品にすることにより、弁償のリスクが少なくなった。 |
（2）アドバイスがすぐできる体制整備 |
| それぞれの作業工程に障害者だけ配置せず、業務遂行援助者を設置することにより早く的確なアドバイスができるような工夫をしている。 |
（3）障害者専用の機械の設置 |
ア タオルホルダーの設置
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イ シーツスプレッダーの設置
この機械を製作したのが（有）関商事の関洋一社長。関社長自身、左手の指を欠損、身体障害者3級の手帳をもっておられる。そのような手でありながら事業所の希望通り機械の設計、製作までやってくれたと言う。障害者用の機器は、既製品では間に合わず、特注となることが多いが、なかなか引き受けてくれる会社がない。タオルホルダー機の作製以来、他の機械の作製、メンテナンスを含め、ずっとお世話になっているとのこと。 障害者雇用をしている事業所では、よく「障害者でもできるような機械があったらもっと働いてもらえるのに」という声を聞くが、これからはぜひ紹介したい会社である。 |
3.福祉作業所・NPO法人の設立
クリーニング業以外にも、福祉制度を利用した小規模作業所を3ヶ所、障害者の就労生活を支援するためのNPO法人を立ち上げている。 ・ホープ作業所（クリーニング作業、知的障害者16名） ・しょうがや（うどん屋、知的障害者8名） ・エスペラント（パン屋、精神障害者8名） ・ホープ就労・生活支援センター | |
この責任者は、永田恵子社長のご主人永田昇氏であり、「障害者が、裏で働くのではなく、表に出て自らがお客に対応する。そんな作業所を作りたかった。」と動機を話された。 通常、福祉施設を開設するのは、障害者やその家族が多いが、全く障害者に縁がない事業主が障害者雇用だけではなく、福祉作業所を運営しているケースは全国的にみても珍しいと思う。 また「いつでも一緒、どこでも一緒、みんなと一緒に暮らせる世に中をつくりたい」というノーマライぜーション福祉理念をモットーとして掲げているのも大きな特徴である。 |
4.障害者の生活支援
| この事業所では、就労の場の提供だけではなく、生活全般の支援も行っている。 NPO法人「ホープ就労・生活支援センター」は、永田昇氏が理事長となり、法人格を取得、自社の障害者のみならず地域の障害者に対して、就労や生活相談に応じている。 また、余暇活動支援として週1回テニス場を確保し、たくさんの障害者がテニスを楽しむ場を提供している。 ユニークな活動としては、カップリングパーティーがある。男女の交流が障害者同士の集団見合いの場として、交流事業を年1回開催している。過去2回開催され、昨年は倉敷チボリ公園で、平成16年度は1月に予定されている。この交流会を通して3組のカップルが誕生していると言う。 |
5.今後の展望
| 現在、会社は、今までのノウハウを生かし、瀬戸内市に福祉施設も整備した新工場（第2工場）の建設を予定している。 その職員構成は、健常者が15人に障害者が30人という大規模なもので、重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金の活用も検討している。これが実現すれば、現在、就労の場がなく困っている瀬戸内市周辺の障害者にとっては、朗報となることは間違いない。 シロクリーニングが行っている障害者雇用の実態を見て教えられのは、障害者雇用促進協会をはじめ、いろいろな機関が取り扱う障害者雇用の支援制度を活用することで、設備改善と人的体制を工夫し健常者以上の生産をあげていること。 また、福祉制度を利用して就労前のトレーニング、日常活動の場の提供等行い、NPO法人として障害者の就労・生活の支援を行うという、障害者総合支援システムを作り上げたという点である。 今後、各事業所に生活支援システムを作るのは無理としても、障害者職業センター、地域生活支援センター、就労支援センター等との連携を図り、総合的に障害者就労・生活支援活動を行うことが障害者雇用のあるべき将来像だと思う。 （執筆者：東備地域生活支援センター 所長 片山 健） |
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