障害者雇用率の向上へむけた取り組み～接客のプロとして働く障害者～
2004年度作成
| 事業所名 | ダイキ株式会社 | |||||||||||||||||||||
| 所在地 | 愛媛県松山市 | |||||||||||||||||||||
| 事業内容 | DIY用品を販売するホームセンター。 | |||||||||||||||||||||
| 従業員数 | 1,992名 | |||||||||||||||||||||
| うち障害者数 | 28名
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1.事業所の概要
1958年「タイルと衛生陶器の店」大亀商事を開店。以来45年間、一人の生活者として暮らしを見つめ商品に活かすことを心掛けてきた。DIY用品等を販売するホームセンターカンパニーは瀬戸内を中心に関西まで進出し、現在115店舗展開している。「人にやさしい未来づくり」をテーマに、新しい快適を創造し、提案する生活環境の総合企業を目指している。
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2.障害者雇用に取り組んだ経緯
（1）取り組みのきっかけ |
| 障害者雇用について関心が高まったのは平成14年のこと。法定雇用率が引き上げられ、未達成企業の公表が決まったことがきっかけであった。職業安定所の所長からの指導、助言を受けながら話し合った。 当時の障害者雇用率は1.0%。それまでも気になってはいたが接客、対人業務が主体の業態からなかなか改善できなかった。しかし、企業として社会的責任を果たさなくてはならない、1.8％は無理でも、まず1.5％を目指していこうという目標を立て行動に移していった。 |
（2）各地の店舗での採用活動 |
| まず、松山公共職業安定所に行き、雇用の現状と会社側の目標について相談した。店舗は各地にあるため、各県で行われる就職面接会の予定を調べ参加することになった。また、作業・レジ・販売の求人を出し、応募があれば書類審査、面接を行った。面接の後は試験を行い、条件をクリアすれば採用とした。 こうして、各県・各地の就職面接会に積極的に参加するとともに、求人を出すことを継続して行い積極的に採用を行った結果、2年後には雇用率が1.86％と大幅にアップ。気がつくと初めの目標を超え、いつの間にか法定雇用率も達成できていた、という感じだった。 |
3.障害者雇用の取り組み内容
（1）会社全体の方針 |
| 短期間に成果を上げることができたのはなぜか。それは、障害者雇用を会社全体の方針として進めることができたからであると感じている。障害者を雇用するといっても、店舗だけで対応するのは難しい。そこで、人事部が中心となって障害者雇用の現状と社会的責任について会議で説明し、雇用を進めていくことを提案した。結果、社長の了解を得ることができ、会社として障害者雇用率のアップを目指すことになったのである。トップの理解と支持があったからこその成果であった。 |
（2）採用・評価 |
| 雇用に際し特別な取り組みは行っていない。障害に合わせた仕事を用意するのではなく、障害に関わらず、店で行う作業ができるかどうか、その能力を評価して採用しているからである。 一次試験では、人事担当課長が面接を行い、接客業の適性を見る。店舗で一番大切な仕事は接客になるからである。たとえ荷物運びや陳列作業をしていても、店内にいれば自然とお客様と接する機会が出てくる。お客様にとってはベテランも新人も関係ない。そのときにきちんと対応できるかどうかが重要なポイントになる。二次試験では、人事部長と現地の部長が面接、試験を行い、作業の能力を見て検討する。労働条件は健常者と同じである。ただ、通院などには配慮し周囲も理解している。 |
（3）職場実習の受け入れ |
| 会社の取り組みは地域への広がりも見せた。障害者雇用に対し積極的に動き出した平成14年、職場体験として愛媛県と香川県の養護学校の生徒を2名受け入れた。こうした機会は初めてのことであったが、学校からの申し込みを受け、学校側と協力し合っての実現となった。翌年、卒業生のうちの1名が入社し、現在でも仕事を続けている。 こうした職場体験の受け入れについては店の状況により難しいこともあるが、これからも前向きに考えていきたいとしている。 |
4.まとめ～効果と所見
（1）取り組みの効果 |
| 障害のある人の採用が決まったとき、配属先の店長は不安を感じたと言う。障害者と接した経験がなく、やりにくいという固定イメージがあったからだ。 しかし、一緒に仕事をしていくうちにそうしたイメージは取り払われていった。健常の新入社員と同じように仕事を覚え、こなしていく。ただ、障害者手帳を持っているかどうか、それだけの違いだった。このように「障害者」に対するイメージが一新された社員も多い。 これからも企業としての社会的責任を果たし、雇用率を維持していく方針である。また、必要に応じてジョブコーチ制度も活用していきたいと考えている。 |
（2）執筆者の所見 |
| 障害者雇用を進めていくことは「もちろん簡単なことではなかったけれど、自然と目標を達成できた」という。それは「トップの理解があったから」と言われるように、会社としての障害者雇用に対する方向性がきちんと示され、社員に浸透していたからであろう。また、面接や試験の様子を聞き、障害者に対しハンディキャップに視点をあてるのではなく、その人の持つ能力を積極的に評価しようという姿勢を感じた。 例えば車いすを使用している社員の方でも、店舗の中でプロとしてきびきびと働く姿が想像される。それは周りの同僚の方に、また、店に訪れる地域の人々にとって、きっと障害者雇用に対する理解をより促すことにもなると考える。 （執筆者：愛媛大学教育学研究科 美濃宏実） |
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