人間尊重・喜びの創造~社員の自主性による職場改善~
2004年度作成
事業所名 | 株式会社 ホンダロック | |||||||||||||||||||||
所在地 | 本社 宮崎県宮崎郡佐土原町 宮崎工場 宮崎郡佐土原町 広瀬工場 宮崎郡佐土原町 富山工場 富山県東砺波郡庄川町 川越工場 埼玉県川越市 | |||||||||||||||||||||
事業内容 | 車の安全を守る「ドアロック・ドアハンドル・キースイッチ」、視界を確保する「ドアーミラー・ルームミラー」、快適性を追及する「キーレスエントリーシステム」等がある。 エレクトロニクス化が進む中で、高付加価値商品を企画・設計の段階から製造まで一貫して行なっている。 | |||||||||||||||||||||
従業員数 | 1,392名 | |||||||||||||||||||||
うち障害者数 | 24名
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1.会社概要と障害者の雇用状況
(1)会社概要 |

創業以来、「世界に通用するキーロックメーカー」として自動車用機能部品の専門メーカーとして、高付加価値製品を開発生産している。21世紀を迎え、車社会も地球環境にやさしく“より安全で高性能、そして快適さ”を求められているなかで、システム化・グローバル化、環境対応を積極的に展開しながら、セーフティ&セキュリティ、高利便性製品の供給を通じて、存在を期待される企業を目指し、(1)先進で価値ある商品の創出、(2)変化に即応できるグローバル企業の実現、(3)社会との共存に取り組んでおり、常に「チャレンジ」を続けている企業である。 |

(2)障害者の雇用状況 |

障害者の雇用については、宮崎本社・川越・栃木といった国内拠点において現在24名の障害者を雇用しており、その職種についても、設計技術者や工場内作業者、管理職という様々な分野で活躍している。 現在、障害者雇用率は2.95%である。 |

2.障害者雇用職場の改善について
(1)自主的な改善 |

障害者は24名在職しているが、健常者と全く変わらない状態のもとに作業に従事している。 障害者を雇用する職場の改善ということでは、障害者自身並びにその障害者を自主的にサポートする役割を担う従業員の方々が、自分逹で考え、自分達で改善されてきたとのことである。これからも「自主性」「自立性」を大切にし、障害者本人、周りの従業員一体となって、職場の環境づくりに努めている。その具体的な活動を、事例として紹介することとする。 |

(2)手話サークル活動 |

当社同好会として1996年に登録された。聴覚障害者・健常者で構成されたこのサークルの主な活動としては、社内での手話講習会の実施と社内夏祭り等での発表である。 手話講習会は、1994年3月より実施され、それまで手話を知らなかった方にも参加していただき、その結果手話を話せるようになり、業務上での通訳係を担うことにもつながった。会社からのバックアップもあり、テキストやビデオ等を購入し、さらに継続してきた結果、1999年3月には、全国でも初めて企業内手話講習会として、県知事認定の修了証をいただいた。 また、日頃の活動を他のみなさんにも観ていただこうと、会社の大きなイベントでもある、夏祭りのステージにて手話を使った歌を披露し、社内、社外ともに大きな反響をいただくことができた。 |

(3)社外の手話講習会への参加 |

手話サークルの活動をさらに発展させ、障害者の方が自主的に社外の手話講習会へ参加するという活動も行なってきた。これは、手話講習会の講師として市や町が主催している講習会へボランティアで参加しているものである。社内にとどまらず社外での活動も盛んに行ってきた。 |

(4)自主的な改善提案活動 |

当社には「改善提案活動」というものがあり、職場においての安全や品質・環境などについての個別改善活動を全従業員が積極的に行っている。ここでも、障害者の方が安全に働くことができるような職場や設備の改善を、障害者本人が考え、提案し、実行されている。 例を挙げると、部品を組み立てる設備には、トラブル防止のための赤色灯が設置されているが、これまでは頭の上の位置にあり、音の聞こえない聴覚障害者にとっては、トラブルが起こったとしても、自分の目で確認するのに多少の時間が費やされてしまう。それを無くすために、作業しながら見えるポイントに赤色灯を設置することで、すぐにトラブルが分かるようになったというものである。 このような活動は、常日頃から行われており、今後も絶えることはない。 |

(5)あらゆる場面での手話対応 |

上記にもあるように、社内や社外での活発な手話活動によって、職場の中に手話ができる通訳係ができた。作業手順や朝礼等で行われる連絡事項、あるいは記念式典上での社長講話など、あらゆる場面で通訳を行っている。手話ができない人も紙で書いて説明したり自ら手話を覚えていったりと、今後とも障害者が働きやすい職場づくりができていくものと思われる。 |

(6)障害者スポーツ大会などへの積極的な参加 |

個人でも障害者スポーツ大会へ積極的に参加し、2001年には全国障害者スポーツ大会に出場・好成績を収めた。会社としても可能な限りの支援を行っている。 |

(7)ノーマライゼーションの実行 |

以上のような内容をうかがい知ることができたが、これは国際障害者年(1979年)に国連総会で採決されたノーマライゼーションの理念に基づくもので、働く意思と能力のあるすべての障害者が健常者とともに一般企業においてごく自然に働ける状態を造り出すことを目指しており、正にこの理念を実行されている企業であることを実感することができた。 会社を訪問した際に、聴覚障害者の方にインタビューを試み、作業内容(組立)を手話通訳を通じて会話したが、和やかに応じていただき、仕事に対する意欲と責任感を対話の中で読み取ることができた。
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3.職場配置と研修について
障害者24人の配置は、工場に19人、事務部に1人、設計技術部門に4人である。工場19人の作業内容は、部品組立14人、鋳造2人、塗装1人、樹脂2人である。 部品組立に従事している障害者は、知的障害者5人、聴覚障害者6人、内部障害者3人であるが、勤続年数37年を筆頭に長期永年勤続者が多数おられ、社内の労務管理が優れていることが証明されるところである。 設計技術部門の4人については、肢体障害者であるが勤続年数34年で、製造技術担当課長ポストであり、あと3人も役職ポストとして活躍されている。 自動車産業界ほど市場ニーズ志向型の商品開発はないといっても過言でなく、その技術開発は各社凌ぎを削っているところであるが、ホンダロックにおける、障害者の職場配置については、「自立性」「自主性」を尊重しながら、いわゆる成果主義の職場であることを感じた。 研修体制としては、企業内研修・講習会・外部研修への参加・社内報発行を実施している。OJT・OFFJT等の教育訓練を実施し、社員全体のレベルアップに努力されている。 |

4.労働条件・福利厚生について
(1)勤務時間 |

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(2)休日 |

土曜日、日曜日、5月に7日、8月に10日、年末年始に8日。年間休日121日。 |

(3)給与体系 |

月給制・日給制。 |

(4)保険等 |

労働保険・社会保険加入。 |

(5)社内旅行・忘年会・スポーツ大会等 |

社内に、レクリエーションクラブがあり、それぞれ活発に活動している。 社内旅行では、「バイク野郎のツーリング」「ぶらり一人旅」、海外旅行についても、それぞれが計画して実行している。 スポーツ大会では、サッカーが盛んで平成16年は、第84回 天皇杯日本サッカー選手権大会で地域リーグ決勝大会で勝利する等JFLに昇格して会社の公式クラブとして大いに気勢があがっているところである。 |

(6)健康診断 |

社員の健康にはことさら留意して、定期検診・成人病検診・特殊を実施している。 |

5.まとめ
株式会社ホンダロックは、「工場基盤の栄えていない地域に企業を興し、宮崎の地に近代産業を根付かせ、世界に通用するキーロックメーカーを育てよう」という創業者、本田宗一郎氏の強い理念のもとに設立された会社であるが、今回のテーマとして取り上げさせていただいた会社の理念「人間尊重・喜びの創造」の中に、障害者雇用の精神も導入されているものと理解している。
今後の障害者雇用については、現在雇用している障害者が定年に到達する方がいるので、欠員補充をして現体制(24人)を維持し、更に将来に向けて障害者雇用を検討される意向である。 (執筆者:社会保険労務士 長友 安弘)
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