障害者雇用の門戸を開いて
2004年度作成
事業所名 | 吉谷工業株式会社 | |||||||||||||||||||||
所在地 | 本社 岡山県高梁市 小林工場 宮崎県小林市 高原工場 宮崎県西諸県郡高原町 高崎工場 宮崎県西諸県郡高崎町 | |||||||||||||||||||||
事業内容 | シューズ縫製・販売 | |||||||||||||||||||||
従業員数 | 62名 | |||||||||||||||||||||
うち障害者数 | 4名
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1.事業所の概要と障害者雇用の方針
(1)事業所の概要 |

その小林市に、吉谷工業株式会社は、小林市の誘致企業として、昭和52年4月に小林工場を設立した。位置的には九州高速道が小林市を横断しており、流通面でも有利な環境にあることを吉谷社長が判断され、引き続き昭和60年12月高原工場、更に平成12年12月高崎工場を増設して現在に至っている。 事業内容は、シューズ縫製・販売であり、各工場の業務は以下のとおり。 小林工場 婦人・子供・安全革靴・静電靴等アッパー縫製 高原工場 婦人・子供・紳士・介護シューズアッパー縫製 高崎工場 婦人・子供・静電靴等アッパー縫製 宮崎県における各工場の統括責任者は、取締役製造部長が掌握されている。
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(2)障害者雇用の方針 |

平成13年度宮崎県障害者雇用促進協会長表彰、平成15年度宮崎県知事表彰を受賞している。 |

2.障害者の作業内容と配慮
(1)肢体不自由者 |

肢体不自由者3人の職種は、1名は事務職で関節リュウマチによる両上肢・両下肢障害による重度障害(2級)で車いす使用者であるが、事務全般を担当している。 内容は、(1)毎日、1時間ごとの出来高計算、(2)材料(着荷)検収、(3)毎日納品伝票作成、(4)銀行、郵便局、職安、市役所業務、(5)給与計算を行っている。加えて電話対応、月毎売上集計、納品伝票作成(起票)及び送り状作成と、障害を抱えながらの事務処理には、健常者以上の能力を発揮していると評価されるところである。 会社としては、これに応えて車いすのためのトイレ及び事務室(スロープ付)を拡張して対象者の利便を図るとともに、重度障害者の介助者を配置している。 肢体不自由者のもう1名は、左指一部切断の障害で、昭和40~50年にかけて農機具の欠陥で全国的に多くの子供が怪我したが、その一人である。作業的には支障は無く、製造工程のミシン作業に従事している。 あと一人は、股関節の障害であるが作業には支障無く、同じくミシン作業に従事している。 |

(2)知的障害者 |

知的障害者(重度)の作業は、各種部品の移動に伴う補助作業であるが、知的障害者の場合、わずかな工夫と周囲の理解があれば、その能力を発揮できる。知的障害者自身の就労の意欲、それを支える家族と地域、職場環境、それらが重なりあい一体となって、知的障害者が活躍する場が広がっている。 対象者は、小林市内から約10キロの道のりを親が自家用車で毎日送迎されて通勤している。家族の支えに守られながら勤務しており、職場では製造部長の障害者に対する深い理解があり、十分永続して勤務が可能であることを認識した。
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3.労働条件、教育訓練、福利厚生
(1)労働条件 |

ア 勤務時間 午前8時20分~午後5時10分の1日8時間、週40時間。 休憩は、午後12時から50分間。 イ 休日 土・日・祝日。 ウ 社会保険・労働保険適用 エ 給与 社員は月給制、パートは時給625円。 |

(2)教育・訓練 |

専任の指導員を配置して、個別的に障害者毎に作業従事に適合した能力訓練開発を行ない資質の向上を図っている。個別相談は、障害者がどんな意見を持ち、どのような不満を感じているか等、相談を通じ的確に把握することができる。障害者は、自分の気持ちをわかってもらいたいという希望を強く抱いており、個別相談はこのような要望にも答えることができるので、今後も機会を見ながら実施することにしている。 |

(3)福利厚生・健康管理 |

年1回の社内旅行、2ヶ月に1回の親睦会、忘年会等を通じて障害者とのコミュニケーションを図ることにより健常者と一体となり違和感を解消して、職場環境を醸成しており、それが定着に繋がっているものである。 健康診断は、毎年実施し社員の健康管理には十分配慮している。 |

4.まとめ
吉谷工業株式会社は、障害者雇用については、大きく門戸を開いてその能力と適性、やる気を期待している事業所である。工場責任者である取締役製造部長の吉谷弘人氏は、当社を希望する障害者がいれば、受け入れ体制は可能であり敷地も余裕があるので増設して受けいれたいとその抱負を語っている。 ただ、部長の持論として、現在、障害者がおかれている環境は、一般論として甘えの構造があり、特に家庭での生活指導面において過保護または放任のため日常的な躾が不十分である。それと学校、施設などに入れて親はまかせっきりという現状では、就職しても長続きせず早期離職に繋がるので、雇用者側からするとその点を改善しないと障害者の自立は困難であると強調されていた。 この点については、行政サイドとしては、近年大型隔離施設は解消傾向にあり、小規模のグループホームとして介助員を配置し指導運営する方向にあることを助言した。 (執筆者:社会保険労務士 長友 安弘) |

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