障害の種別をこえて、企業の支えに!
- 事業所名
- だるま屋商事株式会社
- 所在地
- 本社・工場 福井県福井市
春江工場 福井県坂井郡春江町 - 事業内容
- リネンサプライ、寝具リース、丸洗い、リースキン、介護ウエア販売業
- 従業員数
- 115名
- うち障害者数
- 15名
障害 人数 従事業務 視覚障害 1 リネン、洗濯 聴覚障害 1 リネン、洗濯 肢体不自由 3 リネン、布団前処理 内部障害 0 知的障害 10 リネン仕上げ、リネン仕分け、布団洗濯補助 精神障害 0 - 目次
1. 事業所の概要と障害者雇用の経緯
(1)事業所の概要
だるま屋商事株式会社は、昭和43年7月に株式会社だるまや百貨店(現だるまや西武)寝具部より分離独立営業を開始したものである。
所在地は、福井市中心部より6キロ北西にあり、県道5号線通称芦原街道沿いにある。周囲はのどかな坂井平野に接する田園地帯で、道路に面した本社事務所の建物は、白色のコンパクトな建物であるが、その裏にリネンサプライの大きな工場がある。
建物総面積は3,000平方米、従業員数は115名、資本金は4,000万円であり、収集・配達用車両は36台である。
営業品目は、寝具のリネンサプライ、ホテル・病院の寝具リースと洗濯、布団丸洗い、介護関連商品の販売で、取引先は、県内および県外のホテル、旅館、病院、医院、特別養護老人ホーム、老人保健施設 市町村等である。
(2)障害者の雇用と事業主の意識
昭和50年に春江工場を新設した折に、障害者1名(知的障害、男子、50歳)を縁故採用した。勤務成績も良いことから、その後養護学校からの斡旋もあり、年々、採用していった。
事業主の福祉に対する理念、とりわけ業務が福祉施設との関係も深いこともあり、経営や雇用は「真心」であることを理念とし、全社員に指導している。
2. 障害者の雇用状況と職場配置
(1)障害者の雇用状況
性別 | 年令 | 障害の種類 | 障害等級/程度 | 職種名 | 勤続年数 | |
---|---|---|---|---|---|---|
男 | 53 | 肢体 | 5 | 軽 | リネン | 23 |
男 | 59 | 肢体 | 4 | 軽 | リネン | 16 |
男 | 52 | 聴覚 | 2 | 重 | リネン、洗濯工 | 11 |
男 | 67 | 視覚 | 2 | 重 | リネン、洗濯工 | 22 |
男 | 53 | 肢体 | 2 | 重 | 布団前処理 | 19 |
男 | 32 | 知的、自閉症 | 重 | リネン仕上げ | 16 | |
男 | 45 | 知的 | 重 | 布団洗濯補助 | 16 | |
男 | 33 | 知的、自閉症 | 重 | リネン仕上げ | 14 | |
男 | 31 | 知的 | 重 | リネン仕分け | 10ヶ月 | |
女 | 36 | 知的 | 軽 | リネン仕上げ | 17 | |
女 | 35 | 知的 | 重 | リネン仕上げ | 16 | |
女 | 26 | 知的 | 重 | リネン仕上げ | 14 | |
女 | 33 | 知的 | 軽 | リネン仕上げ | 14 | |
女 | 29 | 知的 | 重 | リネン仕上げ | 10 | |
女 | 21 | 知的 | 重 | リネン仕上げ | 2 |
(2)作業内容と配置
寝具を中心とした洗濯、洗浄作業であり、布団前処理(1名)、布団洗濯補助(1名)、リネン洗濯(4名)、仕分け(1名)、乾燥仕上げ(8名)に分類される。
障害者は、リネンの仕分け、仕上げ工が主であるが、中には、洗濯工である聴覚障害者のように、ベテランの健常者に混じって作業を行っている者もいる。
仕上げは、4名(健常者2名、障害者2名)の班編成で、乾燥機ロールへの差込み作業である。この作業は、ロールの早さが1時間にシーツで900~700枚と健常者には楽な点もあるが、障害者には、その都度、指導を受けての作業になる。
リネン仕分け作業は、単に大小だけでなく最近の品種には、色物、柄物等が多くなっている為その仕分けも必要になっている。
洗濯物は、半乾燥のものが多く重さは特にないが、ベルトローラーで次の工程に運ばれる。運搬には台車を使用している。
現在雇用されている障害者が従事している作業では、危険または困難と思える作業はないが、仕上げの最終段階での数量の把握、結束、柄物そろえ、機器操作での種類の区分などでは困難も予想される。
3. 障害者雇用のための職場改善と雇用管理
(1)安全管理
作業工程の中では特に危険性は感じられないが、一番従事者の多い仕上げ乾燥の部署は、乾燥ローラーに誤って手を入れたり被服が挟まったりの防止策として、緊急停止ボタン(赤で表示されており、押しやすく大きめ)があり、またローラー遮蔽板にタッチすると緊急停止する。
また、洗濯物は洗濯機から天井のベルトローラーで次の工程に流れていくので、洗濯物の落ち口のフロアーは布で表示し、洗濯物落下の際は危険ランプとブザーで知らせるなどの安全策が取られている。危険ランプとブザーは、メーカーの協力で改善が図られたものであり、これまでには労務災害はない。
機械操作作業は、全てがコンピューター制御のボタンで操作し、間に挟まったり火傷をしたりするような危険はない。
(2)賃金
現在は、採用の時点から最低賃金の除外申請を行っているが、人により作業の進度が早く3~4年もすると健常者とのランクに近くなるので、本人の意欲のために除外をはずす事もある。現に、数名の者は健常者に給与面での差は少ない状態である。
(3)教育訓練
工場長の下に指導員が配置されている。採用者の技術指導は指導員があたり、実際の現場においては各班長が担当している。期間は、3~6ヶ月である。
生活面の教育指導は、総務担当次長等が担当している。
(4)職場改善の努力
障害者の雇用のための改善としては特に目立つものはないが、職場安全のため、危険防止策、ストッパーなど、メーカーの協力のもと改善が行われている。
一方、工場内での作業では、5Sの誓いとして清潔、整頓、整理、清掃、しつけを常態として社員が気を付ける事とし、外に対してもアピールするため、ISO9001を取得した。これは北陸同業者の中では初めてである。顧客の満足度の向上、マニュアル化を行った。
(5)健康管理
健常者と同じで、年1回の健康診断を実施している。特に障害者で薬を常用しているものについての気配りを班長などが行っている。
また、本人の勤務状況、健康状態に気配りし、異常を感じれば家族に連絡を取り、早めに対処するなどの協力体制を取っている。
4. 今後の雇用の拡大と課題について
事業主としては、市場の拡大が雇用につながって行くと判断し、その中で障害者の採用は考えていく積もりであること、しかし、市場がバブル崩壊以来、ホテル、旅館などの客の減少、介護方法の合理化などから来る介護用品の減少など市場の状況に明るい見通しが少ないところから欠員補充の採用を考えたい、としている。
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