2005年度作成

事業所名

株式会社

所在地

滋賀県東浅井郡びわ町

事業内容

金属加工業、金属加工技術による新商品開発事業

従業員数

221名

うち障害者数

7名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	1	溶接
肢体不自由	6	プレス、出荷業務、金型設計、溶接等
内部障害	0
知的障害	0
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要と障害者雇用の状況
2. 雇用障害者の状況と職場風景
3. 従業員の雇用管理～役職ポスト1年制～
4. 所見～企業にあった雇用管理と展望

1. 事業所の概要と障害者雇用の状況

（1）事業所の概要

　株式会社の事業内容は、金属加工事業（プレス加工、金型製作、板金加工、パイプ加工、組立）、新商品開発事業（金属塑性加工技術をベースに新洗浄技術、電解イオン水生成技術、ウォータージェット技術、混式タイプ超微粒子化技術、リサイクル化技術、燃焼装置技術）を行っており、滋賀県内に7工場を擁している。

（2）障害者雇用の状況

　障害者の雇用、定着にはきわめて熱心で、障害者雇用優良事業所として、これまで労働大臣表彰（平成4年）、県知事表彰（昭和57年）、障害者雇用促進協会長表彰（昭和50年）を受賞しており、また同社の障害者従業員2名が、優秀勤労障害者として労働大臣表彰を受賞（平成元年、平成7年）している。
　（株）の障害者雇用率は3.62％（平成17年6月1日時点）である。

2. 雇用障害者の状況と職場風景

（1）雇用障害者の障害種類と定着状況

　障害者の雇用と定着の状況は、次表「雇用障害者の障害状況と勤続年数の状況」のとおりである。

（2）職場風景

3. 従業員の雇用管理～役職ポスト1年制～

書式 ソース

（1） 役職ポスト1年制

ア　概要

　（株）のすべての役職ポストへの昇進は、昇進経路に沿い、1年ごとの任用辞令によって行われる。いわば「役職ポスト1年制」と言えるもので、すべての役職ポストへの昇進とその発令は毎年3月、1年の期間を区切って行われる。
　次の年度における役職ポスト任用の更新、昇進、ポスト変更などの任用は、前年度における勤務の状況や業務遂行の状況などの評定を経て行われる。（もちろん更新もある。実態としては、更新時にグレードが下位になった例は全70ポストのうち数件となっている）。
　もちろん、常用労働者たる身分には変更はない。更新、下位格付けの場合も同様である。
　なお、役職者にはポスト別の役職手当が支給されるが、下位ポストへ格付けされた場合は当該ポストの役職手当が支給される訳である。

イ　役職ポストと昇進経路

　ここで（株）の役職ポスト（生産現場）と昇進経路を次に掲記する。
　一般従業員　→　班長　→　係長　→　課長代理　→　課長　→　工場長　→　部次長　→　部長（主に役員）

ウ　ポスト任用の評定

　1年後次のステップへの格付けは、従業員個々の業務実績の評価として、まず直属上司が従業員と業務目標や実績について話し合いの機会を持つ。それも参考に考課を行い、その結果を役員会で評定した上で決定するという手順がとられている。

（2）定年後における雇用継続

　障害者従業員のうち定年（60歳）に達した者は過去に1名であったが、一般の従業員同様希望に従い、65歳まで雇用を継続した。今後における定年に達した障害者従業員に対する措置も同じである。

4. 所見～企業にあった雇用管理と展望

（1）役職ポスト1年制の効果

　障害者従業員の昇進管理、とりわけ役職への登用問題は障害者雇用の進捗、障害者従業員の職場定着上、重要な課題となりつつある。この観点から（株）の「役職ポスト1年制」を見てみる。
　同社では、50歳代で勤続35年以上の障害者従業員2名がそれぞれ元副工場長、課長の役職ポストに任用されている実例がある。
　同社のような受注生産型の製造業企業にとって、この制度は生産体制上合理的であり、従業員全体の昇進管理として有効に機能していると言える。
　すなわち、この「役職ポスト1年制」が合理的である背景は、同社の生産体制は100％受注生産であることから受注機器・部品の仕様に即座に受注案件ごとに対応できるよう常にフレキシブルに構成しておかねば発注者の発注条件を満足させられない事情があるからである。
　次に、この「役職ポスト1年制」が従業員のモラールの向上に有効に機能している理由は、生産現場従業員の「役職ポストは実績を反映するもの」との見方が浸透している故である。事実、（1）下位グレードへの格付けは実態上きわめて少ないこと（＝70ポスト中数例）、（2）労働条件への反映が役職手当額の変動という形で設計されていること、（3）格付け発令のプロセスが手順を踏んで慎重に行われているといったことから、従業員間の「役職ポスト1年制」に対するイメージはごく自然に受け入れられている。
　この観点を踏まえて、障害者従業員の勤続年数を見ると、障害者7名のうち35年以上勤務者が4人、平均勤続年数は22年となっており、長期継続と定着につながっているということができる。

（2）今後の展望

　（株）の今後の新商品を展望すると、長年培ってきた金属塑性加工技術をベースにした新商品の開発が進められている。今後の新事業展開の分野は環境、福祉の分野へと注力する考えで、現在、イオン水洗浄システム、バイオ燃料製造システムなどを開発・製造中である。
　今後の新商品開発への展望は、新分野を目指しつつ同社の金属塑性加工技術をベースにした堅実かつ先進的な取り組みとして期待できよう。これにより今後の障害者の働く場の創出に一歩を進めるものと期待したい。

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