事業所名

株式会社T－NETvigla（ティーネット　ヴィグラ）
（株式会社ティーネットジャパンの特例子会社）

所在地

香川県高松市

事業内容

親会社ティーネットジャパンの事務部門、機械設計など各種業務の受託

従業員数

11名

うち障害者数

8名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	1	総務・庶務事務
聴覚障害	3	総務・庶務・経理事務
肢体不自由	4	総務・庶務・経理事務、CAD製図
内部障害	0
知的障害	0
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要と特例子会社の設立
2. オフィスのユニバーサルデザイン化
3. 社内コミュニティと雇用管理
4. 全体としての評価

1. 事業所の概要と特例子会社の設立

　株式会社ティーネットジャパンは、障害者にも雇用の機会を広く与えることは企業としての責任であるというトップの強い意思に基づき、以前より障害者雇用を積極的に行ってきた。しかし、現場技術者が多い関係上、雇用率の改善がなかなか進まない状態が続いていた。
そのため、障害者雇用促進協会、公共職業安定所等の助言を受け、平成17年2月、香川県では初となる特例子会社「T－NETvigla」を設立した。親会社からの出向社員に加え、新規採用を行い、親会社の事務部門を受託することにより創業した。
社名の「vigla」はエスペラント語（国際補助語）で「生き生きとした活発な仲間たちの集い」を意味する。この社名の通り、自らの障害を言い訳にすることなくハンディを払拭し、過去に実現し難かった夢も仕事を通じて実現しようと設立され、トップの理解と強い意思のもと、新しい会社としてスタートを切ったばかりである。
香川県初の特例子会社として、この事業所がすすめている取り組みを「障害の有無に関係なく、長所を活かして生き生きと働ける会社の体現」という側面を中心に、個別の具体的事項ごとに取り上げて参考の事例とする。

2. オフィスのユニバーサルデザイン化

（1） オフィスの改築

　親会社のオフィスを改築し、当事業所のオフィススペースを確保した。なお、工事期間中は親会社の役員会議室をオフィススペースとして提供してもらえたなど、親会社および当事業所の役職員の理解の深さがうかがえる。
オフィス設計に際しては、ポリテクカレッジの先生の協力を得て、ユニバーサルデザイン化を図った。また、本社設計担当とも綿密な打ち合わせを行い、障害者にとっても働きやすいオフィス環境を整えた。

（2） 駐車場・出入り口

　駐車場は車いす対応のためのスペースを確保した。駐車場と入り口の段差にはスロープを設けることで、下肢障害者のアクセスが容易となっている。また、オフィス、トイレの出入口は力をあまり入れなくても開閉可能な引き戸を採用している。

（3） オフィス

　デスク等のレイアウトにゆとりをもたせている。通常の業務を行うデスクは壁面に作り付けし、車いすの移動スペースを確保している。同時に壁紙を明るい色のものにすることで、室内照度の心配もなくなった。また、壁面作り付けのおかげでネットワークのケーブル等も壁面沿いのデスクの下にあるため、オフィス床面にケーブル管等も一切なく、平坦化が図られている。

脇机にはキャスターを手作りで取りつけ、レイアウト変更しやすくした。

（4） トイレ

　トイレまでの通路も幅が十分確保されている。車いす同士がすれ違うことも可能。トイレは車いす対応となっており、内部の広さ、手すりの設置や洗面台の高さに配慮している。また、万一の場合を考えて非常ベルも設置している。

トイレ内にある呼出装置

オフィス内にある呼出装置

3. 社内コミュニティと雇用管理

（1）社内ジョブコーチ制の採用

　当事業所の主たるオペレーションは、給与計算業務、経理処理業務、総務・庶務業務であるが、基礎知識の習得・OA機器操作技術の向上が不可欠である。
　オペレーションをスムーズに開始するため、親会社から社員を出向させ、社内ジョブコーチ制を採用した。なお、出向社員の中には障害をもつものもおり、出向社員、新規採用社員間の融合もスムーズに運んだ。

（2）配置場所への配慮

　総務・人事チーム、経理チームの2グループに大きく分かれているが、双方に健常者、障害者を含め出向社員、新規採用社員ともに配置しており、社員間の融合を図りやすいように配慮している。健常者、障害者の区別なく、日常の業務も同等に行っている。割り当てられた仕事に対しては真摯に取り組んでくれている。
　オフィスレイアウトの関係もあるが、お互いが仕事内容のことなどについて話し合いをしやすい環境となっている。また、1カ月を通して作業スケジュールが大まかに決まっており、グループワーク方式で相互に協力する態勢となっている。集団で行う仕事（郵便発送作業等）のときには、オフィス中央の大型テーブルに集合して行う。その大型テーブルは、普段は昼食などにも使用しており、社員間のコミュニケーションにも役立っている。

（3）職場コミュニティ

　視覚障害者、聴覚障害者へは伝達事項を周りの健常者がフォロー。また、自発的に手話を学習し、コミュニケーションを積極的に図っている社員もいる。懇親会等にも社員全員が積極的に参加してくれており、職場の輪が大切にされている。
　職業コンサルタント、職業生活相談員を配置しており、職業上の悩みだけでなく、生活上の悩みなどにも対応できている。職場内での不協和音もなく、また1人で悩むことなどもなく、職場の明るい雰囲気を醸し出している。

（4）健康面への配慮

　障害者についても、健常者と同様な健康診断を受診させ、日常より体調などには注意している。
　通院の必要などが生じた場合は、業務との兼ね合いも考慮し、現場にて柔軟に対応している。

4. 全体としての評価

　当事業所は、親会社トップの強い意思に加え、事業所社長および現場トップである取締役マネージャーの深い見識もあって、香川県で初めて設立された特例子会社である。
　当事業所の基本的理念は、その社名「vigla」があらわすとおり「障害の有無に関係なく、長所を活かして生き生きと働ける会社の体現」であり、障害もひとつの個性として捉え、ハンディを払拭することでやりたい業務に従事することである。
　親会社トップから現場に至るまで役職員にとって障害者雇用は当たり前のこととなっており、施設面やコミュニケーション面などで少しの配慮を行うことで、「生き生き」と活躍できる場が実現している。
　現在は、親会社からの事務受託が主となっており、機械設計部門などへも業務の幅を広げている段階。将来的には外部からの受託も行い、親会社からの独立採算化も目指し、働く場の提供と共に働く喜びを分かち合える仲間たちの輪を広げていきたいとしている。