お互いの気持ちの尊重
- 事業所名
- 松山容器株式会社
- 所在地
- 愛媛県松山市
- 事業内容
- 一般廃棄物・産業廃棄物収集運搬処分業務、再生資源販売業務
- 従業員数
- 75名
- うち障害者数
- 5名
障害 人数 従事業務 視覚障害 0 聴覚障害 0 肢体不自由 1 廃棄物処理(プラスチックの選別) 内部障害 0 知的障害 4 廃棄物処理(プラスチック・ビン・カンの選別) 精神障害 0 - 目次
1. 事業所の概要と障害者雇用の状況
(1)事業所の概要
昭和30年に廃棄物の再資源化を目的に創業して以来、50年以上一貫して廃棄物処理の専門会社としての業務を遂行してきた。廃棄物の質・量ともに多種多様化しその適正な処理と廃棄物の減量化が大きな社会問題となっている今、限りある資源の有効利用のため、再資源化を図り循環型社会への対応を最重要課題として掲げている。資源ゴミの選別施設、産業廃棄物焼却施設等を整備しており、一日約40トンの廃棄物を処理している。“人にやさしく、環境にやさしく”をコンセプトとし、環境の保全に配慮した処理体制の充実に努めている。
従業員数は75名。うち障害者は5名で、身体障害者1名、知的障害者4名(うち重度2名)である。
(2)障害者雇用の経緯
昭和61年に、養護学校からの要請で知的障害者を1名採用したのが最初であった。特に抵抗は無く、仕事内容を見直したとき「この仕事内容であれば大丈夫だ」と判断し、ビンの選別作業の仕事を任せた。ビンやカン、プラスチックの選別作業の仕事が主であるが、この仕事はベルトコンベアによる流れ作業のためチームワークが必要なこと、いろんな種類が入り混じっていることから一つ一つ分別していく必要があり、見た目以上に忍耐が必要である。そのため、初めは心配していたものの、根気よく教えれば十分仕事ができることが分かり、1人2人と養護学校や公共職業安定所から紹介を受けて雇用を増やしていった。
(3)障害者の仕事内容
性別 | 障害の種類 | 業務内容 | |
---|---|---|---|
Aさん | 男 | 身体障害 | 廃棄物処理(プラスチック選別) |
Bさん | 男 | 知的障害 | 廃棄物処理(ビン・カンの選別) |
Cさん | 男 | 知的障害(重度) | 廃棄物処理(ビン・カンの選別) |
Dさん | 男 | 知的障害 | 廃棄物処理(プラスチック選別) |
Eさん | 男 | 知的障害(重度) | 廃棄物処理(ビン・カンの選別) |
2. 定着への配慮と精神的なケア
(1) 職場実習
近年は、障害者の職場実習を年に2回、10~20日間受け入れている。
職場実習を行った養護学校の生徒が就職を希望し、会社側も実習期間にその人の能力を見た上で大丈夫であると判断すれば、採用している。職場実習に来た生徒たちは、実習期間中にだいたい仕事内容を覚えられることから、トライアル雇用の期間は無い。中には2回の職場実習を終えたにもかかわらず、「また実習に行きたい」と自ら志願し、実習を受ける熱心な生徒もいる。
(2)職場配置
職場実習期間中に仕事を大体覚えられるものの、採用後も引き続き障害者の側に常に誰かがいるようにしている。
また、仕事場の様子がすぐにわかるようにテレビモニターを設置している。
(3) 精神的なケア
会社で働いている障害者は、知的障害者がほとんどである。その中で特に配慮すべき点は精神的な部分、そして生活習慣、体調管理である。これまでに会社を辞めていった障害者たちは、精神的な問題や生活習慣の崩れが原因になることが多かった。
職場で仲間が障害者について話をしているのを聞いたりすると悪口でなくても不安になったり、体の調子が悪い時や精神的に辛くなったりすると、つい「しんどい」と言ってみたくなることもあるという。そのような時は怒ったり励ましたりせず、本人がどう思っているか、何を感じているか等その人の話を丁寧にじっくり聞くように努めている。こうしたことで、やる気が戻ってきたり元気になったりする。また、出勤してきた時は必ず声をかけるようにしている。
また、体調管理のためにも家庭との連絡を第一にしている。以前は、家庭と連絡ノートをやりとりしていたが、今は携帯電話を利用し、いつでも連絡を取れるようにしている。養護学校の先生も時々会社に見に来てくれることもある。
気持ちが落ち込みやすいというのは、裏を返せばとても真面目ということである。精神面、健康面への配慮をしっかり行えば、障害者はいきいきと活躍する。実際に、仕事をする能力は人によっては健常者と同じであるし、出勤率は誰よりも高い。中には機械操作もでき、職場で重要な役割を担っている障害者もいる。
そのためには、やはり「声をかける、気持ちを聞く、評価をする」ことが重要であり、辛い時や仕事をしたくない時も「どのような時もみんな一緒」ということを理解できるよう話してあげることが大切であるということだった。
3. まとめ~働く上での支え~
(1)今後の展望
会社で働いている障害者の中には、会社に来るだけで精一杯である人も現実にいる。その人だけでなく、働いている障害者全員に必ず誰かが側についているようにしているのだが、その側についている人が一番大変であるという。その人を含め周りの人に、これからもさらに障害者への理解、そして協力を得ることが課題である。
こうした課題を乗り越え、規模拡大の際には障害者雇用も積極的に取り入れていきたい、今は少なくとも現状維持に努めていきたいと考えている。
(2)作業現場を見て
障害者が働いているビン・カン、プラスチックの選別作業現場を見学させてもらった。現場は思わず耳を押さえてしまうほどの大きな音があふれていた。
その中でベルトコンベアの速い流れを集中して見つめ、選別作業を行う障害者の姿があった。作業場に入ってすぐ、現場の中で誰が障害者であるか私は全くわからなかった。それだけ障害者がみんなの中にとけこんで仕事ができているのだと思った。
また、障害者の不安をとにかく受け入れ、聞いてくれる人がいるということが障害者にとってとても心強いことであり、働いていく上でいつも心の支えになっているのだと強く感じた。
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