事業所名

野崎機器工業株式会社

所在地

福岡県築上郡椎田町

事業内容

水栓金具の組立・検査、プラスチック製品の加工、清掃事業

従業員数

74名

うち障害者数

18名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	1	パッキンの袋詰め作業
聴覚障害	7	水洗金具の組立・検査、プラスチック製品の加工
肢体不自由	5	水洗金具の組立・検査、プラスチック製品の加工
内部障害	0
知的障害	5	水洗金具の組立・検査、プラスチック製品の加工
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要と障害者雇用の状況
2. 障害者雇用における配慮
3. 今後の課題と展望

工場正門

1. 事業所の概要と障害者雇用の状況

　昭和57年、水洗金具の組み立て・研磨加工工場として、従業員60名、うち身体障害者21名で操業を開始した。現在ではあまり珍しくないが、当時は身体障害者を多数雇用するモデル工場として注目を集め、操業開始から2、3年間は、新聞各紙に大きく取り上げられ、NHKを始め各民放、FMラジオ、雑誌の取材や行政、企業の見学が続いた。
現在は、74人の授業員のうち身体障害者14人、知的障害者4人が勤務しており、障害者は従業員の24．3％を占めている。また、障害者のうち重度障害者の占める割合が61．1％と高い比率であるのが特徴である。
ここ4～5年、障害者雇用は行っていないが、退職者も出してはいない。現在人工透析者で1人雇用の相談があり、ハローワークに相談し、雇用する方向で雇用計画が進められている。

視覚・聴覚障害者

聴覚障害者

聴覚障害者

2. 障害者雇用における配慮

（1）安全面の配慮

　「身体障害者にケガ等でこれ以上障害を重くすることをしてはいけない。健常者が障害を負うような事故をおこしてはいけない。」をモットーに、安全上の設備については十分な配慮がなされている。その成果として、平成7年の全国労働安全週間で福岡労働基準局より「進歩賞」を受賞している。

（2）教育・コミュニケーション

　創業当初は大量生産の時代であり量産業務が主であったが、現在は細かい製品と大量生産商品が減少し、多種多様な商品を一人で最後までつくることになるため、職業生活相談員等による教育・訓練をおこなっている。
　聴覚障害者に対しては、毎日の朝礼時に筆談等によって社員間の意思の疎通を図ることに留意し、コミュニケーションについては問題は生じていない。従業員の家族が手話の会の会員であり、時々手話の会からの研修会や保護者会等の懇談会も開催している。

（3）福利厚生・健康管理

　年1回、定期健康診断を実施している。レクレーションとして花見やビヤガーデン、慰安旅行等を従来はおこなっていたが、慰安旅行は昨今の不景気による影響で実施していない状況である。

（4）表彰・助成金

　障害者雇用では、平成4年に「労働大臣賞」を受賞している。また、平成16、17年度と障害者雇用納付金にもとづく報奨金制度を十分に活用している。

作業風景

3. 今後の課題と展望

　作業現場を社長の説明を受けながら見学した。塵ひとつない清潔で整理整頓の行き届いた作業現場で、障害者が健常者の従業員と全く同等に精密な作業を実施していることに感心した。
　しかし、昨今の経済状況の厳しい中での受注は非常に厳しく、仕事の内容もロットの小さい作業で品種的にも多く、かつレベルが高くなり、一人で製品を最後まで仕上げなければならない状況となっている。そのため、障害者雇用の計画は非常に厳しくなってきており、職業生活指導員や現場指導員の責務が今後重要になってくると思われる。また、不景気の影響や様々な理由から取りやめになっている保護者会や各種レクレーションの実施を通して、従業員の人間関係を中心とした職場環境の調整が必要であろう。

執筆者：中村学園大学　教授