事業所名

株式会社エヌ・ティ・ティ・ドゥ

所在地

沖縄県浦添市

事業内容

・	電気通信設備に関わる設備提案、設計、工事、保守、コンサルティング及び設備品管理
・	電気通信設備に関わる各種機器、機材の開発、販売、工事及び保守並びに各種ネットワークの申し込み受付、販売
・	コンピュータのネットワークシステム及びソフトウェアの企画、設計、保守及びコンサルティング
・	各種電気通信機器・サービス等の販売及び販売代理店業務

従業員数

1,550名

うち障害者数

15名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	0
肢体不自由	9	一般事務、パソコン入力
内部障害	6	一般事務、パソコン入力、番号案内
知的障害	0
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要と障害者雇用の経緯
2. 職場環境の改善
3. 障害者雇用のための工夫・対策
4. 今後の展望

1. 事業所の概要と障害者雇用の経緯

（1）事業所の概要

　NTT－Doは、平成2年に沖縄県内の通信設備のメンテナンスをする会社としてスタートし、テレマーケティング事業や東京及び県内の電話番号案内業務等の事業を展開してきた。地域に根ざした沖縄の総合情報通信会社として、IT分野における新規事業を積極的に展開している。
　今回お話をうかがった設備ビジネス本部は、平成16年10月に開設した。パソコン業務が中心となっており、九州地区においての電気通信設備の変更・移動等を、ネットワークを介して改定していく作業を行っている部署である。

（2）障害者雇用の経緯

　障害者雇用については、社会連帯の理念に基づく事業主の共同責務として実施するものとしており、NTTグループ全体で雇用計画を立てている。
　NTT－Doで設備ビジネス本部を開設するにあたって、パソコン業務が中心となることから、上半身が機能すれば業務を遂行できるとの判断により、下肢障害者の採用を検討した。ハローワークの紹介や養護学校の職場実習等を経て6名を採用した。

職場風景

　その際、家庭の支援が重要となってくるだろうと考え、開設時に職場環境を把握してもらう意味も含めて、家族をオープンセレモニーや懇親会へ招待した。現在、目立ったトラブルもないため、特に関連機関や家庭との連絡は取り合っていないが、必要があれば相談したいと考えているとのことだ。

2. 職場環境の改善

（1） 駐車場

　車いすの方もいるため、雨降りでも対応できるよう軒下を利用した駐車スペースを確保している。

軒下を利用した駐車スペース

駐車スペースから続くスロープ

（2）トイレ

　当初は倉庫として利用していた箇所を改装して、車いす用のトイレを増設した。小便器にも手すりをつけるといった細かい配慮もした。

トイレに手すりを設置

（3）職場内

　職場内の空間も、車いすでも十分に動けるスペースであった。また、ドアを安全に開閉できるよう、スライド式のドアへ変更するなど、建物内の随所に障害者へ対する配慮が見られた。
エレベーターは設置されていないため、2階への移動の際は他の社員に協力してもらって移動する必要があるが、2階へ行く必要は現状としてほとんどない。

広々とした通路と職場空間

スライド式のドア

3. 障害者雇用のための工夫・対策

（1）研修と配置

　入社1ヶ月目は研修期間として、ダミーデータを用い担当社員が研修を行った。「仕事を覚えたい！」と、仕事に対する意欲的な態度がみられ、他の社員にもいい影響を与えていた。その後はOJTとして、簡単な業務から徐々にレベルアップしていくよう業務を組んでいる。
　また、臨機応変を要する内容のため、いつでも誰かに質問できる環境を提供するよう、障害者同士ではなく社員の間に席を配置している。各セクションに担当者がいるため、進捗状況を確認することを指示している。

（2）給与

　給与に関しては、同等の給与を支払い、能力によっての昇給もあるとのことだった。

（3）社員のサポート体制

　自然な形で障害者を受け入れる態勢ができあがってきている。階移動の際の車いす介助をはじめ、昼食に関しても社員食堂がバリアフリー化されていないということもあり、社員が日替わりで弁当を買って来るというスタイルができあがっている。ハード面での不十分な点を、ソフト面で十分に補っている。
　懇親会等の会場に関しても、彼らに配慮した施設（エレベーターが設置されている、車いす用のトイレがある等）を自然に探しているとのことだった。忘年会においては、彼らでグループを組んで余興も行うなど、仲間意識や団結力も備わってきている。
　自然なサポート体制は、障害者を正面から見つめていることからきており、1人の社会人としてきちんと対応している職場であるという印象を受けた。

4. 今後の展望

　これからも障害者雇用を進めていきたいと考えているが、現段階では躊躇している部分がある。これまで大きな問題点もなかったということもあり支援機関は活用していなかったが、些細なことでも相談に乗ってもらえるということを知り、活用して基盤を作ってから今後の採用は検討するつもりである、と話されていた。
　対象者は、やはり肢体不自由者を中心としており、肢体不自由養護学校と連絡を密にとりたいと考えている。しかし現状では、就職の際に連絡をとって以来連絡を取りあっていないため、就職後も電話で状況を確認したり職場での働きぶりを観察に来る等、学校側も積極的に就職後の生徒に関して視線を向けてほしいとのことだった。
　その他の支援機関に関しては、情報が全然なかったため活用に至っていなかった。事業主にとっては支援機関が大きな力になるが、どこから情報を入手するかどこまで活用していいのか等分からないために、障害者雇用に対する意識はあるものの情報不足のために雇用に至っていないケースが多々あるのではないか、ということが浮き彫りとなった。
　障害者を雇用することは、企業だけの責任ではなく、支援機関や家庭・地域によって成し遂げることである。障害者雇用に関しての情報提供の必要性が示唆された。