事業所名

大同衣料株式会社

所在地

秋田県大仙市

事業内容

紳士用礼服及び一般紳士服の製造

従業員数

180名

うち障害者数

8名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	1	縫製
肢体不自由	3	縫製、プレス仕上
内部障害	0
知的障害	3	プレス仕上
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要
2. 取り組みの経緯、背景
3. 障害者雇用の取り組み及び効果
4. 今後の課題、展望等

事業所外観

1. 事業所の概要

　当社は、昭和53年2月に創立し、創業以来フォーマルウェアを中心とするメンズファッションの製造を手掛け、常に技術と品質、生産性の向上に努めており、特に高い技術力が求められるフォーマルウェア製造部門においては、全国規模の大手紳士服チェーン店の最高級ブランドを一貫生産するまでに至った。昭和61年に本社工場を新築し、平成6年にはイージーオーダー部門を新設しショールームを開設した。現在、県内に3つの工場と流通センター及び物流センターを設置し、本社とパソコンネットワークで繋げ、受注からパターン作製、裁断、縫製、納品まですべての工程を一括管理する生産管理システムを構築し、全工程を自社内で賄うことができるようにした。

　県内はもとより、国内のアパレル産業は厳しい競争により製造拠点を海外へシフトする傾向にあるが、当社は、製品の一貫生産管理システムにより適時適量生産で小口需要にも機敏に対応し着実に業績を伸ばしている。

　「大同衣料」の大の字をかたどった赤・水・青色の3色からなるシンボルマークは、布地が折り重なって大きく伸びようとする人を表している。それぞれ情熱・技術力と支えてくれる人々が一体となって大きく羽ばたく企業をイメージしたものであり、紳士服製造及びその周辺事業を通じ、健康で豊かな暮らしを願う地域の人々に貢献するという企業理念にも繋がっている。

2. 取り組みの経緯、背景

　昭和53年の創設当初から、地元出身の佐々木社長が常に地域との連携・協力、貢献ということを念頭に事業を展開しており、この理念のもとに従業員は地元出身者中心の構成となっている。

　障害者の雇用に際しては、常にハローワークと連携し取り組んでいる。現在8名の障害者の方々が働いているが、すべてハローワークを通じて採用している。採用にあたっては作業遂行力が判断基準であり、障害の種類は特に問うていない。

　当初は、地域との共生と貢献を理念としていることから、知的障害者については、毎年職場実習として、地域の知的障害者更生施設や養護学校から定期的に受け入れを行い、実習状況を把握した上で雇用している。

3. 障害者雇用の取り組み及び効果

（1）肢体不自由

　肢体不自由のある従業員については、障害程度が軽度であるほか、個々の作業能力に応じた配置をしているため特別に問題となっていることはない。縫製用の服地や製品の移動、運搬については身体に負担がかかる重量物の場合は、他の従業員が行うよう配慮している。作業環境については、工場内がほとんど平坦化されており安全面の上からも十分配慮されている。
 

（2）聴覚障害

　聴覚障害のある従業員については、聞き取りが困難なこともあるが、簡単な手話や筆談・口話で十分意志疎通ができるため、職場の責任者が援助者となり作業の指示を行っている。

　指示が徹底されているかどうかについては、作業の見本を示し、最初の製品の仕上がり状況を把握しながら確認している。

　縫製用ミシン同様、プレス機については機種が多種多様であり、生地と種類によってもプレスする時間や蒸気の量が異なるため、各人で調整しなければならない。

　作業機械も日進月歩で新しくなり更新も頻繁に行われている。障害のある従業員も他の従業員同様、その都度、新しい機械の操作方法を習得するための訓練を行っている。このように、作業はもちろんのこと給料や処遇面においても全く区別を設けていないことが働く意欲や能力の向上に繋がっている。そのことは、個別に設定した目標値を越えた場合は手当を支給する制度があるが、すべての障害者に対しその手当を支給していることからも能力の向上が図られていることが分かる。

（3）知的障害

　知的障害のある従業員については、採用前の職場実習と同様、雇用後においても、地域の知的障害者更生施設や養護学校と緊密に連携をとりながら定着を図っている。

　最初の配置は、職場実習時と同様に単純作業の部署に配置し、職場の責任者が援助者となり個々に作業指導を行う。他の従業員と同様、個々の能力に応じた目標を設定し、達成することにより、作業をすることへの充実感や、一人前の従業員として評価されることへの喜びが感じられる。

　職場定着については、渡部総務部長が中心となり、知的障害に限らずすべての障害のある従業員に対し、定期的にマンツーマンでヒアリングしながら各自の状況や問題点を把握し解決に当たっている。また、職場のレクリエーションも大切であり、慰安旅行や忘年会、納涼大会等様々な行事に参加することで、職場の一員としての仲間意識や協調性、働く意欲を向上させる原動力の一つとなっている。

組下（ズボン）生産ライン

上下パーツ生産工程

4. 今後の課題、展望等

　障害者も健常者もすべての面において、区別しないで平等に接することが職場定着のキーワードになっている。そのことについて、渡部総務部長から伺った話の概要を以下に掲載する。

　障害のある人達と働いて思うことは、障害のある人と、そうでない人の共生もいろいろな共生の中の一部であり、当社にもさまざまな障害のある人達が働いている。

　・・・障害のある人は、そうでない人と比べればハンディを背負っていることは確かであるが、それを強調しすぎると厭味を誘うし、かといって全くの無視ではやり切れないと思う。

　・・・「障害のある人が一般社会で普通に暮らす事」のお手伝いと言う前提で、当社では障害のある人と、そうでない人の区別はしない事にしている。それが共生の大前提と考えているからである。しかし、現実にはわずかばかりの気づかいや、遠慮、思いやりが自然発生的に存在していることも事実である。障害のある人も甘えを捨て、わずかばかりの感謝の心が芽生えるとサイクルがかみ合ってくる。同僚から可愛がってもらえる「術（すべ）」も身に付いてくる。そこには不自然がなくなり、お互い自然体で付き合うことで本人も楽だし、同僚にも違和感はない。職場の一員として、働く喜びも、苦しみも、物事を成し遂げる充実感も、成長する事による自信も、そして皆から頼りにされる人になる事の喜びも、一般の人達と一緒に同じくらい味わってほしいと思っている。慣れるに従って、一般の人達と変わらぬ程に技能も上達し、遜色のない仕事が出来る様に成長してくれると、正直やっぱり嬉しいし、可愛さも倍加する。こんな日々が、共生の第一歩かなと、思ったりしている。