事業所名

株式会社イワミヤ

所在地

秋田県横手市

事業内容

乳製品卸販売、学校給食用食材の卸販売

従業員数

15名

うち障害者数

2名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	0
肢体不自由	0
内部障害	0
知的障害	1	空容器の洗浄・選別・整理
精神障害	1	商品仕分け・空容器の洗浄・選別・整理

目次

1. 事業所の概要
2. 取り組みの経緯、背景
3. 取り組みの内容及び効果
4. 今後の課題、展望等

事業所外観

1. 事業所の概要

　当社は、昭和37年岩見谷商店として創業を開始、当初は牛乳販売店として事業を開始した。その後、昭和43年に学校給食の食材の卸、運送業と事業展開し、物流の変化の流れに乗りながら成長してきた。現在は、主に食品の仕入れ、仕分け、配達を一手に行っている。

　現在でも牛乳の配達・販売は行っており、地域の牛乳屋さんとして多くの人に親しまれている。当社を訪問したのが師走の忙しい時期でもあり、配送のトラックが頻繁に出入りしていた。

　学校・老人施設等への給食用資材や運送事業の関係、さらに布団の丸洗い事業も行っているため、取扱い品は多種多様である。爪楊枝、豆腐から牛乳、冷凍食品等の食料品関係はほとんどと言って良いほど取り扱っており、特に季節や時期に応じてアイスクリームやクリスマスケーキ、お歳暮等の品目が増加する。

　常時出入荷のトラックが出入りしており、毎日と言っていいほど商品の種類が変わっている。

　保管する倉庫も商品が整然と置かれており、特に冷凍用食品の倉庫はマイナス23度に保たれている。

冷凍食品用保管庫

冷蔵食品用保管庫

2. 取り組みの経緯、背景

　事業の関係上、商品の納入先も多種多様であるが、その一つのY病院やY病院が運営している地域生活支援センターに長年牛乳を納入していた。そのことがきっかけで、ある日支援センターの施設長から職親になって頂けないかという相談が榮原社長にされたところ、社長は、当社の牛乳をたくさんの人が飲むことで築いたつながりが地域の役に立てれば恩返しができるという考えにより、快く職親を引き受けた。

　仕事的にも丁度適切と思われる空容器の洗浄・選別等の作業が用意できることも、スムーズな受け入れができた要因である。

　現在当社には、2名の障害のある従業員と2名の職親制度の利用者が作業している。また、地域の養護学校から定期的に職場実習の受け入れも行っている。

3. 取り組みの内容及び効果

（1）知的障害

　知的障害のある従業員1名は、養護学校卒業後に雇用した。養護学校在学中に職場実習を繰り返しながら、体力や適性を把握し雇用に結びつけている。

　作業内容は、倉庫内の作業でスーパーなどから回収されたトレーやパック、牛乳の紙容器等の空容器を洗浄・選別・整理整頓である。当初は座って作業を行っていたが、作業に飽きる場面も見られたため、体を動かしながらできる立ち作業に変更するなど定着できるような配慮を行った。

　また、空容器の整理作業ではなかなか応用力が発揮できなかったり、手順がのみこめない場合があるため、社長はじめ職場の上司が繰り返し指導をしながら定着を図った。そうした取り組みを行いながら、採用して7年目を迎えようとしている。ただ、本人の体力面にやや不足が見られることと長時間の作業に集中して取り組むことに無理が見られることから、午前までの短時間勤務としている。
 

（2）精神障害

　精神障害のある従業員1名は、地域の生活支援センターからの依頼を受け、3年間社会適応訓練を実施した後雇用した。

　作業内容は冷蔵倉庫の商品の仕分け作業や各種空容器の洗浄・選別・整理である。「初め慣れないときは、会社の人達に気を遣うこともあったけれど、今では世間話をしたりしている。」との話のとおり、職場の雰囲気はとても良く、そうした環境の中で生き生きと仕事している。「作業についても、商品の仕分けの際には各店舗ごとのかごに入れるのを間違えないように気を付けたり、お客さんの手に渡る商品なので取扱いは慎重にしています」と熱心に語る姿から、責任を任せられているという喜びが感じられた。

　このことは、本人が真面目でよく頑張っていることにもよるが、社長の「ひととおり教えたら後は任せる事である。任せることによって自分が休んだら自分の代わりに作業する他の誰かに迷惑がかかるといった責任感が芽生えてくる。障害者として特別に接するのではなく、他の社員と差別することなく、怒るときは当たり前に怒り、誉めるときも当たり前に誉めるという接し方をしている。」と話すように、他の従業員と分け隔てなく接し責任を持たせることで職場の雰囲気も良くなり、働く意欲も向上していくのではないかと感じた。

4. 今後の課題、展望等

　地域への恩返しと地域の役に立ちたいとの考えから、当然のように障害者の受け入れをしているが、社長は「一企業で障害者を受け入れるには限度がある。そうしたことを考えると、これからは障害者自身の自助努力も必要ではないか。もちろん、障害者を支援する人達や関係する施設等が一体となって考えていくことが求められてくると思う。また、障害者に限らず、すべてのことをやらせようとすると、必ず無理が生ずるし長続きしない。細かい作業もあるし様々な作業がある。個人個人の能力を見極め、能力に応じた作業に配置することが大事である。当然、能力が向上すればそれに応じた作業に配置することも必要となる。」と話し、北海道にある精神障害のある人達で運営している浦河べてるの家を例に上げて話を結んた。

　障害者に限らず、働くということは雇用する側とされる側、双方の努力の上ではじめて可能となるという思いを強くした次第である。また、双方を取り巻く施設等の努力も重要であると感じた。