2005年度作成

事業所名

株式会社日立ハイテクサイエンスシステムズ（旧社名：株式会社日立サイエンスシステムズ）

所在地

茨城県ひたちなか市

事業内容

電子顕微鏡、医用自動分析装置のハードウェア、計測制御ソフトウェアの技術向上及び新製品の開発

従業員数

740名

うち障害者数

14名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	1	生産技術開発
聴覚障害	3	生産技術開発
肢体不自由	7	製品検査
内部障害	3	製品検査
知的障害	0
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の経緯と現況
3. 障害者の従事業務の内容
4. 今後の課題と展望

事業所外観

1. 事業所の概要

　昭和42年9月に株式会社日立ハイテクノロジーズ100％出資により設立した当社は、電子顕微鏡、医用自動分析装置のハードウェア、計測制御ソフトウェア、材料観察やバイオ分野の受託解析などの分野で、技術の向上と新製品の開発に取り組んでいる。

　職場環境においては、小集団活動を通して、「コミュニケーションを活発にし、オープンマインドで楽しく、生き生きとした職場にしよう」とスローガンにしている。また、地域への貢献として、植樹活動や清掃等のボランティア活動を行っている。
 

製品（電子顕微鏡）

製品（医用分析機器）

製品（ソフトウェア・システム）

 

2. 障害者雇用の経緯と現況

（1）経緯

　当社が、株式会社日立製作所からの業務移管と同時に雇用した障害者の、健常者と変わらない働きぶりに感心し、当社の義務として障害者の雇用と職域拡大を推進することとした。

　半年に一度、彼らの勤務状況を担当部署である総務部で取りまとめ幹部に説明し、彼らの職場定着及び新規雇用に取り組んでいる。
 

（2）現況

　現在、製造部門においては、人件費の面、マーケットの移行などにより、海外に拠点を移しているところである。また、共通業務や一般事務については、グループ会社のアウトソーシングにより、間接業務にかかる人員の削減、集約化による効率向上を図っている。

　このような状況のなか、事業所としては採用人員を減少している一方で、障害者雇用の必要性を意識し、企業全体の理解と協力を得て取り組んでいる。
 

表　障害者の雇用状況（平成17年10月現在）

視覚 聴覚・言語 肢体 内部 知的 精神 1（0） 3（2） 7（2） 3（0） 0（0） 0（0）

※（　）内は重度障害者

 

1）採用にあたっての取り組み

　当社では、雇用を計画するにあたってハローワークとの連携を行っている。

　採用にあたっては、障害者合同面接会を利用するほか、ハローワークから一年を通して紹介を受けている。

　採用の基準は健常者と同様であるが、配置にあたっては、業務を遂行するうえで本人の能力や物理的な作業制限の有無を見極めたうえで部署を決定するなど、職務を遂行するうえでのハンディキャップを取り除く努力を行っている。
 

2）職場定着に向けての取り組み

①障害者職業生活相談員を養成するほか、障害者職場定着推進チームを設置し、採用担当部署と配属部署との連携体制を築いている。

②構内駐車場や自動ドアの設置によりバリアフリー化を図っている。

③研修（教育・訓練）を採用後に一定期間にわたって実施するほか、必要に応じて再研修を実施する。また、作業のマニュアル化に取り組んでいる。なお、障害者職業生活相談員によるOJTも行っている。

④労務担当者や配属部署の上司が問題把握に努めているほか、配置部署では小集団活動を利用した勉強会や手話講習会などを実施している。

⑤障害の状況（特に中途障害）に応じた職務再編成を実施し、継続雇用を検討することもある。

⑥定期健康診断を実施するほか、通院に支障がないよう配慮している。

3. 障害者の従事業務の内容

（1）設計

　コンピュータを使用し、生産技術に係る開発業務を行う。設計から検査までの業務内容に分けられ、同部署内で従事内容を調整している。

　なお、当社で勤務する条件としてパソコンの使用が必須としているが、配置については、採用前の職場見学及び面接を繰り返し実施した上で決定する。

　作製したソフトウェアの検査については、検査用のプログラムの導入により自動化され、パソコン従事率をできるだけ低下することにより、視覚障害者も従事することができている。

　採用時の技能研修については、他の従業員と同様に実施するほか、各部署内でも研修を行っている。
 

（2）機械加工・組立

　機械加工の部署では、旋盤を使用し製品を切り削る作業を行っており、手順書に従って業務を遂行する。また、コンピュータ・デザイン（CAD）を利用し、プログラムを開発する業務を行う。

　組立作業では、電子顕微鏡の組立基盤に沿って部品を配置するといった手指の巧緻性が要求される。また、大型部品の廃棄など周辺作業も行う。
 

（3）事務

　他従業員と同様、一般事務に従事している。
 

設計の作業

プログラムの開発作業

 

4. 今後の課題と展望

（1）職域の拡大

　障害者の職域の拡大が課題となっているが、①アウトソーシング対象業務の選定や作業の単純化、②彼らができることとできないことの見極め、③障害に合わせた社員の組み合わせ、などが必要と考えている。
 

（2）家庭との協力体制の構築

　職場定着に際して、採用当初は保護者や関係機関は定期的に職場を訪問し勤務状況を確認するが、次第に職場から連絡がなければ「特に問題なし」と判断して職場から足が遠のいてしまう場合がある。職場が日々彼らに対して指導を行い定着に努めていることを家庭に再認識してもらうためにも、連絡を密にとるなど協力体制を構築することが必要である。
 

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