事業所名

光山電気工業株式会社

所在地

群馬県吾妻郡中之条町

事業内容

電気機械器具製造業

従業員数

290名

うち障害者数

3名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	1	検査
肢体不自由	2	検査
内部障害	0
知的障害	0
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の経緯
3. 障害者雇用の取り組み

事業所外観（植栗工場）

1. 事業所の概要

　エレクトロニクスの先端技術を製品化する光山電気工業株式会社（田村昇社長）は、のどかな山村風景を残す山里の豊かな自然の中で、地域の人たちとの共存共栄を実践している企業だ。

　第二次世界大戦中、日本電気玉川製造所部品工場の疎開工場として、中之条町の製糸工場が転換使用されていた。終戦で日本電気は引き揚げたが、新たに協力工場として残留技術者、従業員を雇用して昭和21年5月に当社を創立した。当時はトランス、コイルを主に生産していた。

　当社は、群馬県と秋田県に2工場ずつ計4工場を設置している。各工場の従業員数は、植栗工場（群馬県）80人、渋川工場（群馬県）50人、秋田工場（秋田県）120人、中仙分工場（秋田県）20人。うち植栗工場に下肢障害のある2人と、秋田工場に聴覚に障害のある1人が勤務している。

　当社が現在手掛けている機器は、携帯電話の中にある電波の選別回路の部品、デジタル時計の回路、自動車に載せる電子回路、プラズマテレビの中の色を発光させる電子回路、このほか、鉄道監視システム機器や電気を光に、光を電気に変える光通信向けデバイスなど、最先端の技術を駆使して、設計から製造までの一貫した生産体制を確立している。

2. 障害者雇用の経緯

　当社は、障害者雇用を通じて地域に貢献したいという方針から、下肢障害がある人、聴覚障害がある人たちを昭和40年代初めから雇用し続けている。

　当初は、下肢障害がある人たちを中心に雇用し、製品組立や検査など座位作業を設定し担当させていた。高度成長期は従業員数も増大し、平成元年には従業員数が800人中、障害者を12人雇用し、障害者雇用のピークの平成4年には14人を雇用していた。

　バブル経済の終焉に伴って、当社も事業の縮小を余儀なくされ、早期退職制度の導入に加えて、毎年10人程度だった新採用も平成14、15年はゼロ、16年は5人だったが17年は再びゼロとする対応をとり、平成15年には従業員数を400人に減少したが、平成17年4月時点の雇用障害者は7人と、障害者雇用への強い取り組み姿勢は維持している。

　現在は従業員290人。工場の統廃合に伴い通勤が困難になった、また個々の事情により4人の障害者が相次いで離職し、平成17年10月時点で雇用障害者は3人という事態になったが、すでに採用面接を実施し男性1人を内定し障害者採用に向けて準備をすすめているほか、秋田地区でも社員に「働く意欲のある障害者がいたら紹介してほしい」と朝礼でアピールするなど、事業所を挙げて障害者雇用に前向きに取り組んでいる。相京郡次総務部長は「法定雇用率の水準は最低でも確保するというのが当社の方針」、「現状で、最低限5人はすぐに確保したい」ときっぱりと話す。

3. 障害者雇用の取り組み

　植栗工場に配置している下肢障害のある51歳の男性は、昭和49年に入社した社歴31年のベテラン。検査工程の責任者を任せているが、顕微鏡を使っての検査は熟練の域に入っている。

　もう1人の下肢障害のある30歳の男性は、平成15年にハローワークを通じて雇用した。光通信デバイスの検査ラインの中で、立ちながらの測定検査を担当している。

　勤務時間は午前8時半から休憩1時間を挟んで午後5時半まで。同工場は2階建ての旧工場の3階に新工場を接続させていることから、旧工場の1～2階の階段には手すりがなかったが、本人からの要望に直ちに対応して手すりを設置した。

検査作業

　「当社は障害のある無しによる分け隔ては一切ない。賃金もすべて一緒。障害のない社員と同等に仕事をしてもらうのが入社の条件」と相京部長は語る。

　当社が製造する機器は、時代の最先端をいく通信機器部品といった“多品種少量”のウェイトが重くなっている。相京部長は、「多品種でも基本的なことができていれば必ず対応できる。それは障害のある無しとは無関係」と話す。また、障害のない社員も、障害のある社員と一緒に働くことで、彼らへの理解が着実に深まってきているという。

　山に囲まれた素晴らしい自然の中で生活する人々が楽しく張りのある生活を送るために、当社の努力が大きな支えの一つになっているのは間違いないことだと実感した。