2005年度作成

事業所名

黒部製パン有限会社

所在地

富山県黒部市

事業内容

学校給食用炊飯・パン製造、小売用パン製造

従業員数

18名

うち障害者数

6名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	0
肢体不自由	0
内部障害	0
知的障害	6	製パン、炊飯
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の経緯
3. 具体的な取り組み
4. さいごに～会長の障害者雇用に対する考え～

1. 事業所の概要

魚津市の蜃気楼ロ－ドを東へ進み、1級河川の片貝川にかかる落合橋を過ぎると、左手の田んぼの中に当社の工場が現れる。
　入口のドアを開けると、ほのかに甘い焼きたてのパンの薫りがただよってくる。
　当社は、昭和63年8月の設立であるが、歴史は更に古く昭和37～38年に当時の文部省による輸入小麦粉の利用促進のため、黒部農業協同組合と黒部市信用農業協同組合が共同出資して作った事業が始まりである。
　宮崎光一現会長が設備等を引き取って有限会社として再出発し、学校給食用のパンやスーパーの小売用パンの製造を中心に行ってきたが、米飯給食の増加につれて炊飯部門を拡大した。現在、炊飯では黒部市の学校給食（主食分）の全てと隣接の宇奈月町の一部を賄っているほか、学校給食のパン製造を一部行っている。

2. 障害者雇用の経緯

20年以上前に、黒部市内にある県立の知的障害者通所施設「黒部学園」から園外実習の依頼を受けたことをきっかけに、毎年続けて受け入れていくうちに、熱心な指導員との出会いもあり、卒園者を雇用したことが障害者雇用の始まりであった。
　現在、従業員18名（うち障害者6人）で業務を行っているが、障害者にはその能力に応じた作業を設定している。
　現在も公共職業安定所を通して富山県東部の養護学校から、求人や就職等についての問い合せを多く受けており、可能な限り採用したいと考えている。
　なお、当社の障害者雇用への取り組みに対する表彰暦は、以下のとおり。
　　平成3年　　社団法人富山県障害者雇用促進協会長表彰
　　平成15年　　富山県知事表彰

3. 具体的な取り組み

（1）障害者の配置・作業内容等

　1）炊飯部門
　当部門には障害者3名を配置しており、①お米の洗い、②炊飯器での炊き上げ、③炊飯器から一定量を別容器に移す作業、④炊飯器の洗浄作業があり、それぞれ健常者とペアになって行っている。
　計量については、一定量を正確に計ることができるよう、表示に工夫したり、作業スピ－ドを調整できるようにしている。
　また、当部門には重度の知的障害者が主に携っており、業務遂行援助者の援助及び指導が継続的に必要であるため、母親代わりのような社員を配置している。

　2）パン製造部門
　当部門も障害者3名を配置しており、①パン生地の仕込み、②整形作業、③製品の箱詰め作業に従事している。
　作業意欲をいかに持続させるかということが大切と考え、気分転換に配達助手の仕事も担わせている。

　食料品を対象にするため両部門とも衛生管理が特に厳しく、特に重要とされる器具類の洗浄や工場内の清掃については、彼らの非常に真面目できっちりとした作業ぶりが大いに役立っている。
 

（2）障害のある社員、家族とのコミュニケーション

　6人の障害のある社員は、JR、地方鉄道、自転車など様々な手段で通勤をしているが、退勤の際には駅まで送ることが会長の仕事となっており、彼らとのコミュニケ－ションの時間となっている。
　また、会長は時々家庭訪問し、両親との話し合いの場を作っている。両親からは気付いたことは何でも本人に言ってほしいと言われており、時には父親のように接している。また会長の奥さんも彼らの聞き役になっている。会長夫妻が彼らを暖かく見守っていることが、彼らの定着につながっている。
 

（3）労働条件

　1）賃金・労働時間
　障害のある社員6名のうち、労働基準監督署に最低賃金適用除外申請を出しているのは3名であり、残りの3名は最低賃金以上の額を支給している。
　勤務時間は、7時30分～16時00分であるが、彼らが朝早く出勤することが多いことを考慮し始業時間を変更した経緯がある。休日は土曜日、日曜日である。

　2）継続雇用・退職・定年
　定年は満60歳であるが、本人から退職の申し出がない限り継続雇用をしようと考えている。

　3）安全衛生・健康管理
　危険な作業はほとんどさせないようにしており、また、危険個所へは単独で立ち入らないよう十分に注意を払っている。
　健康管理については、毎朝全員の顔を見て一声かけて、健康状態をチェックしている。

4. さいごに～会長の障害者雇用に対する考え～

　会長は、障害者雇用に取り組み苦労したと思ったことはないと言う。

　彼らの中には昭和61年から20年間も働いており、現在38歳になる社員もいる。彼らに対しては、時には厳しいことを言うこともあるが、それぞれの個性と実情に即した対応を心掛けている。

　今のところ増員は考えていないが、欠員がでれば積極的に障害者の補充を考える。

　今後、地場に腰をおろして、企業活動を通じて地域社会に対して還元したい。

 

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