2005年度作成

事業所名

日東電工ひまわり株式会社（日東電工株式会社の特例子会社）

所在地

愛知県豊橋市

事業内容

各種テープ類の切断、包装、梱包
名刺及び各種葉書、案内状、教育テキスト、各種パンフレット類の印刷

従業員数

45名

うち障害者数

25名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	3	各種テープ類の切断、包装、梱包
肢体不自由	9	各種テープ類の切断、印刷
内部障害	0
知的障害	13	各種テープ類の切断、包装
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要　
2. 機械・設備のバリアフリー
3. 社員間のバリアフリー
4. 社員のエピソード
5. さいごに

事業所外観

1. 事業所の概要　

　当社は、日東電工株式会社（本社：大阪府茨木市）の特例子会社として、平成12年5月に愛知県豊橋市に設立された。
 

 

　経営理念を「『自立への意欲のある障害者』と『障害者に理解のある高齢者』が共に障害の有無を乗り越えて協働し、同じ目的に向かって助け合い、共に工夫をし、切磋琢磨しながら、仕事を通じて無限の可能性に挑戦する会社を実現し、社会に貢献していきます」として、社員間の調和を大切に事業経営を行っている。

 

2. 機械・設備のバリアフリー

（1）玄関

　玄関は明るく、青を基調にひまわりを描いたじゅうたんは訪れる人の心を和ませる。社員用出入り口も同様に、青いじゅうたんにはひまわりが描かれてある。「今日も元気で頑張って！！」とひまわりが迎え入れる。

 

 

（2）駐車場

　車いすを利用している社員が快適に利用できるよう十分なスペースと屋根を設けている。雨が降っても濡れずに工場内に入ることができる。

 

 

（3）カフェテリア

　昼食・休憩時に気持ちをリフレッシュさせるため、明るい光をエリアいっぱいに迎え入れる大きな窓を設けている。

 

 

（4）工場

　作業台は社員の作業姿勢に合わせて負荷を極力軽減できるように配している。高さ、形、操作性とも安全性と快適性が配慮されている。

 

 

3. 社員間のバリアフリー

（1）朝礼時の手話練習

　始業前の朝7時50分に朝礼が始まる。社員が2列に並び向かい合って手話を練習する。

　人と人がお互いに理解しあうために必要なコミュニケーションを大切にする当社では、毎朝、朝礼のときに手話の練習をする。

　社員全員、特に知的障害のある社員が手話を完全にマスターするには時間がかかるであろうが、常に聴覚障害のある社員の存在を忘れずにいることができる。

　また、知的障害のある社員にとっては、ゆっくりではあっても一つ一つの単語を覚えていくことは、「できる」ことへの自信にもつながる。達成動機が満たされれば、障害の有無を問わずモチベーションは高まる。必然的に就労意欲にも効果を及ぼす。
 

 

（2）フライングディスク

　昼休み、カフェテリアで昼食を終えるとフライングディスクの練習が始まる。このフライングディスクは、在学時代に取り組んでいた社員が今後も続けていきたいと上司に話したことがきっかけで、社内で取り組むようになった。今では大会にも出場し、平成16年の大会では、9人が入賞する成績を残している。
 

 

（3）ひまわりの種植え

　毎年、社名にちなんで、職場周辺の緑地に社員全員でひまわりの種を植え育てる。満開になる頃、社員の父兄、近隣の町内会、社員OB、社員の生活支援を行う福祉関係者らを招いて、ひまわり観賞会を開催して親交を深めている。

　社員や家族の「思い」を大切にしている当社は、他にも、日常的に上司と社員との懇談、年1回の保護者会を開催している。
 

 

4. 社員のエピソード

　社員の山下さんは、社会福祉法人さわらび会あかね荘生活支援センターのバックアップを受けているグループホームに入居している。
 

 

　山下さんは、掃除ツール「コロコロ」の「持ち手」をテープにセッティングする作業に従事している。

　彼女が語った仕事上のエピソードは次のとおり。

　組み立てたばかりの新しい段ボール箱は、素材の硬性により、折り目にそってしっかり折り曲げてもすぐに立ち上がってしまうため、ふたを固定するフックをつけたらどうか提案したところ、簡単な治具を作ってもらい「ていあん賞」をもらったという。

このように語る彼女の目は生き生きとしており、職場でのやりがい、社員としての自信を如実に物語っている。

　なお、山下さんが利用しているグループホームは、5人程度の障害者が共同で生活している。「世話人」と呼ばれるスタッフが生活上の様々な支援を行い、病気などの突発的な事態にも対応できる。事業所は職場内や仕事上の様々な課題への対応は可能であるが、終業後や休日の社員の暮らしまで対応することには限界があるため、生活支援の専門である福祉機関に任せることが有効であることから、当社は早くから福祉機関と連携して、社員の暮らしの場面の支援を依頼している。
 

 

5. さいごに

　「ピープルファースト」ということばがある。カナダの知的障害のある少女が「わたしは、障害者としてではなく、まず人間として扱われたい」と訴えたことから始まった活動を指すことばである。

　社員全員が「障害者として」ではなくひとりの「人間として」障害の有無を問わず関わり合っている姿勢を通じて、当社は、ハード面でもソフト面でも、就業時間中も休憩中も、社内でも社外でもピープルファーストを実現している。

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