2005年度作成

事業所名

株式会社島津製作所紫野工場

所在地

京都府京都市

事業内容

精密万能試験機、超微小硬度計、粒度分布測定装置等の製造

従業員数

58名

うち障害者数

7名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	1	各種分析装置や試験器製造における検査
肢体不自由	3	一般事務
内部障害	3	各種分析装置や試験器製造における仕上・組立・検査
知的障害	0
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の経緯
3. 紫野工場の概要と障害者雇用状況
4. 紫野工場の具体的な取り組み
5. まとめ

工場外観

1.事業所の概要

（1）概要

　株式会社島津製作所は、本社は京都市にあり、事業内容は、分析機器・測定機器・環境測定機器・プロセスオートメーション機器・試験検査機器・産業機器・航空宇宙機器・センサデバイス・バイオプロザクツの製造である。事業所全体の従業員3,716人のうち雇用障害者数49人、雇用率は1.8％である。
 

 

（2）経歴

　明治8年、先代島津源蔵が京都市木屋町二条で理化学器械の製造を始めたのが創業である。大正6年には株式会社島津製作所となり、以後精密機械メーカーとして順調に発展し、今日では資本金266億円、連結売上2300億円と業界でも有数の大企業となった。当社は京都を代表する名門企業でもある。

　特に当社の名を一躍有名にしたのは、平成14年、田中耕一氏のノーベル化学賞の受賞であり、その技術水準の高さは世界中に知れ渡った。

 

2. 障害者雇用の経緯

　当社は名門企業である一方で、障害者雇用の取り組みについては、以前は障害のある社員の大半は中途障害者である状況のなか定年退職者の増加等から雇用率は急激に低下し、平成14年の障害者雇用率1.2％と低迷していた。

　転機となったのは平成13年である。障害者雇用の社会的責任を問われる動きが出てきたのを受けて、人事部から出された障害者雇用についての提案が経営陣に理解されてきた。

　各工場・部署から各々の業務内容を検討したうえで提案が出された障害者が作業可能な職場をもとに、経営陣が明確に方針立てた、障害者を戦力として雇用する、職務内容により積極的に採用する、特例子会社的なものは今のところは検討から外す、といった内容は、各々の職場や社員に浸透していった。

　障害者の採用に際しては、中途採用が多い状況に対し、人材が不足した職場に適材者を補充採用していく形で、職業安定所からの紹介をはじめ障害者就職面接会で選考して採用していくなど、各職場で積極的に新規採用に力を入れた。

　このように全社を挙げた障害者雇用に向けた取り組みの成果、平成16年3月に障害者雇用率1.8％と法定雇用率を達成した。

3.紫野工場の概要と障害者雇用状況

（1）工場の概要

　京都の南北大幹線の堀川通を北上し、紫明通りと北大路の間、堀川通に面した西側に当工場がある。平成17年は、分析機器の研究開発が始まって60年、また当工場の創業60周年を迎えた節目の年である。

　当工場は、島津製作所株式会社が昭和19年に旧織物工場の跡地と建屋を買収し、自社工場として操業を開始した。

　昭和25年には万能試験機の開発で、一気に試験機の需要が高まり同機器の日本国内トップの地位を固めた。製造部門においては、物作りの精神を継承しつつ基本に立ち返り、それに最新の技術を取り込んで開発し、お客に満足してもらえる品質の確保を第一義に考え、試験機・粉体測定装置を製造している。
 

（2）障害者雇用の経緯と状況

　当工場においても、以前は中途障害者が数人勤務していたが、定年退職等で平成14年頃には障害のある社員はいなくなった。

　その頃、企業の障害者雇用に対する積極的な取り組みに対応して、雇用の進んでいる職場（工場）では、こういう人を探しているとか障害者でも出来る連携した業務が考えられるようになった。特に体力的・危険度も少ない職場である当工場では集中的に障害者を採用した

　当工場では、従来、外注（構内下請）してきた製品の組立・調整といった一部生産工程を内製化することで、障害者が対応できる職務を創出することにより彼らを雇用し配置することができた。障害者という概念ではなく重要な戦力として彼らに期待をかけている。

　現在の雇用状況は、以下のとおり。

従業員数58人　　うち障害者数7人

障害者総数	内部障害	肢体障害	聴覚障害	うち事務職	うち作業場
7人	3人	3人	1人	3人	4人

 

4. 紫野工場の具体的な取り組み

　当工場は、構内下請の社員を含め勤務している約110人のうち7人が障害者である。

障害のある社員も他の作業員と同様、独りで一貫した組み立てを行い、完成まで責任のある作業に従事している。

 

　新規に採用した障害者を含む全社員は、技能労働者の訓練として社内の「工科学校」で1週間程度研修を受けてから現場に配属され、実地作業に従事する。全社員がみな実務的な技能向上に励んでいる。

　障害のある社員については、十分作業が可能で体力的にそれほど厳しくない部署に配置しており、特別な施設改善・配慮等はしていない。なお処遇としては、嘱託規定により1年更新となっているが、残業は月10時間程度まで行っている。

　工場内の一角には、全作業員が発生したミスに対して改善・改革の検討に直ちに取り組むことができる場所（DUH）が設置されていて、問題が起きると関係者が直ちに集合し、問題解決と事後処理を行うことで品質保持を目指している。

 

 

　各種分析装置・試験機等の検査・組立を担当する部署では、内部障害1級の社員が仕上げ、組立作業や検査業務に、聴覚障害3級の社員が検査業務に従事しているが、それぞれ健常者と同等の作業をこなしている。

　また、2階の事務室で勤務している軽度の肢体障害者が3人も健常者と同等の職務を遂行している。

 

 

 

5. まとめ

　日本の試験計測技術の粋を結集させて、その60年という歴史を継承されていることは企業の重要な姿である。一工場としては、そこで働く社員の理解と支援・連携のもと、障害者雇用促進に前向きに取り組んでいる。これは、本社人事部の熱意や工場の幹部の考え方が大きく反映している。

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