事業所名

WDB株式会社

所在地

兵庫県姫路市

事業内容

人材派遣業

従業員数

1,213名

うち障害者数

13名

 

障害	人数	従事業務
視覚障害	2	総務事務(1)、封詰(1)
聴覚障害	0
肢体不自由	4	センター管理(1)、事務(2)、封詰(1)
内部障害	1	事務
知的障害	6	清掃(2)、封詰(4)
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用の背景、経緯
3. 具体的な取り組み
4. 取り組みの効果
5. 今後の課題

1. 事業所の概要

　WDBグループは、人を機軸とした経営支援サービスを通じて顧客満足を追求し新しい価値を創造し続けている。

　「人は配置される場所によってその価値は高くもなり低くもなる」「人材サービスを通じて人の価値を高め、顧客満足を高めていく」という経営理念に基づき、障害者だから採用するのではなく、当社の求める職務の遂行が期待でき満足できる人材を採用することを理念としている。

2. 障害者雇用の背景、経緯

　人材派遣業として急成長した当社は、障害者の雇用義務を課せられたのを機会に、障害者を採用し組織拡大していくのか社内で検討した。現場からは納付金を納める方向についても提案が出たが、社長の、人材業界の企業として彼らを雇用する方針を選択する考えのもと、障害者雇用に向けて取り組むこととなった。

　先ず担当者が「雇用促進セミナー」に参加したが、障害者雇用に携わっている人たちの真剣さ一生懸命さに心を動かされ、単に雇用率達成を目的とするのではなく、障害者雇用支援センターとも相談しながら、当社で採用した限りは当社の戦力となる人材として育成し、一人の社員として評価することを確認し、取り組みを始めた。

3.具体的な取り組み

（1）職場の創設

　本社及び33の支店ごとに、必要かつ個人の業務の効率化が図れる業務の洗い出しを行なった結果、各支店の営業マンが出すDM（ダイレクトメール）の発送準備、シール貼り、封詰め作業を集中管理することにより支店内での効率化が図ることとした。

　　　　　　　　　 ↓　
 

　本部事務所横でDM作業（ダイレクトメール印刷、封書詰め、発送といった同一反復作業事務職を集中管理する「ビジネスサポートセンター」を設立した。
 

ビジネスサポートセンターの
DM部門

DMのセット作業に取り組む

（2）採用の条件

　意思疎通が図れ、働くことに積極的な人材を条件とし、障害者合同選考会にて事務経験豊富な身体障害のある女性を採用したが、その職員を核にして重度知的障害者の雇用についても検討した。知的障害者の採用条件として障害者雇用支援センターの人的支援が活用できることとし、採用時にはトライアル雇用を活用した。
 

（3）人材育成

①現場リーダーにベテランのフレックス社員を採用し、障害者とペアの体制を組み、1～2週間の実習期間において個々の持つ能力が発揮できる作業を検討する。

②彼らの能力を見極めたうえで、最も効率のよい部署に配置する。

③彼らからステップアップを申し出てきた場合はそのことを高く評価し、時間をかけて指導し、習熟を図る。
 

（4）雰囲気づくり

①知的障害者に対しては、時には厳しく、また優しく、繰り返し声かけを続け、仕事の定着を図る。

②作業場面では障害のない社員と区別せず作業成果を求めていく。

③作業の進め方は、皆で一斉に取り組むなど同じ方向を向いた雰囲気をつくる。

4. 取り組みの効果

　取り組みの結果、一年間で8人の障害者を雇用した。彼ら全員が能力以上の力を発揮し、定着している。当社の人材派遣業という特性を活かし、人材育成のノウハウを活用した結果である。

　なお、自ら動くことができる社員を育成するポイントについて、担当者は以下について述べる。

①社内の業務情報をもれなく皆にオープンにすることで、受注量や進捗状況が確認でき、各自が自ら考え動く体制ができる。

②プロセスがわかりやすい仕事を提供することで、自分たちの作業成果にプライドが持てる雰囲気をつくる。

③成果を常に求めることで、自分の存在価値を求める。

④一生懸命に働き続けないといけない状態を常につくり出す営業努力を行う。

5. 今後の課題

　当社が今後、障害者雇用率の達成を図るためには、ビジネスサポートセンター設立のみでは対応が困難であるため、人材派遣業の特性を活かした別事業の掘り起こしが急務であり、併せて管理者の育成も必要である。