障害の有無を問わず、社員全員が協力・連携し取り組む
 事業所外観 |
1.事業所の概要
（1）設立の背景、経緯
当社は、明治26年に創業した猟銃の製造で知られた株式会社ミロク製作所グループ内の一社であり、同グループ内に昭和44年に新設した株式会社ミロク銃床において、平成4年から銃床（銃身を支える木製の部分）の製造技術を活かし、工芸品の製造を開始した。
当初は、オルゴールボックスやジュエリーボックスなどを製造していたが、社内から自動車部品にトライしてみようとの声が上がり、ハンドルやシフトノブの製作の取り組みを開始した。
木製ハンドルの開発は、ミロク製作所での生産技術を応用し、これがトヨタ自動車に採用されたのをきっかけに、平成11年、株式会社ミロクテクノウッドとして、トヨタ系スイッチ大手の東海理化と共同出資で設立された。
現在当社は、木製ハンドルの国内大手に成長し、南国市の本社工場では猟銃生産で培った職人の技とトヨタ流の生産管理手法を融合した作業が行われている。
木製ハンドル
（2）経営理念
「法令遵守」「環境調和」「自然・地域との共存」を理念とし、「雇用の確保」等により、地域社会から必要とされる事業所を目指す。
2. 障害者雇用の経緯
障害者雇用のきっかけは、平成11年の工場設立時に障害者の就労支援者からの相談を受けたことだった。
現在、社員は183人、うち身体障害者1人が木材の入出荷の取り扱いに関わる工程、知的障害者1人が仕上げ工程において、運搬やその他の軽作業に従事している。
ハンドルやシフトノブは、木材の切り出しから、削り、塗装、仕上げ、検査・出荷等多くの工程を経て完成するため、各工程ごと、または各班ごとの協力体制及び前工程と次工程との連携が重要になる。前工程で起きた不具合が、後工程で初めて問題になるような場合もある。それゆえ、障害者、健常者を問わず、不良な製品にならないよう、社員全員が協力・連携しながら、自分の仕事にやる気を持って取り組む姿勢が重要である。
なお、当社は、細かな職人技が必要とする作業が多く障害者が従事できる職場が限定される理由のため、現在募集は行っていない状況である。
3.取り組みの内容
（1）ハード面の取り組み
工場内では有機溶剤などを使用するため、作業の安全性を高めクリーンな作業環境が保たれるよう細心の注意を払っており、創業以来特に事故は生じていない。
また、ハード面の工夫も含め「社員が働きやすい職場の提供」を心がけており、工場内には休憩コーナーを設置している。
（2）ソフト面の取り組み
1）雇用管理
①募集・採用
障害者雇用については、契約社員として採用している。
②労働条件
給与は時間給で、月約14万円である。労働条件・賃金等は、健常者と同等の条件としている。
③労働時間
変形労働時間制で、1直（午前8時15分から午後4時55分までの7時間35分）と、2直（午後5時30分から翌朝の午前2時10分まで）に分けている。休憩時間はそれぞれ65分としている。
稼働日は年間263日であり、休日は日曜。土曜日は部品納入先の稼働日や生産調整を勘案して休日を決めている。
2）職場配置
障害の程度、適性・能力を考慮し職場配置を行っている。職場は常に班長あるいはリーダーが作業指導、アドバイスを行うほか、勤務上の悩みや問題点等の相談を受けている。
3）教育・訓練
手作業が中心である技術職については、教育訓練期間は1～2か月と他の企業に比較すると長めに設定している。
現在勤務している障害者については、職場環境が本人の適性・能力に合っているかを判断するため、1～2週間の訓練期間を経て現在の職場に配置した。現在でも各工程の班長あるいはリーダーの指導・アドバイスのもと日々訓練している。
4）福利厚生・健康管理
法定の健康診断を年1回従業員全員が実施している。体調管理は基本的に個人に任せ、その都度必要に応じて本人と相談する。
福利厚生については、毎年親睦会などを自由参加で実施している。従業員のライフスタイルも多様化してきたため、全社を上げての行事は難しくなったが、当社は平均年齢が若いということもあり、休日には趣味の合う従業員同士で釣りやスポーツに行く。
5）障害者施設との連携
ハンドルやシフトノブを磨くためのウエス（家庭から出る古着などを再生して作る工場などで汚れた機械などを清掃するために使う雑巾）の製造を南国市内の授産施設に委託している。
4. 取り組みの効果
障害者雇用の取り組みから5年余り経ったが、現在雇用している障害者は職場へ溶け込み、作業を順調に行っている。彼らの勤務態度は良好で真面目に勤務しており、今後も活気のある地場産業としての一役を担っていけるよう、業務に専念することを望んでいる。
5. 今後の課題・展望
現在、世界的にトヨタの出荷状況が好調なことから、当社においてもフル稼働状態が続いている。
このような中で、従業員の日々の健康管理は重要な問題となっており、社員には心身共に健康な生活を送ってもらい、企業の一員として働いてもらうことを望んでいる。
なお、障害者雇用については、現在募集は行っていないが、例えば、当社でウエスの製造を授産施設に発注しているように、雇用が困難な場合でも少しスタンスを変えて地域の情報を集めれば、需要を発掘することができるのではと考えている。
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