優しさと厳しさを織り交ぜ知的障害者を指導
1. 事業所の概要
当社は、昭和57年に「株式会社潮海」として設立し、平成15年11月に現在の社名に変更した。
事業内容は、主として水産加工及び辛明太子の加工である。なお、辛明太子は親会社である株式会社やまやに100％納入している。
2. 事業所設立の経緯
7～8年前、親会社である株式会社やまやで研修を受けていた知的障害者が一生懸命作業に取り組む姿を見たのがきっかけで、障害者の受け入れを考えた。
先ず、知的障害者1人を指導員を付け実習生として受け入れた。実習生の行動特性や作業遂行力への不安と、このことにより社会へ貢献できる期待を抱きながら、結果的には2人の知的障害者を3か月間の見習い期間を設けて雇用した。
当初は、今日はできたことが翌日にはできない、新しい状況への対応が困難であったり、また本人から「きつい」「辞めたい」という言葉が出たりしたが、それでも社員全員の親切な指導により、本人も愚痴を言わず黙々と仕事をするようになった。体も頑健で力仕事も期待でき、訓練によって勤務が可能との結論に至り、正式に雇用した。
3. 障害者雇用状況
知的障害者の配置部署は、掃除、商品の袋詰め、シール貼り、箱折り等である。
特性を十分に把握した上で、例えば、ラベル確認とラベル貼り作業に従事する場合、これら2工程を何度も繰り返し遂行する、また指導者は彼らの作業全体を確認しながら、必要な場合は厳しく指導することにより、彼らの能力が適切に発揮でき正確な作業が身に付くようにしている。
4.取り組みの内容
（1）朝の唱和
以前は健常者が行っていたが、現在では障害者が毎日一人社員の前に立ち、社訓である仕事の心得（①お客様のことを考える、②とにかくやってみる、③知恵をしぼる）や、工場衛生の基本（整理、整頓、清潔、清掃、躾）を唱和する。
（2）声を出す指導
障害のある社員のなかには、なかなか作業に集中できない人や、正確に計量することが苦手な人がいる。その対策として、声を出させることにより作業に集中できるほか、計量の際には、材料の計量時に「10.5キログラム」「10.3キログラム」と発声させたところ、正確に遂行できるとともに、作業に対する自信を持たせることができた。
（3）優しさと厳しさを適度に織り交ぜ指導
社員が父親代わり、時には兄弟代わりになって触れあうことにより、彼らに落ち着きや安心感を持たせている。
また一方では、社会福祉法人「野々花学園」が運営する知的障害者通勤寮を利用している社員については、通勤の厳しさ（寮のバスを利用し所要時間1時間）に耐え、礼儀やマナー、人間関係の適切な取り方の指導を行っている。さらに、寮で生活する職員との交流を通して、コミュニケーション能力の向上を図っている。
5. 今後の課題・展望
従来の取り組みから、知的障害者の作業適性や能力に関しては、大いに拡大または向上の余地があることが分かった。今後の障害者雇用のさらなる拡大が期待できる。
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