事業所名

有限会社ツカサフーズ

所在地

長崎県南高来郡口之津町

事業内容

魚の干物や蟹のボイル等水産食料品製造販売

従業員数

17名

うち障害者数

10名

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	0
肢体不自由	1	水産加工食品製造
内部障害	0
知的障害	9	水産加工食品製造
精神障害	0

目次

1. 事業所の概要
2. 操業当時の状況と作業改善
3. 作業内容
4. 障害者雇用に関する助成金や支援制度の活用
5. 障害者の職場定着のための取り組み
6. まとめ

事業所外観

1. 事業所の概要

　魚市仲買業を営む水産事業所において、魚の干物等の水産加工を試行的に始めたところ、予想以上に注文が多くなり、加工作業をする場所も手狭になってきた。これを機会に、知的障害者の支援を主体とする社会福祉法人と連携し、障害者雇用を目的とした水産物加工事業所の設立について検討がなされ、平成15年12月に当社を発足した。

　工場及び事務所設置については、地元地主から縫製工場であった敷地を借りて、障害者が働けるよう整備することについても理解が得られた。

有名デパート等に卸している商品

2. 操業当時の状況と作業改善

　障害者の採用については、長崎県障害者雇用促進協会に相談しながら、地元の公共職業安定所に求人票を出し、求職登録していた障害者を一人一人面接して、平成16年10月1日付で現在の10人を採用した。

　労働条件は、パート社員と同様で、勤務時間は8時30分～16時30分、休憩時間は90分（10時前後に15分・昼休み60分15時に15分）、日曜日及び祝祭日は休日だが、年末など繁忙期には、日曜日も出勤する場合がある。10人とも欠勤や遅刻もなく、まじめに仕事に取り組んでいる。

　本格的に事業を開始する前に、水産事業所で2人ずつ研修を行ったが、操業当初の作業現場について当時の担当者は、「魚が怖いから切ることもできないなど、注文を受けても処理ができないため、納期までに商品が間に合わない。そのために注文を断る状態で、その一方で給料は支払わねばいけないので、本当に大変でした。」と述べている。

　そのような状況を解決するために、社会福祉法人理事長でもある当社の役員と相談し、障害者3人に対し健常者1人を配置したグループに分けて、作業をする際は健常者がサポートを行うようにした。これによって、作業が効率的に進むとともに、障害者一人ひとりの特性を把握でき、互いのコミュニケーションも取りやすくなった。

　また、朝のミーティングでその日の業務の打ち合わせを行い、業務にあわせた指導方法を決めている。どう教えれば仕事を覚えるか、指導方法について検討し、根気よく見守ることで、半年程でようやく作業も軌道に乗りだした。

3. 作業内容

　作業工程を細分化して、グループごとに配置した指導担当者が作業手順の見本を示し、繰り返し指導を行っている。新商品が入る時には、専門業者による職場内研修を実施し、従業員全員が参加している。
 

ボイルされた蟹の足を計量

パック用のプレートに
ゴムで固定

はさみで細かい形成を行う

製品を密封

シールを貼って箱詰めする

4. 障害者雇用に関する助成金や支援制度の活用

　障害者雇用にあたっては、設備の改善、通勤手段の確保、選任者による業務指導を行う等の特別な措置が必要であった。各種助成金については、長崎県障害者雇用促進協会に相談し、有効に活用した。

①第1・2種作業施設設置等障害者助成金を活用し、障害者に配慮した工場施設の改善、及び障害者が容易に作業できるよう機械設備を設置。

②福祉施設設置等助成金を活用し、体調の変化にすぐに対応できるよう休憩室を確保。なお、この休憩室は従業員同士交流を深める場としても利用されている。

③通勤にあたって、公共交通機関が利用しづらいため、通勤対策助成金を活用し、通勤用の10人乗りバスを購入、専任の運転手を委嘱し送迎を行っている。

④重度障害者介助等助成金を活用し、重度知的障害者に選任の指導者を配置し、安全面や衛生面への留意や、作業方法・手順等手本を示し繰り返し援助・指導を行っている。

　さらに、障害者の対応や雇用管理等について、障害者職業センターのジョブコーチ支援事業を活用し、アドバイスを受けられている。

5. 障害者の職場定着のための取り組み

　2ヶ月に1度個別面談を行い、一人ひとりの状況把握に努めることで、問題の早期解決に対応している。また、工場長を中心として職場定着推進チームを設置し、障害者が相談しやすい体制を整えている。

　昼休みには、休憩室に従業員が集まり、一緒に話をしながら昼食を取るようにしている。また、障害者からの声掛けで積み立てを始め、旅行を企画する等、親睦会の活動も盛んである。

当初は自分の気持ちを伝えることが苦手で、挨拶もできなかった障害者が、まわりから話しかけたり、旅行や懇親会でコミュニケーションを図ることで、今では積極的に挨拶もできるようになり、休憩時間は皆で談笑している。
 

休憩時間にコーヒーで一服

休憩時間に旅行の写真を見ながら談笑

一日の仕事を終え送迎車で家路へ

6. まとめ

　当社は、障害者の労働力に支えられており、またそのことを従業員全員が認識している。

養護学校との連携や職場実習の受け入れを通して新たな雇用につなげ、障害者の雇用の継続のめに相談体制の充実を図るなど、今後も新しい取り組みを続けていく意向である。