2005年度作成

事業所名

株式会社プロサポート

所在地

熊本県熊本市

事業内容

社会福祉法人経営支援、企業経営支援、社会貢献推進事業

従業員数

12名

うち障害者数

2名

障害	人数	従事業務
視覚障害	0
聴覚障害	0
肢体不自由	1	ホームページ作成
内部障害	0
知的障害	0
精神障害	1	ハードウェアの分類作業

目次

1. 事業所の概要
2. 障害者雇用に向けた取り組み
3. 今後の課題と展望

1.事業所の概要

（1）沿革

　平成10年11月、コンピュータソフト販売の経験をもとに、企業向け会計ソフト販売や社会福祉法人向け人事管理システムのコンサルティング会社として設立し、平成16年から障害者を雇用するための新たな事業を立ち上げ、障害者雇用に取り組み始めた。

　平成17年現在、従業員数は12人、うち障害者数は2人である。障害者雇用に伴い就業環境の整備が必要となり、平成17年には事務所を移転し、障害者対応の環境整備を実施した。
 

 

（2）事業内容

　当社には、次の3つの事業部門があり、事業の柱になっているのは、社会福祉法人向けの経営支援である。現在、九州内において60法人、200施設を顧客として営業を行っている。

　なお、障害者2人は、社会貢献事業部に所属している。
 

　　①  社会福祉法人経営支援事業

　　      人事管理制度導入コンサルティングの支援、マネジメントシステムの供給等　　　　

　　②  企業経営支援事業　　

　　      主に建築関連の会計・見積等の支援ソフトウェアの販売

　　③  社会貢献推進事業

　　      障害者の自立支援を実践する各種事業の実施
 

（3）助成金の活用状況

①重度障害者介助等助成金（業務遂行援助者の配置）

②障害者作業施設設置等助成金（第1種及び第2種）

 

2.障害者雇用に向けた取り組み

（1）新たな事業の立ち上げの経緯

　障害者雇用に取り組んだ背景には、本業である社会福祉法人への人事管理・育成の支援事業があった。同事業が成長していく中で、社会福祉事業を理解すべく、当社でも具体的に取り組んでみようと思ったのがきっかけである。

　「私たちがやりたいのは、福祉ではなく、あくまでも自立支援です。自分の力で食べていけるような仕事を作ったり、自分で食べていけるような訓練をしたいということです」と社長は語る。あくまでも民間企業であり、ビジネスの領域で取り組めるものとして、障害者の自立のため自社に新たな事業を開発することにした。

　この取り組みを始めた当初は、挫折の連続だった。まず、最初に取り組んだのは、パソコンのリサイクル事業であった。パソコンの廃棄が有料になったことをきっかけに、古いパソコンを回収し、リサイクルし販売を行うほか、知的障害者施設等に無償で提供した。

　しかし、パソコンのリサイクルを行うには、パソコン内部のデータの完全消去など、ハード面の知識や技術が必要である。専門的な技能を備えた従業員が少なく、作業効率も芳しくなかった。また、重いパソコンを搬入・搬出する作業は、障害者にとって負担が大きいほか、収益性も低いなどの理由もあり、結果的にリサイクル事業から撤退した。
 

（2）就業環境づくり

　パソコンのリサイクル事業に取り組んでいる時、車いす利用者が勤務していたが、狭い事務所にパソコンが搬入され、車いすでの移動が困難という課題が浮かび上がった。

　そこで、将来的に多様な活用ができるスペースを備えた既存物件を賃借し、現事務所に移転、施設改造を行い、障害者も働きやすい環境づくりを行った。具体的な対応としては以下のとおり。

①倉庫部分の既設トイレを障害者対応トイレとして移設

②倉庫と既設事務所の床の高さを同じにし、段差を解消

③倉庫内の空調設備が効率よく機能するよう、壁・天井の取り付け

④倉庫には、専用出入り口としてスロープ・手すりを設置

⑤通路部分の幅を車いすを使用しても支障がないよう1,500mmに変更

⑥休憩室、会議室及び納戸のドアを片引戸に変更

⑦駐車スペースに障害者用としてカーポートを設置
 

 

（3）多様な取り組み

　前述のような施設の改造が施され、障害者も働きやすくなった現事務所に移転し、ハイドロカルチャー（ミニ観葉植物）の制作・販売、高級スピーカーの販売、水耕栽培セットの販売、ホームページの作成など、様々な取り組みを行った。

　販売を取り入れることで、収益性という目標を持たせ、働くこと、努力することの喜びを与えようと考えたが、売上や収益という話題を嫌がる従業員や、目標を負担に感じる従業員がおり、結果的には障害者6人のうち4人が離職した。

　現在、障害者が従事している事業の主力は、ホームページの作成である。この事業は現在、採算ラインに乗っており、社会福祉法人にはまだホームページを開設していない法人が多く、社会福祉法人への営業ルートから仕事を受注することができる。外注はせず、すべて自社内で制作している。

　ホームページ作成部門に配属されている障害者は、上下肢に重度の障害があるが、開発訓練センターで技術を習得しており、また本人も意欲的に活躍している。軌道に乗り、障害者の定着も見られる当部門においては、人員の増員を検討している。
 

 

3. 今後の課題と展望

　当社の障害者雇用の取り組みは、順調に推移しているわけではない。

　現在雇用しているもう1人の障害者は、精神障害を抱え、現在、月に数日の出社状況であり課題が残っている。熊本県高齢・障害者雇用支援協会等の支援機関や家族と連携し、雇用継続につながるよう、根気強く見守りたい。

　「民間だから採算はとれなければならない。しかし、それをどこのラインで想定するかかが大事になってくるのではないか」と社長は語る。

　収益を求めるなかで、彼らの自立支援という社会的使命をいかに果たすか。挫折を繰り返しながらも、あきらめずに取り組んでいきたいと考えている。

　なお、当社は、障害者雇用を拡大するために平成18年1月には蕎麦屋を開店した。広くてフラットな通路にはバリアフリーの配慮が見られる。現在はそば粉を仕入れているが、将来的には店内で石臼で挽いた蕎麦を出す予定であり、その作業を彼らに任せたいと考えている。受け入れのための設備も整えた。蕎麦づくりの技能を身につけることで、彼らが自信を持ち、社会参加できるよう支援を続けていく意向である。

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