2006年度作成

事業所名

株式会社JALサンライト（株式会社日本航空の特例子会社）

所在地

東京都品川区

事業内容

①事務代行サービス業　②印刷業　③マッサージ業

従業員数

114名（2006年6月1日現在）

うち障害者数

54名（2006年6月1日現在）

障害	人数	従事業務
視覚障害	5	一般事務、マッサージ
聴覚障害	16	一般事務、印刷、メール、茶器洗浄
肢体不自由	23	一般事務、印刷
内部障害	7	一般事務、受付
知的障害	3	メール、茶器洗浄
精神障害	0

目次

1. 取り組みの経緯、背景及び経営理念
2. 営業開始にあたって
3. 営業の内容及び取り組みの状況
4. JALグループにおける当社の位置付け
5. 効果
6. 施策
7. 他障害者雇用事業所との連携
8. 今後の課題・展望等

1. 取り組みの経緯、背景及び経営理念

　当社は、1995年11月日本航空株式会社（当時）の特例子会社（1996年4月24日認定）として設立された。当時、日本航空としては自社の社員として障害者の雇用に努めてきたが、全体の雇用数が減少していく中、障害者の雇用が進まず、障害者雇用率が低迷していた。これを打破すべく特例子会社方式による障害者雇用に踏み切った。

　当時の特例子会社の認定基準では、障害者を10名以上（うち重度3名以上）を採用する必要があったため、第1期生として13名（うち重度5名）を採用し、1996年7月JAL本社ビルの移転と同時に営業を開始した。

当社は経営理念として、

①　身体に障害があることを仕事の障害としない職場を築く

②　身体に障害がある人もない人も共に協力しあい、仕事に喜びを感じる職場を築く

③　障害を乗り越え、常に前向きの発想を持ち、活気溢れる職場を築く

を掲げ運営に当たっている。

2. 営業開始にあたって

　当社の業務内容はもともとは親会社の業務の一部であり、その業務を受託するという方式で営業が開始された。4月に採用した13名を受託する部署に派遣しOJTを受けて、3ヶ月が経った7月にその部署を親会社から分離し、その部署で担当していた親会社の社員共々、当社に移管するという方式で始まった。名刺の印刷業務は、新規の業務であったため、PCソフト会社の協力を得て独自で技術を習得し、従来の名刺印刷業者を変更するという方法で業務が移管された。

3. 営業の内容及び取り組みの状況

①受託業務

［総務関係］

　　　社内儀礼、館内受付、会議室管理、施設管理、社内メール集配、制服管理

［退職者事務関係］

　　　日航OB会会報作成、各種親睦会事務

［渡航関係］

　　　出張事務、航空券発券、渡航VISA取得、社内座席予約

［給与関係］

　　　給与支給事務、通勤費支給事務、出向者給与精算

［厚生関係］

　　　社会保険事務、共済会事務、生命保険事務、持株会事務
 

　当社の業務委託の特徴は、組織ごと受託するという方法である。ある業務を受託するということは、親会社にはその組織はなくなるのである。受託業務の内容によってグループ分けされ、総務関係の業務は「総務グループ」、給与関係の業務は「給与グループ」等と縦割りになっている。それぞれの業務は、親会社で担当していた出向者と当社で雇用した障害者が渾然一体となって運営されている。創業当初は4グループであったが、受託業務の拡大に伴って現在は8グループとなっている。グループ長は、現在はすべて親会社からの出向者または転籍者であるが、将来は障害者に任せることが当社の目標である。アシスタントマネージャー、主任クラスに既に6名の障害者がアサインされている。
 

 

②印刷業務

　当社ではグループ会社の名刺とIDカードを一手に作成している。他には業者に対するJALビル入館証の作成や個人の葉書も印刷している。担当者6名全員が障害者である。
 

③マッサージ業務

　日本航空の客室乗務員、運航乗務員等を対象として、本年（平成18年）1月羽田空港に新設された。現在マッサージ担当の視覚障害者2名と受付担当の内部障害者1名計3名で運営されている。
 

 

4. JALグループにおける当社の位置付け

　JALグループでは、類似の業務は1社に集中して効率的に運営するSSC（Shared Service Center）方式が採られている。つまり、餅は餅屋に任せろ方式である。当社は総務業務を担当するSSCとして位置付けられ、グループ全体の総務ファンクションとなっている。特例子会社といえども単に障害者を雇用する会社でなく、グループの中枢を担ったものと言える。他のSSCとしては、経理、調達、人材派遣等があり、それぞれ専門の会社で運営されている。

5. 効果

　創業以来10年間の障害者雇用数の推移は次のとおり。（各年の4月1日時点）

	障害者数	全従業員数
1996	13	48
1997	22	61
1998	23	61
1999	27	73
2000	28	73
2001	33	80
2002	36	78
2003	45	95
2004	47	93
2005	51	94
2006	57	115

6. 施策

　当社は、社内活動が盛んで3つの委員会が熱心に活動している。先ず、サービス委員会。これは当社がサービスファンクションを担っていることからサービス品質の向上を目指して、挨拶運動、手話による朝ブリーフィング、業務知識の向上等を委員が中心となって活動している。次にレクリエーション委員会。これは社員の親睦を図るため、様々な企画を行うもので、年間の大きな行事として新入社員の歓迎会、夏の全体レクリエーション、年末パーティーの3つの行事がある。特に年末パーティーではどんな出し物をするか、知恵の出しどころである。バンド演奏、手話劇は例年定番となっている。3番目は情報委員会。これは社内の意思疎通をスムーズにするために活動する委員会で、主に社内のホームページのコンテンツの作成とそのアップロードである。従来、社内報という媒体を作成していたが、近年はWEBによる情報の伝達に切り替えた。

 

 

7. 他障害者雇用事業所との連携

　当社は、数年前からスワンベーカリー十条店のパンの販売の取り次ぎをしている。これはJAL本社ビルに入居しているグループ企業の社員から予め注文を受け、それを同社十条店に連絡し搬入してもらう方式である。これは単なる取り次ぎであり営業ベースではない。スワンベーカリーの増収に少しでも寄与できればということで現在は週1日社会貢献活動の一環として行なわれている。グループ内で大きな宣伝はしていないが、口コミで広まりつつある。この取り組みに対し昨年度、日本航空グループ社員を対象とした表彰制度の中で、良き企業市民部門「Dream Skyward優秀賞」を受賞した。
 

 

8. 今後の課題・展望等

　業務の内容は、事務作業が主体であり、肢体不自由者には適した仕事であるが、事務作業の性質上一般社員と直接対応することが多く、電話対応ができることが必須となっている。最近は、Eメールの発達でかなり電話は少なくなってきており、Eメールでの対応方法を整理・拡大することにより聴覚障害者の職域は増えるものと思われる。

　知的障害者の職場として、社内メールの集配送業務があるが、エアラインの特性である都市、空港、組織等を表わすアルファベットによるコード（3レターコードという）を覚えることが困難な状況にある。また、書留郵便物には各職場の担当者のサインを受領することが必要である等その場その場での判断が必要となる。これが知的障害者の雇用が進展しない理由の一つとなっている。当社では、担当する業務を特定し、繰り返し反復することにより業務の範囲を拡大するよう努めている。

　今年1月に開設したマッサージルームは、羽田空港に位置し、運航乗務員、客室乗務員、カウンター担当社員に非常に好評である。これを他の空港（例えば成田空港）に展開することにより障害者雇用の促進に繋がるものと思われる。

　名刺の印刷は、創業当初から実施しグループ各社の分も受注していて、年間売上4000万円を計上するまでに成長してきたが、PCによる簡易作成と障害者適応業務ということもあり、障害者雇用の意識が高まるにつれ各社で作成する方向にある。一方、IDカード作成は、セキュリティーの強化に伴い、IC埋め込み型のIDカード（現在は磁気カード）が普及することは明白であり、この分野での進展が期待できる。

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